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73:ベナンの治安が良い理由 / 民衆制裁に巻き込まれた話

 Bonjour!

 ベナンは他のアフリカ諸国より治安が良いと言われています。

 実際に親切な人がとても多く、「夜の外出は控える」「戸締りを忘れない」等、JICAの決まりを守っていれば危険な目に遭うことはないなと感じています(もちろん油断は禁物なので、私物の管理等は日本にいる時より気をつけています。)

 なぜ「治安が良い」と言われているのか考えてみました。

 ① 複数の宗教が共存している


 これは世界的にみても非常に稀なケースだと思います。
 (↓足しても100%にならないのはなぜ…笑)

キリスト教48.5%
イスラム教27.7%
ブードゥー教(土着宗教)11.6%
その他(土着宗教)2.6%
無宗教5.8%

2013年 国勢調査

 キリスト教の教会の隣にイスラム教のモスクやブードゥー教の施設が建っていることも珍しくありません。また、キリスト教とブードゥー教の掛け持ちをしている人も多いです。

 一般的に宗教の対立は戦争や紛争の原因になることが多いですよね。

 複数の宗教が共存している=お互いを認め合っているというベナンの素敵な国民性の象徴だと思います。

 ※ブードゥー教については今後まとめて記事にする予定です。

左から
イスラム・キリスト・ブードゥーの建物


 ② 民衆制裁がある

 ベナンには民衆制裁があるため、モノを盗んだり暴行をしたり等人前で悪いことはできません。

 もし人前で悪いことをしてしまったら、子どもも女性も関係なく周りにいた人々に気絶or死亡するまで殴られるそうです。

 そのおかげで治安が保たれているのは大きいと思います。

雨季
涼しいけどマラリア注意


 ・ 民衆制裁に巻き込まれた話

 最近初めて民衆制裁を目撃しました。しかも目の前で…。

 活動帰りにネイルをしてもらっていると、一緒にお喋りをしていたマダムたちが顔色を変えて少年を木の棒で思いっきり殴り始めました。

 急いで止めると、「この少年がお金を盗んだ!」とのこと。

 少年は泣き叫んでおり、額からは血が出ていました。

 「この子は子どもでしょ!やめて!」と無我夢中で止めましたが、次々に近所の大人たちがやってきて少年を殴ろうとします。そして、その少年を彼らの家に引き摺り込もうとしていました。

 必死に止める私。

 私の足にしがみつく少年と私と少年を引き離そうとする大人たち。私の足は綱引きの綱状態になり、引きちぎれるかと思い痛すぎて叫びまくりました。

 大声で発狂している私を見て驚いたのか諦めたのか分かりませんが、大人たちは少年を解放しました。

 ※皆さんは民衆制裁が起きても近付いたり、ましてや止めに行ったりしないでください。私は運良く怪我はありませんでしたが、とても危険です。

この写真を撮った後に民衆制裁が起きた

 民衆制裁のおかげで治安が他のアフリカ諸国より良いとはいえ、子どもをあそこまで殴るのは絶対許せません。今回は太い木の棒が折れるまで殴っていました。教師を含め殴ればいいと思っている大人ばかり。絶対間違ってる…。

 そして今回遭遇した民衆制裁が自分にとってショッキングな光景じゃなかったというのがとてもショックでした。

 とある国の同期が「環境に慣れるのは動物の本能だから、そんなおかしなことじゃないからね」と言ってくれましたが、人間の心を失ってしまった感じがして結構ショックを受けています。

 毎日毎日酷すぎる体罰を学校で見ていて(毎回絶対止めてる)、麻痺してきているのだと思います。

 体罰をする先生は私に止められることでプライドが傷つくだろうし、「なおまた体罰止めてる〜」と他の先生たちにバカにされることもありますが、自分の目の前にいる子どもだけでも心身の健康は守ってあげたいです。


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