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はたらくを、けんこうに。 ~企業の優位性を左右する”健康経営”に向き合う~

前回までの振り返り

僕は、FiNCで法人事業の責任者になったものの売れない原因を前社長や部下のせいにしていた。(前社長やメンバーのせいにしていた弱い事業責任者の話-それでも僕は前を向いている-

会社も事業も追い詰められた僕は、エンタープライズにターゲットを定め、(追い詰められて見えてきたやらないといけないこと Part 1)思考と試行を繰り返し、現時点で年度末にMRR150%成長まで見通しが出てきた(苦境で繰り返した思考と試行 ~追い詰められて見えてきたやらないといけないこと Part2~)というのが前回までの話。

そして今回は、なぜ「「健康」に働ける環境づくりがなぜ必要なのか」「FiNC for BUSINESSが実現しようとしている世界」についてをお伝えします。

「健康」で働ける環境づくりがなぜ必要なのか

僕は、2016年から「健康経営」「産業保健」領域に携わってきました。そして、FiNC Technologies(以下、FiNC)内で人事部門に携わっていた経験も踏まえ、働き方改革やウェルビーイングなど人事全般の観点から「健康経営」の実践について思慮してきた。

”「健康」に配慮した企業にしていきましょう”ということは誰も否定する人はいない。しかし数ある施策の中で、喫緊の課題かと言うとそうではないと回答する人が数多い。

「健康」を想起させるものが「病気ではない状態」「メンタル不調者が少ない状態」となり、従前の産業保健の対応で企業の最低限のリスクヘッジをしているケースが多いからだ。

ところが視点を変え「健康でない状態」が企業にもたらす影響を鑑みると、喫緊の課題ではない、と回答する企業は減るのではないか。

「健康でない状態」は企業に与える損失50百万円!?
フィジカル面とメンタル面から「健康でない状態」が企業にもたらす損失を考えた。

▼フィジカル面:(健康でない状態を生活習慣病を抱えている、あるいは生活習慣病の予備軍であるとした場合)

厚生労働省の「定期健康診断結果報告」のレポートによれば、2018年の血圧の有所見に該当している方は、16.1%となっている。他の健康診断項目よりも高めの水準となっている血圧を例に考えてみたい。

例えば「高血圧症」だと言われている方がその状態を放置した場合に、虚血性心疾患や脳卒中になる可能性が高いことは既にご存じの方も多いかと思います。

そういった病気で仕事ができない状態になる前にも、治療で通院や入院を重ねることで精神的・金銭的損失を招いている。そして、本人も高血圧症が原因だと気づいていないが現れる可能性のある症状として、頭痛、めまい、耳鳴り、のぼせ、吐き気、嘔吐などがある。

先の有所見率16.1%という数値を踏まえ、従業員数1,000人、平均年収500万円の企業を想定して損失額を計算したみた。仮に血圧で有所見に該当している人が10%、そのうち通院・入院で実際に延べ年間3日欠勤し、就業中も頭痛や吐き気などのプレゼンティーズムロスが10%生じているとした場合、年間約50百万円の損失が生じると考えられる。

なお、国民生活基礎調査(厚生労働省)から出ている2019年の結果だと、高血圧症で約1,500万人が通院している。このうち、約1,100万人が65歳以上で、約7割を占めている。

2021年4月に施行された「高年齢者雇用安定法」は、「70歳までの就労機会確保を企業の努力義務とする」法律で、今後65歳以上の労働者が増えるのは確実だ。

先に述べた65歳以上の高血圧症の割合から推測すると雇用延長の労働者は、高血圧のリスクを抱えながら雇用をすることになる。特にエンタープライズ企業で、雇用延長される従業員の多くは、長年該当の企業に勤務している方が多いと思うので、若い時からこのようなリスクを保持しないようケアが必要だ。同時に高年齢者が、健康で働ける環境も検討しなければならない。

▼メンタル面:(メンタル不調に陥っている)
2015年より50人以上の労働者がいる事業所でストレスチェック制度の実施が義務づけられた。

本制度は、職場環境が理由で精神障害の労災請求が増加傾向にあり、予防の目的で開始された。しかしながら以下の通り、請求件数は減っていない。

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(参照資料:厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/content/11402000/000521999.pdf)

またストレスチェックで導き出される「高ストレス者」は全受検者の10%程度になるように設計されたが、実態としてその数値を上回る結果が出ており、なおかつ上昇傾向が見られ、平成30年には14.4%にまで上昇している。

高ストレス

(参照資料:厚生労働省/ http://www.zeneiren.or.jp/cgi-bin/pdfdata/20190925114437.pdf)

当然ながら高ストレス者=メンタル不調者ではないが、メンタル面で自分自身の本来の力を発揮出来ていない人が10%程度存在している可能性があり、その割合は増加傾向だとする見方もできる。

先ほどの高血圧と同様に企業において、10%程度の人がメンタル面が理由でパフォーマンスを発揮出来ていないとした場合に、メンタル面でも企業の損失は大きい可能性がある。さらにメンタル面に課題を抱えているメンバーがいるとすれば、その影響は周囲の同僚にも及んでいる可能性がある。

