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【アート・イニシアチブ・オキナワ|琉球新報 落ち穂③ 2020年8月6日掲載】

*これまでに執筆した記事を振り返っています。 

2020年3月にアート・イニシアチブ・オキナワを立ち上げた。個人事業とは別にグループの活動として、将来的にアートセンター設立を目指している。その活動の背景に、旧前島アートセンター(MAC)の理事、国吉宏昭さんとの出会いがある。彼は沖縄のアートシーンを支え、様々な機会を作った立役者だ。出会った頃の国吉さんは、どの展覧会にも必ずいて、一体何者だろう?というのが私の印象だった。そのうち私の発言に「内間さん、あんた面白いね〜!今度お茶でも飲みながらゆっくり話そう」と言うのだが、次回会って挨拶をするとすっかり忘れられていた。そんなやり取りを何年も繰り返していたが、アーティスト津波博美さんの紹介で親しくなった。

当時、英国と沖縄を行き来し、国吉さんと親交のあった博美さんから「国吉さんは車が無いから、展覧会に行く時は連れていってあげて」と頼まれたからだ。彼の関心は美術以外にも舞台、音楽、映画と幅広く、そこが私と一致して、あちこち一緒に観に行ってお互いの感想を語り合った。彼の視点は鋭く、意見交換することで鑑賞の楽しさは2倍に広がった。

私が帰国した年にMACは解散したので、その実態をよく知らない。ただMAC主催による国際交流展「ワナキオ」の参加者から話しを聞き、事務局を担っていた関係者らの現在の活動をから、人材育成や世代を超えた交流に大きく役立っていたと思う。国吉さんが亡くなり一年が過ぎたが、その後ろ姿を振り返り、アーティストと社会を繋げる役割とアートセンターの必要性を感じ、有志で活動している。

国吉さんのエピソードに、MACのあったビルの所有者に場所を使わせてもらう交渉をしたり、自身がギャラリーを経営していた際に画家の真喜志勉さんや金城明一さんらの展示を行っている。アーティストらの活動を面白がって、自ら企画し、助言し、人を紹介するなど、彼にお世話にfなった人は多い。生前、死んでも化けて出てくると言っていた彼が、大きな声で「ぶっ飛んでるね」と笑って楽しめる企画を考えている。

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