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暗闇では何も見えないのか?

昨日発売の哲学書『Night Vision: Seeing Ourselves Through Dark Moods』Mariana Alessandri著を購入した。先月フリーマガジンで見かけてからずっと気になっており、その興味深いタイトル通り、一部の詩人マニアのためか早速店頭にどっさり平積みされていた。

大変惹かれるタイトルである。こういう表現が好きだ。19世紀フランスの編集者ピエール・ガスカールの著書に似たようなニュアンスの文章がある。

狂人、あるいは半狂人たちは、 想像力の如何な る戯れにも合わせてくれる優しい亡霊たちに満ち た夜の世界ではくつろいでいられる。白昼は有無を言わせぬ明白な事実で一杯なのだ。その上、奇矯な振舞も暗闇では注意をひかな い。

ピエール・ガスカール『ネルヴァルとその時代』


分かる。残念だが、完全に理解できる。光はときどき眩しすぎる。闇は心地よいのだ。だれどもずっとその暗闇にとどまっていれば、我々は生きれない。


ちなみに日光を浴びる、筋トレ、運動はポジティブなメンタルを作る、とよく言う且つ過去に何度も人から勧められてきたが、全然嘘である。毎日外へ出て出勤し路面店で働き、拒食症思考のため少なくともここ10年はほとんど毎日筋トレとストレッチに励み、海外に移住してからは週3〜4回ジムでランニングもしているけれど気分の波がなくなったことなどは一度もなく、抗うつ剤は手放せず余裕で鬱になる。もちろん本格的に落ちればジムどころではない。真偽の程はわかりかねるが、メンタルエフェクトがある人も一定数いるのだろう。

他州から帰宅し扁桃炎になってからイマイチ調子が整わない。仕事先では人が次から次へとが入って来てトイレに行けないとだんだん悲しくなるし、家族連れが子供を連れているとお願いだから黙ってくれと思う。そもそもわたしは子供が大嫌いである。子供というのは直感に優れているので、弱い大人を瞬時に見抜き懐きに来る。こちらはその読み通り無視する強さなど持ち合わせていないのでヘラヘラ相手をしてしまう。そのあとで、子供をおぞましいと思った自分への罪悪感でぐったりし、子供を産んで育てなきゃいけなくなるくらいなら絶対に死のうと心に誓う。

「あんなに美しい女性が11年間も子どもを産み続けたんだぞ、あの生殖というおぞましい法則にしたがって。まさに地獄じゃないか。」

モーパッサン『あだ花』



こうやって自分の性質を文章にしていると、わたしはやっぱり、なんだか変だと再認識する。なにか大事なものが欠けているのだ。ただ、なにかが欠けている人間というのはどうやらわたしだけではないらしい、とインターネットを眺めていると思う。

わたしはピエール・ガスカールの言うところの、
" 狂人" にあたるのだろうと思いながら、夜な夜な『Night vision』を読む。今夜は暗闇でくつろぐのだ。



【余談日記】
気まぐれでGODIVAのカフェに入ってみた。80%Cacaoのホットチョコレートを試したらめちゃくちゃ美味しくて感動してしまった。

世界中のフェリーの動画を観ている。船に惹かれて、ときどき乗るようになったのは大人になってからだが、仙台出身のためフェリーは昔から身近な存在だった。
お気に入り船は太平洋フェリー『きそ』。仙台から名古屋もしくは苫小牧へ行ける。寒くて、風がめちゃくちゃ強くて、船の音でなんにも聞こえないデッキで眺める日の出に惚れ込んだ。

破茶滅茶な散文だが、暗闇の話で始まり日の出の話で締め、多少文章のバランスが取れたかと思う。笑


本屋のペーパーバックがお洒落で好き
なのでいつも貰う。

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