見出し画像

国公立大学最終倍率からわかる未来

先日、国公立大学2次試験の最終倍率が公表されました。

去年は受験生だった娘が、今度は受験生を指導する立場になり、その数字について色々と話をする機会がありました。

今年の共通テストも、「ひどいテスト」と言われた昨年より平均点が低かったそうです。
 英語の問題についても、普段の模試で7〜8割取れる生徒が、5〜6割しか点数が取れなかったと言っていました。教科を合計した点数も、目標点に及ばず、志望学科を下げた生徒が多かったそうです。

 医科歯科系、医療系の学部の倍率が気にして見ていましたが、改めて他の学部を見てみると、教員養成系の大学、学部の倍率が2倍を切っているところが多いのに驚きました。
 北海道大学、東北大学など旧帝大系の教育学部は他の学部とあまり差がないのですが、教員養成の単科大学などは、2倍に届かない倍率のところが多く、高校入試か?と思ってしまうくらいです。

 教員にならなくてもいい(ゼロ免課程)ところは、倍率を維持しているのに、教員養成課程は明らかに志望者が減っています。教員養成課程で教員免許を取ったとしても、最終的に教員になる学生は、ほんの少数しか残らないのではないでしょうか。
 教員志望者を増やそうとして、高校生を中学校へ派遣してインターンシップみたいなことをさせていましたが、それが効果があるのかと言われれば疑問です。

 かつては、教職の現場というのは、「あなたの知らない世界」みたいなところがあって、「なってみてからわかること」が多かったのです。周りでも、「2世教員」ばかりでウンザリしてしまうことも。(私はいまだにこの類の話題に入って行けませんが・・・)
 でも今は、SNSで「ありのまま」を発信する先生が多くなっているので、職業選択の前に現状を知ることができます。
教育実習をあえて選択しない学生もいるくらいです。

 教員養成の仕組みもさることながら、現場の労働環境を何とかしなければ、教育学部の学生離れは食い止めることができないと思います。

 タイパ、コスパを考えた時、対極にあるのが教育職です。

 自己犠牲、奉仕が当たり前という教育職の常識を変えていかなければならないのですが、教育はいつ芽が出るか分からない種を育てるような仕事です。

 即結果が出るものでもないし、即感謝されるわけでもない。
 感謝されたとしても、今、目の前で感謝の言葉が出るものでもない。
 責任は重く、うまくいって当たり前、失敗しても個人の責任。
 こんな状況で、若い人が伸び伸び育っていけるはずがないのです。

ヨーロッパやアメリカなどでも教員不足は深刻だそうです。
AIを使った教育などで、「将来なくなる職業」だと考えられているのかもしれませんが、「小学校の教員」や「教師」は「なくならない職業」にも挙げられていました。
 「今まで通りの教職」であれば、必要不必要論の前に、成り手がいなくなります。受験生が「教員養成学部」を避けているのであれば尚更です。

 子どもが減るから、先生も減らそう。

 このような短絡的な思考であれば、教員養成系の大学は、定員の縮小、統合など無くなっていく方向に向かうのだろうなと思います。
 でも、子どもが減っているのにも関わらず、教員の多忙さは解消されていません。心身を病み、教職を離れる人の数は増え続けています。
 その根本的な原因をきちんとみてほしいのです。
 
 高校受験を控えた子ども達の面接練習をしていると、
「将来、教員になりたいです。」という生徒も何人かはいます。

 おお、勇気のある君。ありがとう。
 
 そうは思うのですが、不安がつきまといます。

 彼らが教職をめざすきっかけはそれぞれですが、最後までその目標を持ち続けることができる子は、何人なのだろう。
 
 
彼らの「将来の夢」を、心から喜び、応援してあげられるような
そんな教職に、早く変わっていってほしいと
切に願うのです。


#教師のバトン
#教員養成
#教育大学
#国公立大学



 

サポートありがとうございます。頂いたサポートは、地元の小さな本屋さんや、そこを応援する地元のお店をサポートするために、活用させていただきます!