クロカワナオキ / 障がいを持つ子どもを育てる人のためのライフデザイン

作業療法士。社会人になった発達障がいの子どもと暮らしています。 発達障がい児の育児につ…

クロカワナオキ / 障がいを持つ子どもを育てる人のためのライフデザイン

作業療法士。社会人になった発達障がいの子どもと暮らしています。 発達障がい児の育児について「もっとはやく知りたかった」「こう考えれば良かった」ことを書いています。 同じ境遇の方の参考になれば嬉しいです。

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『目次』 障がいを持つ子どもを育てる人のためのライフデザイン

1. 障がい児を育てる自分のことを考える子どもの障がいが親の価値観を変える 『障害児の育児』と『親の生活』の関係性を整理する 障害児を育てる親の、後悔しないライフプラン 障がい児を育てる親にとっての生きがいについて 障がい児の親は、子どもの成長よりも自分の行動に焦点を当てる 障がい児の成長に合わせて親の葛藤は変わる 2. 子どもと私の生活デザイン障がい児の親は「共働き」が基本 障がい児を育てる親の、心地よい暮らしの作りかた 障がいを持つ子どもの「こだわり」

    • 障がい児の親は、子どもとまわりを繋ぐ通訳者になる

      子どもの将来に対してまず最初に不安を覚えたことは「この子は孤独な人生を歩んでいくのではないだろうか」といったことでした。 幼い頃から僕の子どもは言語の理解と表出の両方に大幅な遅れがあり、大人になった時に言葉を使ったコミュニケーションが取れるようになるのかも定かではありませんでした。 自立できないことはしょうがないにしても、誰にも相手にされず理解もされない。 自分はひとりぼっちだ。 そんな空気を纏った生活を過ごしていくのかと考えると、子どもが不憫に思えました。 子ども

      • 障がい児との「終わらない育児生活」の平穏な過ごし方

        作業療法士として20年以上経ちますが、そのうちの6年間を患者さんの自宅を訪問してリハビリをする部署で過ごしました。 病気を患った患者さんや、介護をされているご家族と関わらせてもらった経験から得られたことは、仕事の充実だけではありません。 介護を行っている人、介護を受けている人が考えていることや感じていること。 それらは、障がいがある子どもと共に生活している僕にとって、今後の生活を考える土壌となっています。 障がい児の育児は、誤解を恐れずに言ってしまうと「終わらない介護

        • 障がい児の親は、子どもの成長よりも自分の行動に焦点を当てる

          まだ子どもが小さい頃、あの子はこれができているのにうちの子はまだできない、ということばかりが目について仕方ありませんでした。 外来リハビリの待ち時間も、障がいがある他の子どもを見ては無意識に比べてしまう始末。 他の子どもと比べてることで、自分の子どもの成長度合いを推し量っていたのです。 定期的に行っていた発達検査では、その結果に一喜一憂し、芳しくない項目をどうやって練習させようかと思いを巡らしてばかりです。 しかし、子どもは親の思い通りには動いてくれません。 悩みは

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        • 障がいを持つ子どもを育てる人のためのライフデザイン
          46本
        • 障がいがある子ども、どう育てよう? Podcast
          11本

        記事

          障がい児の親は「自立」をサポートしながら「自律」を目指す

          育児の目的を考えたとき、思い浮かぶのは「自立」という言葉です。 できるだけ人の手を借りなくても、自分自身の力で生活していける。子どもがそうなってくれることで、ようやく肩の荷が降りる。 子どもの障がいが判明するまではそんなイメージを抱いていました。 しかし、自分が作業療法士の仕事をしていることもあり、子どもが小学校に進学してしばらく経った頃「この子は大人になっても自立は難しいだろう」ということを自然に理解しました。 大人になっても自立できないこの子に生きる力を持たせてあ

          障がい児の親は「自立」をサポートしながら「自律」を目指す

          子どもの障がいの受けとめ方

          子どもに障がいがあるということがわかったとき、親は動揺します。 はじめは実感が湧かず、色々な問題に直面することで少しずつ現実に起こっていることなのだと理解していく。 その後の混乱を通じて様々なことに折り合いをつけ受容に至る、というのが一般的な障がい受容の過程になります。 それほどまでに心を揺さぶられる理由。 それは「障がい」という言葉に対して湧き起こる、怒りや悲しみ、寂しさなどの感情。 そして子どもに対し、自分の心身の延長のような感覚を感じているからです。 障がい

          noteを始めて1年間で最も読まれた記事5選(2023.3-2024.3)

          このnote記事を書き始めたのは2023年の3月。 それからちょうど1年が経ちました。 長く書き続けられたのは、読んでくださった皆さんのおかげです。 本当にありがとうございます。 このnoteは特性上、障がいがある子どもに関わる方の目に触れることが多いと推察します。 この節目に特に多くのスキを頂いた記事、上位5本についてご紹介させていただきます。 これらの記事が障がい児に関わる人にお役に立てれば、これほど嬉しいことはありません。 1位 『障害児の育児』と『親の生活』

          noteを始めて1年間で最も読まれた記事5選(2023.3-2024.3)

