Naoko Uchima

沖縄市出身、那覇市在住。1997〜2011年に英国移住。アーツマネージャー、キュレータ…

Naoko Uchima

沖縄市出身、那覇市在住。1997〜2011年に英国移住。アーツマネージャー、キュレーター、コーディネーター。2023年に6月に台湾、ドイツ、ポーランドを廻る予定で、約15年分の仕事や執筆、取材記事を振り返ってまとめています。 https://www.esm-okinawa.com

マガジン

  • 沖縄タイムス「唐獅子」エッセイ連載2011年7月〜12月

    英国ロンドンから故郷沖縄に拠点を移したばかりの2011年7月〜12月の約半年間の記録です。沖縄タイムス新聞の「唐獅子」というコーナーのために書いたエッセイをまとめました。

  • 琉球新報「落ち穂」エッセイ連載2020年7月〜12月

    コロナ禍の沖縄で、現代アートを通して国際交流、世代交流、人材育成のためにAIO【Art Initiative Okinawa】を立ち上げて、その時の試行錯誤を綴っています。琉球新報「落ち穂」というコーナーで書かせてもらったエッセイをまとめました。

最近の記事

  • 固定された記事

【芸術は産業となりうるか|沖縄タイムス唐獅子⑩ 2011年12月26日掲載】

*これまでに執筆した記事を振り返っています。  英国から沖縄に拠点を移し、早くも1年がたとうとしている。これまでの芸術における現状調査をもとに、私が考えていたことをうまく代弁してくれた記述を2008年3月号の「美術手帖」にみつけた。当時のアートフェア東京のディレクターで、現在はギャラリーを経営している辛美沙さんのインタビュー記事である。それには、「芸術を産業として成り立たせていくために、行政ももっと力を入れるべきで、アートが持つ力や可能性をもっと利用するべきだ。人間の創造力

    • 【Guten Rutsch !(良いお年を!)|琉球新報 落ち穂vol.12 2020年12月31日掲載】

      (これまでに執筆した記事を振り返っています。) 2020年はコロナ禍の影響で日常生活の様式が大きく変化した激動の一年であった。振り返ってみるとこの最中に有志5人で、県内にアートセンター設立を目指し、展覧会企画やキュレーターなどの人材育成、国内外との交流を図るAIO(アート・イニシアチブ・オキナワ)を立ち上げた。 それとは別に個人事業でアートマネージメントや海外展開のサポートを行っていたが、コロナの影響で中止せざるを得ない状況があった。自粛期間を経て、国内外へ向けたライブ配信

      • 【雨降って地固まる|琉球新報 落ち穂 vol.11 2020年12月15日掲載】

        (これまでに執筆した記事を振り返っています。) 去った12月5、6日に南城市糸数城跡で予定していた野外音楽イベント「Soundscape Okinawa」が天候不良により延期になった。そのため再調整で大変だったが、周囲の方々や関係者の「お疲れ様」という労いの言葉に救われた。 このイベントは、同じ県内に住んでいてもほとんど接点の無い、他所者の私たちが南城市玉城糸数区へと足しげく通い、短期間ではあるが地域の方たちと交流して作り上げたのが特徴的である。 例えば、歴史や地域に

        • 【Soundscape Okinawa|琉球新報 落ち穂⑩ 2020年11月27日掲載】

          (これまでに執筆した記事を振り返っています。) 私が事務局長を務めるAIO(アート・イニシアチブ・オキナワ)主催で、12月5、6日に南城市糸数城跡で野外音楽イベント「サウンドスケープオキナワ~耳を澄まし、 自然に溶け込む~」の開催を予定している。AIO代表でドイツ出身のティトゥス・スプリー以外の出演者を含むメンバーほとんどが、このイベントのために初めて糸数城跡を訪れ、手つかずの自然と壮大なスケールに圧倒されている。 沖縄は独特の自然環境に恵まれ、城(グスク)という先人

        • 固定された記事

        【芸術は産業となりうるか|沖縄タイムス唐獅子⑩ 2011年12月26日掲載】

        マガジン

        • 沖縄タイムス「唐獅子」エッセイ連載2011年7月〜12月
          10本
        • 琉球新報「落ち穂」エッセイ連載2020年7月〜12月
          12本

