なんかちょっと縁遠い世界かも…なアートオークションの"下見会"って何?
アート作品のオークション、と聞いて、きっと多くの方がぱっと思い浮かべるイメージは・・・
みたいな、もう、非現実的な世界、ではないでしょうか。
つい最近も、かのMicrosoftの共同創業者が数十年かけてコレクションしていた作品群が、クリスティーズという世界的に有名な会社のオークションに出品され、なかなかの総額に。
(落札金額は寄附される前提のチャリティーオークションだった模様)
日本国内でも2022年春、空港の保税倉庫を活用したアートオークションで、アンディ・ウォーホルの作品が国内最高額で落札された!なんてニュースもありました。
※保税倉庫を活用するメリットは、従来ならかかっていた関税などを留保した状態、つまり ”かなりお得に” 海外からの出品作品を買えるところです。
一生、縁のない世界だわ。なんて思う方が多いかもしれませんね・・・
でも!これらのオークションに出品される数々の美術作品て、実は事前にまとめて下見会という場に展示・公開されています。
その下見会、実はどなたでも会場に入れて、間近でじっくり、無料で!作品を鑑賞できてしまえるんです!
なんと太っ腹な機会でしょうか。ただ観るだけ、でも全然OKなんですよ。
しかも、実際のオークション当日、会場には限られた超セレブリティしか入れない&入札に参加できない・・・という訳でもなく、事前に決められた手続きさえとれば、どなたでも参加できて、入札&落札まで!できてしまえるんですよ!!!
ということで今回は、なっかなか未知の世界すぎて、あまり知られていないけれど、実は数万円から気に入った作品を購入できてしまえる!という、どなたでもウェルカム & 怖くない アートオークション のお話です。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
なんでアートのオークションって開催されるの?
わたし自身の捉え方として、ものすーごくざっくり説明すると・・・
それまでの作品の持ち主が諸事情により手放すタイミングで、作品そのものや作家に対する適性な評価を、然るべき次の持ち主へ然るべき価格で引き継いで、確実に未来へ伝え残していくために行われるもの、です。
実のところ、アートオークションって都内で、結構定期的に行われています。
ぜひ「アート オークション」などでネットやSNSを検索してみてください。下見会や開催にまつわるお知らせがいくつもヒットするはず。
ただ、そもそも日本って、アート作品は"自分で買って、部屋に飾って愛でるもの"ではなく、"美術館や博物館でじっくり鑑賞するもの"というイメージが根強いんですよね・・・。
住宅事情も大きな理由の一つかもしれませんが、アート作品を買ったところでどうしたらいいか分かんない、という方も多いのでは。
なので、"オークションの場でアート作品を売買する"ってなると、なおさら馴染みがないかと。
加えて、オークションで何億円!なんてニュースばかりを目にすれば、自分には無理!ってなりますよね。ヤフオクや鑑定団のイメージがちょっと先行してしまっているところもあるのかなぁ。
でも実際は本当に「え?この価格なら普通に買えるんだけど!」みたいな作品が、ポロポロとあるんですよ。知ってる人しか行かない状況なので、多くの皆さまは気づいていない。
つまり、今ならまだ競合相手が少ないので、自分が手に入れられるチャンスが多い、とも言えてしまえるんです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
行ってみた!アートオークションの下見会
ということで、つい先週、国内大手のオークション会社 シンワオークションさんの下見会にお邪魔してきました!
中に入ると、こんな感じで出品される作品がずらりと展示されています。
ぱっと見は、広ーいアートギャラリーと何ら変わらない雰囲気です。
・・・お気づきでしょうか。
美術館などでよくある、作品保護のためのガラスの展示台や、アクリルのケースなどが、ないんですよ!!!
作品を、直接じっくりと鑑賞できてしまえるなんて、好きな作家の作品群が並んでいたら確実にテンション上がります。
わたしもだいぶ上がりました。
今回の下見会では、大好きな有元利夫さんの作品が2点あり、アーティゾン美術館では必ず作品を愛でている坂本繫二郎さんの馬を描いた作品や、鴨居玲さんの素描、そして染色家の芹沢銈介さんの作品群などが並んでいました。
もしも、大富豪だったら確実に買い占めていたでしょう。
でも間近でじっくり拝見できただけで、もう十分嬉しかったです。
あぁ、あれ買えるなんて、思い出しただけでも夢のよう(予算内ならね)。
・・・・・・・・・
今回の下見会では、たっぷり3フロアに350点!!!ものお品物がずらり。
夢中で観ていたら、あっという間に1時間半も経っていました。
観終わって早々にTwitterでつぶやきましたが、
本当に、え?これ買えるの? なお品物ばかりが並んでいてびっくりしました。しかも、わたしでも皆さんでも、買えるんですよ!(予算内ならね)
注目すべきは、今回、いわゆる絵画や陶芸、書などの作品だけじゃなくて、
なんと!MANGAのジャンルがあったんです!!!
