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【Guten Rutsch !(良いお年を!)|琉球新報 落ち穂vol.12 2020年12月31日掲載】

(これまでに執筆した記事を振り返っています。)
2020年はコロナ禍の影響で日常生活の様式が大きく変化した激動の一年であった。振り返ってみるとこの最中に有志5人で、県内にアートセンター設立を目指し、展覧会企画やキュレーターなどの人材育成、国内外との交流を図るAIO(アート・イニシアチブ・オキナワ)を立ち上げた。

それとは別に個人事業でアートマネージメントや海外展開のサポートを行っていたが、コロナの影響で中止せざるを得ない状況があった。自粛期間を経て、国内外へ向けたライブ配信、SNSを活用した展覧会作りなど、オンラインで国内外へアプローチするための新たな試みを実践し、これまでに無い反響や広がりを実感できた。

苦境の時にアートは人間の心のビタミンであり、必要不可欠なものである。参加者の笑顔や感動したとのコメントに、それを確信できた。また普段以上に、よりクリエイティブな発想と柔軟さを持って、初心を振り返る機会が多くあった。2008年のリーマンショックを機に、裏方として芸術に携わる仕事を始めたが、これから先十年をどうあるか考える節目にもなった。

私が関わるプロジェクトで、アーティストやメンバーとの関係性を築くために大切にしていることがある。それは、同じビジョンを思い描けるか、密なコミュニケーションが取れるか、喧嘩を恐れず本音でぶつかり合うことが出来るかなどである。

これまでの失敗や挫折からいろいろ学んだが、良い方向に成長できるようサポートしてくれる人たちが周囲にいてとても有り難い。励まされたり、時には注意してくれたり、支えられて、今年を乗り越えることが出来た。一人では到底出来ない事をチームで成し遂げたこともうれしい。そして、家族とパートナーの理解や協力に、感謝の気持ちを忘れずに伝えたい。

この連載に際して度々助言をくれたパートナーに、年末の挨拶を尋ねるとドイツではGuten Rutsch !(グーテンルッチュ)という言葉があるそうだ。新年へスムーズに滑り込みますようにという意味があるそうで、皆様が新しい年を健やかに無事に迎えられるよう願いを込めて。

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