          障がいがある子の、中学生からはじめる就職活動

          就職して、できたら一人暮らしを経験させてあげたい。 子どもに対してそう思うのは、子どものためでもあり、親自身が安心したいという気持ちのせいかもしれません。 障がいがある子どもにとって、働くことは経済的価値以外にも、様々な意味があります。 子どもが就職して収入を得ることができるようになれば、お金を使った色々な体験ができるようになり、子ども自身の生活は充実します。 また高校卒業後も社会との接点を持ち続けるので、社会的孤立を免れたり新しい人間関係への出会いを期待することがで

          子どものことを考える、『自分会議』の始め方

          子どもに何をしてあげることが本当に良いことなのか。 その答えを考えることは意外と難しい。 なぜなら、育児は身近すぎるからです。 毎日の雑多なことに追われて気がつくと、なんだか上手くいってない・困ったことになっている。 僕はそんなときに『自分会議』をしています。 会議といっても出席するのは自分1人だけですが、自分自身との対話を通じて今まで育児の様々な課題をクリアしてきました。 子育てには切れ目がないため、ときには立ち止まって「考える時間」が必要なときがあります。

          障がい児を育てる親の、心地よい暮らしの作りかた

          僕は障がいがある子どもを育てる親は、自分自身のことに目を向けた方がいいと思っています。 子どものことを気にすることが多いために、自分自身を大切にする意識が希薄になりやすいためです。 とはいえ、家事や育児に加えて仕事をしていたりすると、そう簡単にはいかないことも事実。 そこで、障がい児の親が心地よい生活をどう作ってゆけばよいのかについて考えていきます。 心地よいという感覚は人それぞれ異なります。 ここでは「余裕を持って自分のペースで過ごすことができる生活」と定義して話

          障がい児の成長に合わせて親の葛藤は変わる

          知的障がいがある子どもが成人を迎えるまで、親の育児に対する気持ちは刻々と変化していきます。 僕は子どもが社会人になるまで、育児に対するさまざまな葛藤を抱えてきました。 振り返ってみると、それは子どもの障がいを受容していく過程であったのではないかと思います。 このnoteを読まれている方の中には、障がいを持つ子どもの育児の悩みや葛藤を抱えている方もおられるかと思います。 そこで、子どもが成人に至るまでの親の葛藤はどのように変化してきたのか、自身の経験を例に示していきたい

          障がい児を育てる親にとっての生きがいについて

          僕は知的障害がある子どもを19年間育ててきました。 ときおり「この19年間にどのような意味があったのだろうか」という思いがふと浮かぶことがあります。 そんなとき、育児はときに「生きがい」となっていたのだと感じるのです。 障がい児の子どもを持つことは健常な子どもを持つことに比べれば、大変なことが多いのは言うまでもありません。 にも関わらず、生きがいだと感じる時間はどんな時間に存在したのでしょうか。 少し掘り下げていきたいと思います。 「生きがい」とは一般的には「生き

          発達障害児の「集中力」の育てるために親ができること。

          発達障がいを持つ子どもの多くに「注意の障害」があります。 育児の中でも、子どもの物事に集中できる時間が短かったり、課題の途中で席を立ってしまったり、外を歩いていて信号や車に気がつかなかったりということに出くわすことも少なくありません。 子どもは、ある程度集中を持って活動に取り組み、自身の頭や体を使った経験を積み重ねて、さまざまな技能を身につけていきます。 集中したり注意を払えないことは、集中して活動に取り組むことを困難にさせ、活動を通じて学習する経験を少なくさせます。

          発達障害児の「集中力」の育てるために親ができること。

          発達障害がある子どもの子育て 一問一答

          Q.子どもをどう育てていいのかわかりません。 A.得意なことを中心にトレーニングしていきましょう。 子どもの能力を客観的に見たとき、得意でできていることを積極的にトレーニングしましょう。 また得意なことでも、できていないことはサポートをしながらトレーニングを進めていきます。 苦手なことは、今できていても子どもが無理をして適応していたり、失敗体験を繰り返して嫌になっている可能性があります。 サポートに徹しましょう。 Q.育児のために自分の時間が損なわれている気がして辛い

          障がいを持つ子どもに、変わってほしいと思ったら取り組むこと

          障がいの有無に関わらず、親が子どもに対して「行動を直してほしい」と思い浮かべる場面は誰しもが経験をすることだと思います。 「ちゃんと〇〇しなさい」と強めの口調で叱っても、言うことを聞いてもらえないと腹立たしかったり悲しかったりと、親の方もモヤモヤしてしまいます。 子どもの理解力が育っていけば徐々に親の言うことを理解するようになり、やきもきするようなことは減ってくるのかもしれません。 しかし、もし子どもの理解力が育ちにくい知的障害があるとしたら、少し話が複雑なります。 親

          障がいを持つ子どもに、変わってほしいと思ったら取り組むこと

          障がい児の育児に余裕を持つためにできること

          障がいを持つ子どもの日常を支えるために、もっとも大切なこと。 それは親の心に余裕があることなのではないかと思います。 疲れていたり感情的なると、穏やかな気持ちで子どもに関わったり、客観的な判断をすることはできません。 日常に「余裕」が必要だと考えるのは、それがあるかないかで愛情の伝わり方が変わったり、療育に関する判断が変わってしまうからです。 では余裕を持つためにはどのようなことができるのでしょう。 以前ポッドキャストで話したことや実際に自分が行ったことについて、少し