きゃー!手塚治虫さんの直筆イラスト&サインじゃないですか!
え!セル画もある!
こんな記事を書いているくらいなので、テンション上がりました。
何より、自分でも皆さまでも、買えなくもないお値段設定、だったんです。
一人で大騒ぎしてしまいましたよ。観られただけでも嬉しかったです。
・・・・・・・・・
その他にも、中川一政さんの手掛けた作品群、書や陶芸、絵画まで本当に幅広く出品されていたのには、圧倒されました。
ここまでまとまって作品を拝見できたこと自体、貴重でした。
・・・・・・・・・
ちなみにオークション当日はどんな感じだった?
なんと、会場の様子がYouTubeでライブ配信!されており、わたしも見守らせていただきました。
まさに下見会で間近に見せていただいた、伊東深水さんの新版画3枚組が、ラピュタの原画を遥かに越えるお値段になったり、単純に さまざまなアート作品や作家の方の注目度が 現時点の “お値段“ としてはっきりわかるのは、とても興味深くて 勉強になりました。
また、実はひそかに下見会で一目惚れ & わたしでも買える…かも?な夢の予想落札価格だった工芸のお品物があったんです。
が、結果は全くもって予算オーバーでした。ですよね、みんな欲しいよね・・・
その一方で、アンパンマンを描いたやなせたかしさんの作品や、アルプスの少女ハイジを描いた作品などは、枚数限定の複製画とはいえ、あれ?買えるかも、な、数万円のお値段がついていて、驚きました。
ほんとに意外と、数万円台のお品物が多かったんです。
最後のお品物にお値段がついた頃、すでに17時を過ぎていました。
お品物一つあたりにかかる時間は数十秒ってことが多かったのですが、さすがに350点以上もあると、終了までは3時間以上。
でも3時間でそれだけのお品物のお値段と、次のオーナーが決まってしまう、というのも、なかなかのスピード感ですよね。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
下見会、行ってみたいかも! 次はいつ開催?
今回伺ったシンワオークションさんは、本当に幅広いジャンルの作品を取り扱っているので、オークションもそれぞれテーマを決めて開催されています。
直近では、さっそく再来週に開催されますよ。
テーマは、近代の陶芸と古美術だそう。気になります・・・
年明け以降にも、ほぼ毎月のようにオークションの開催が予定されているようです。ぜひ定期的にチェックしてみてください。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
まとめ
オークションの下見会は、どなたにも開かれている場で、決して怖くはありません。
ギャラリーとほぼ近しい雰囲気で、美術館・博物館以上にたくさんの作品がずらずらずらっと並んでいます。
わたし自身、今回お邪魔して、大好きな作家の方々の作品を、あんなにたくさん、間近でじっくりと観られただけでも、眼福すぎました。
アートオークションの下見会、買うつもりがゼロでも、物は試しに足を運んでみてください。おすすめです。
わたし自身、ずーっとアートオークションの下見会に行きたい!と思いつつも、いつも事前に開催日程の情報をキャッチし損ねることが多く、タイミングを逃し続けていました。
今回たまたま、知人の方から開催を教えてもらえたので伺えて、とても嬉しかったです。
が!わたしのように、興味があっても情報が届いていない、という方々が多々いらっしゃるように思えてならず・・・
ちょっと、いやかなり、もったいないなぁ、とも思い、このnoteでご紹介してみました。
・・・・・・・・・
わたしは、アートオークション、という仕組み自体については、こちらの記事でも少しふれていますが、
必要だと思う反面、正直、もっとこうだといいのになぁ、と思う気持ちもあります。
ですが、そもそも、アート作品をもっと気軽に手に入れ、自宅に飾って楽しむ、という方や、作家を応援したいから作品を買ってみようかな、という方など、アートを生活の中でもっと楽しむ方が増えたらいいなぁと思って、アートのことを書いて伝えるお仕事や、音声で発信するような活動を続けています。
このnoteから、"アートオークションの下見会、無料だっていうし、近所まで来たからちょーっと足を運んでみよっかなー"くらいの気軽な気持ちで、関心を持ってくださるきっかけになったなら、とても嬉しいです。
記事を読んでいただきありがとうございます。いただいたサポートは書籍購入などに使わせていただきます。何よりそんな広く優しい心をお持ちの方には きっといいことがあるはず✨メッセージも合わせて書いていただけたら必ずお返事いたします✏︎