彼女の勇気にこたえたい
こんにちは ナカちゃんです。
今教えている生徒の中に、場面緘黙症の子がいます。
二十数年教えている中で、数人このような生徒に出会うことがありました。
場面緘黙症とは、
家などではごく普通に話すことができるのに、例えば幼稚園や保育園、学校のような「特定の状況」では、1か月以上声を出して話すことができないことが続く状態をいいます。典型的には、「家ではおしゃべりで、家族とのコミュニケーションは全く問題ないのに、家族以外や学校で全く話せないことが続く」状態です。
(以下のサイトから引用しました)
この記事も勉強になりました。
彼女は、学校では一切話をしない、声が出ない場面緘黙症です。
だから、英語の授業は苦手、嫌い、と1年生の時に伝えてきました。
確かに、英語は言葉の勉強だから、音声言語での活動がほとんどです。
授業中は特に、口頭練習、声を出す活動がほとんどになります。
去年1年間、彼女は声を発することはありませんでした。コロナのための休校が続き、まともに授業ができなかったということもありますが、彼女の助けになる手段が、メモでの筆談やうん、いいえのジェスチャーくらいしかなかった、ということもあります。
今年に入って、彼女を変えるチャンスがやってきました。
クロームブックです。
英語の授業で、私は積極的にクロームを使うようにしました。授業の反省や、クラス内での意見交換、感想の交流など、できるだけ多くの活用場面を授業に入れていきました。
すると、彼女は、クラスルームで素直に感想を伝え合ったり、授業反省のシートに、枠いっぱいの感想を書いてくるようになったのです。
スライドや、ジャムボードで、イラストを交えたユニークで楽しい作品を作って、提出するようになりました。
次第に、家でも英語の勉強をするようになったそうです。
その変化は、目をみはるものでした。
そして、「ユニバーサル・デザイン」についての単元に入ったとき、私は特別支援の免許状を取るために勉強したことをいかして、パラリンピックやダイバーシティ、バリアフリー、そして障がいについて生徒たちに話をしました。
彼女がいる中で、その話をするのは、とても勇気がいることでした。
「ちゃんと、伝わっているだろうか?」
「話すことによって、彼女が傷ついていないだろうか?」
授業が終わるまで不安でしたが、彼女は、熱心にうなずきながら、私の話を聞いてくれていました。
授業が終わってから、いつもはこちらから声をかけなければ、特に反応もなく帰ってしまう彼女が、自分から私のもとに歩み寄ってきました。
それだけでも、驚いたのですが、
手話を使って、一生懸命に
「嬉しかった。」
と伝えてきてくれたのです。
あまりにも咄嗟のことだったので、私は驚いて、
「こちらこそ、ありがとう。」と言うのが精一杯でした。
その次の時間は、クラスみんなで点字について学びました。
そして、その次は 手話について。
Do you know how to say " Thank you" in sign language ?
この質問をKeySentence にして、
自分のクロームで手話の動画を調べて練習し、英語を話しながら、
手話でコミュニケーションを取る
このようなコミュニケーション活動に取り組んでみたのです。
いつもは、妹と二人でしかコミュニケーションを取ろうとしない彼女の周りに、
数人の女子生徒が集まり、楽しそうに会話していました。
彼女は決して声を出さないけれど、手話を通じて、ちゃんとコミュニケーションを
とっていたのです。
その時の彼女の笑顔を忘れることはできません。
その時間の彼女の感想は
「みんなの手話、上手でした\(^o^)/」と書き込まれていました。
自分から、一歩踏み出して、私に歩み寄ってくれた彼女の勇気
その気持に、これからも応えていきたいと思っています。
コミュニケーションの手段は、音声だけではありません。
でも、学校という場は、「聞けて、話せて当たり前」の前提で、授業が進められています。
本当の「ユニバーサルデザイン」の授業とはなにか。
彼女に教えてもらった気がします。
いろいろな表現の仕方があっていい、そして、足りないところは、ICTを使ってカバーできることをどんどん活用していくべきではないか。
「話せるようになること」がゴールではなくて、
「コミュニケーションを取れること」をゴールに。
そのための手段の一つが、言語であり、英語なのだということを
そして、様々な伝え方、表現方法がこの世にあるのだということを
彼女の「ことば」が教えてくれたのです。
中学女子たちが、手話でもりあがっていたのは、このマンガのヒットのせいでしょうか?!
おまけにのせておきますね(^_^)
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