        記事

          【ダイアローグ|琉球新報 落ち穂⑨ 2020年11月11日掲載】

          (これまでに執筆した記事を振り返っています。) 11月15日まで那覇市牧志にあるギャラリーショップRENEMIAで、MIREIさんと齋 悠記(さい ゆうき)さんの絵画とドローウィングを中心にした二人展「ダイアローグ~日々を彩るもの~」を開催している。 MIREIさんと私は同じ中学出身で、2008年に彼女のフランスでの個展の噂を耳にして、イラストレーターとなったその後の活躍を知った。数年前にRENEMIAを主宰するMIREIさんとパートナーの金城さんを取材する機会があり、

          【ダイアローグ|琉球新報 落ち穂⑨ 2020年11月11日掲載】

          【キュレーターの役割|琉球新報 落ち穂⑧ 2020年10月27日掲載】

          (これまでに執筆した記事を振り返っています。) キュレーターとは何だろうか。西洋社会の現代美術において、その言葉の持つ意味は、日本や沖縄での認識と大きく異なる。一般的に日本では「学芸員」と訳され、美術館や博物館に勤める専門職のことを指す。ただ、私の考える「キュレーター」という職業は、美術館などの学芸員というだけでは説明しきれない。 例えば、数年に一度、国内外で開催されるビエンナーレやトリエンナーレといった国際的な展覧会を企画するのがキュレーターの仕事である。その役割は、テ

          【キュレーターの役割|琉球新報 落ち穂⑧ 2020年10月27日掲載】

          【沖縄フィルムオフィス|琉球新報 落ち穂⑦ 2020年10月9日掲載】

          (これまでに執筆した記事を振り返っています。) 皆さんは沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)に「沖縄フィルムオフィス」というフィルムコミッション業務があることをご存知だろうか。フィルムコミッションとは、映画などの撮影誘致や撮影支援、映像を使った地域のPRなど、芸術文化や観光、産業の振興などに大きく貢献している機関だ。 2008年に英国で開催された国際旅行博「ワールド・トラベル・マーケット」に日本政府観光局(JNTO)とOCVBからの依頼で、沖縄特集のジャパンブー

          【沖縄フィルムオフィス|琉球新報 落ち穂⑦ 2020年10月9日掲載】

          【英国で習った園田エイサー|琉球新報 落ち穂⑥ 2020年9月23日掲載】

          (これまでに執筆した記事を振り返っています。) 首里に拠点を移して1年になるが、生まれ育った沖縄市やこれまで住んでいた宜野湾とは、同じ沖縄でも全く雰囲気が異なる。昨年の夏は欧州へ里帰りしていたので、今年初めて首里で旧盆を迎えた。今帰仁の仏壇がある家は親戚に貸しており、旧盆の時は家を開けてもらうが、今年は緊急事態宣言が出されていたため、事前に墓掃除や墓参りを済ませ、旧盆はリモートで先祖を迎え、ウートートー(お祈り)した。   長く海外に住んでいたこともあり、遠く離れていても

          【英国で習った園田エイサー|琉球新報 落ち穂⑥ 2020年9月23日掲載】

          【引き寄せあう縁|琉球新報 落ち穂⑤ 2020年9月5日掲載】

          (これまでに執筆した記事を振り返っています。) 前回、海外へ活動の場を広げ、新たな市場開拓について触れたが、これらはなにも現代アートだけに特化したことではない。アートを中心に、デザインや伝統工芸など、沖縄のクリエイティブ産業の発展をも示唆している。 現在、英国の国立美術館テート・ブリテン「オーブリー・ビアーズリー」展にちなんで、同ミュージアムショップで県出身のデザイナー古堅ちひろと伊是名淳による「ペーパージュエリー」が発売されている。ビアーズリーは、イ

          【引き寄せあう縁|琉球新報 落ち穂⑤ 2020年9月5日掲載】

          【Go Together|琉球新報 落ち穂④ 2020年8月21日掲載】

          (これまでに執筆した記事を振り返っています) アフリカのことわざに「早く行きたければ一人で行け。遠くへ行きたければみんなで行け」という言葉がある。「アート・イニシアチブ・オキナワ」が目指すのは、沖縄を拠点にアートを通して海外や県外と繋がり、共に支え合い、補い合い、互いに刺激を与え合いながら、対話する場を生み出すことだ。それにより、点で散らばっている個々の活動を繋ぎ合わせ、沖縄からムーブメントを起こしたい。 名前の通り「イニシアチブ」を大切に考えていて、活動する人たちが自発