このように実態を少し掘り下げてみるだけで、「健康」で働ける環境づくりを早々に進めるべきことが理解してもらえるのではないか。

差別化要素は「モノ」から「人」へ
今後の産業構造のあり方から、より一層、企業の重要な資源である「従業員」への投資を考えざるを得ない。

これまでの産業変革に目を向けると、水力や蒸気機関による工場の機械化である第1次産業革命、電力を用いた大量生産である第2次産業革命、ITを用いた自動化などの第3次産業革命に続く、AIやIoTなどを使った取り組みの第4次産業革命と続く。

国勢調査の産業別就業者割合の推移を見ても、第3次産業に従事する人は、今では7割を超える。

モノを作り、販売していた時代は、品質の良いものを大量に生産することが重要視され、企業は設備に投資をしてきた。

しかし設備はコモディティ化され、今後は、人による「おもてなし」やIT(AIやIoTなど含む)を用いてモノにどのような付加価値をつけるかが、差別化要素となる。

ITのプログラミングも「人」が実施していることを踏まえれば、企業の資源としてより「人」が今後、差別化要素となり、重要視されていくのは自然の流れだ。

加えて、VUCAの時代と言われるように、予測不能な状態で、「変化」にスピーディに対応することが求められている。

こういった変革を推進するにあたり、新たに人材の登用が必要だが、例えば、ウォーターフォール型の仕事の進め方をする人材とアジャイル型のプロジェクト推進を実施する人材とが混合し、社内にハレーションが生じる。

これまでは、新卒の大量採用・研修を行い、価値観が似通った社員が、1つの目的に向かって一致団結して取り組む為の組織設計・評価・報酬制度だった。今後は、当然ながらこれらの見直しや価値観の多用な人材をマネージできるような人材の教育が必要だ。

この整備がされていない中では、価値観のぶつかり合いが増え、ストレスの掛かる状況となる。つまり従業員のメンタルケアをするには、組織設計・採用・教育・評価・報酬制度まで考慮しなければならない

健康経営は「経営」なので「健康管理」担当だけで進めてはならない

健康で働ける環境をつくることを意思決定したとしても、現場の現状を踏まえると取り組むことがなかなかできない。その理由は以下の4点だ。

①縦割り型組織の為、組織設計・採用・教育・評価・報酬制度まで考慮できない
②主導で取り組むべき現場が忙しい
③取り組みのベースとなる数値取得に時間がかかる
④取り組みの成果が出ない

①については、その認識を踏まえた上で、体制構築・役割の設定をする他ない。

それ以外は、具体的に、次のような見立てだ。産業保健領域では、医療従事者の我儘や慣習や情報の取り扱いの難しさから業務が煩雑になっている。

例えば・・・
・紙でのやりとり
・健診機関毎に異なる健康診断データのフォーマット
・健康診断情報、過重労働時間、ストレスチェック情報がバラバラで管理が煩雑
・各種受診勧奨を電話で実施したり、個人別にメールで送付している
・保健師や看護師などが各種情報の分析をExcelで実施している

例をあげれば枚挙にいとまがない。これらを実施している人事担当者や保健師、従業員はこれが当たり前になってしまっている。

「取り組みの成果が出ない」という点では、健康で働ける環境づくりの一環として、人事部門が担当部署となって、セミナーやワークショップ、ヘルスケアアプリの提供などを実施している企業がある。残念ながらこちらも明確な成果が出たと聞くことは少ない。

そもそも各施策が「健康に興味のある人」に向けたものになっており、本当に課題のある「健康に興味のない人」を巻き込めていないからだ。ここでも縦割り型組織の弊害が生じている。

ここまでの実態を企業のトップが理解した上で、トップが「健康経営」にコミットメントしなければ、「健康経営」の成功はない。

はたらくを、けんこうに。

FiNCはこういった状況に対して、テクノロジーの力で業務を簡略・簡素化し効率をあげ、本来取り組りくむべき健康増進により一層注力できる環境を用意します。

人事担当者や産業医、保健師さんの働く環境も従業員の働く環境も改善して、「健康になった」という成果を出していきます。

そしてFiNCは、働くほどに「カラダの健康」と「ココロの健全」がどんどん増えていく世の中を当たり前にします。

”はたらくを、けんこうに。”
企業の生産性は、従業員一人ひとりの健康からはじまる。
そして未来を担える人材は、健康に働くことのできる環境に集まる。
そんな時代にFiNC for BUSINESSが目指すのは、ビジネスと健康を自然なカタチでつなぐこと。
普段から健康を意識して働く人が増え、働くほどに健康になれる環境をこれからの当たり前にしていく。
すべては健康寿命を延ばし、人生百年時代のウェルネスをかなえるために。ひとも、環境も、しくみも、ビジネスシーンをすこやかに変革していきます。

すべては、「Design your wellness ~一人ひとりが、自分らしい豊かな生活を描ける世界に~」の実現のために。

このVision実現に向けて引き続きOne Teamで事業を推進していきます。次回は、健康経営の実践方法についてお伝えします。

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