          【Go Together|琉球新報 落ち穂④ 2020年8月21日掲載】

          【アート・イニシアチブ・オキナワ|琉球新報 落ち穂③ 2020年8月6日掲載】

          *これまでに執筆した記事を振り返っています。  2020年3月にアート・イニシアチブ・オキナワを立ち上げた。個人事業とは別にグループの活動として、将来的にアートセンター設立を目指している。その活動の背景に、旧前島アートセンター(MAC)の理事、国吉宏昭さんとの出会いがある。彼は沖縄のアートシーンを支え、様々な機会を作った立役者だ。出会った頃の国吉さんは、どの展覧会にも必ずいて、一体何者だろう?というのが私の印象だった。そのうち私の発言に「内間さん、あんた面白いね〜!今度お

          【アート・イニシアチブ・オキナワ|琉球新報 落ち穂③ 2020年8月6日掲載】

          【ピンチはチャンス!|琉球新報 落ち穂② 2020年7月21日掲載】

          *これまでに執筆した記事を振り返っています。  10年以上前に「ロンドン・オキナワ・デー」というフェスティバルを立ち上げ、初めて沖縄民謡を聴き感動して涙する観客を前に、沖縄の看板を掲げることと、国際舞台で発表する責任を感じた。そのことがきっかけとなり、本格的にアートマネージメントを学ぶため大学院進学を検討したが、東京のギャラリーオーナー千葉由美子さんから「実践で学んだほうが良い」とアドバイスを受け、実践のみでキャリアを積んだ。以来、ジャンルにかかわらず、沖縄を拠点に活動する

          【ピンチはチャンス!|琉球新報 落ち穂② 2020年7月21日掲載】

          【なぜ今アートが必要か|琉球新報 落ち穂① 2020年7月3日掲載】

          *これまでに執筆した記事を振り返っています。  芸術と無縁だった私が積極的に関わるようなったのは、1997年にロンドンに渡り、欧州の美術館やアートシーン を目の当たりにしてからである。当時の英国はトニー・ブレアが首相になり「クール・ブリタニア」という国家のブランド戦略の下、現代アートで「YBA-ヤング・ブリティッシュ・アーティスト」が活躍し、音楽では「ブリット・ポップ」がヒット。映画で「トレインスポッティング」が話題になるなど、世界的に英国発の芸術文化が 注目され、勢いに乗

          【なぜ今アートが必要か|琉球新報 落ち穂① 2020年7月3日掲載】

          【芸術の秋|沖縄タイムス唐獅子⑨2011年11月28日掲載】

          *これまでに執筆した記事を振り返っています。  芸術の秋にふさわしく、県内外でもさまざまな展覧会やイベントがめじろ押しであった。 11月初旬に、東京と横浜のアート・エリアとマネージメント業務調査のため、美術館やギャラリー、街中のアートを視察してきた。横浜美術館を主会場に行われた現代美術の国際展覧会ヨコハマトリエンナーレは「みる、育てる、つなげる」をテーマに、黄金町バザールや新・港村(BankART)など地域と連携した企画を展開している。 この試みは相乗効果を生み、3カ月

          【芸術の秋|沖縄タイムス唐獅子⑨2011年11月28日掲載】

          【アート・マネージメント|沖縄タイムス唐獅子⑧ 2011年11月14日掲載】

          *これまでに執筆した記事を振り返っています。 英国で沖縄の芸術を紹介することに関わり始めた直後、2008年のリーマン・ショックの影響で当時勤めていた会社が倒産してしまった。いきなりピンチに立たされ、就職活動を始めたが、これまでの経験を生かせる写真関連の専門職は、衰退していく一方であった。ろくに面接すらしてもらえず、自分の真価を問われているようで、落ち込むこともあった。 そんな状況で発想を転換するのは難しかったが、新しいことを始めるチャンスだと思い、片手間で携わっていた芸術

          【アート・マネージメント|沖縄タイムス唐獅子⑧ 2011年11月14日掲載】

          【人心同天地|沖縄タイムス唐獅子⑦ 2011年10月31日掲載】

          *これまでに執筆した記事を振り返っています。 10月を振り返ってみると、海外からの訪問者が相次いだ月だった。今回で2度目となるフランスからの美術関係者の訪問に始まり、世界のウチナーンチュ大会には、英国沖縄県人会とロンドン沖縄三線会のメンバーが十数人来沖した。その際に、我が家を宿泊先として提供し、英国式B&Bのようなスタイルで迎え入れた。B&Bとは、ベッド&ブレックファーストの略で、寝床と朝食を提供する民宿のようなものである。   これまで英国で開催された沖縄のイベントでは、

          【人心同天地|沖縄タイムス唐獅子⑦ 2011年10月31日掲載】