南禅寺豆腐屋

京都の豆腐屋です。本物の豆腐をご存知ですか? 大豆の香りと味のする「これが、豆腐だ!」…

南禅寺豆腐屋

京都の豆腐屋です。本物の豆腐をご存知ですか? 大豆の香りと味のする「これが、豆腐だ!」という感動を伝えたい。 そんな気持ちを豆腐屋のひとり言という形で発信していこうと思っています。 株式会社服部食品 www.nanzenjitofu.Jp

最近の記事

豆腐屋のひとり言 神楽岡は坂の町

吉田神楽岡は坂の町だ。 京都は盆地なので中心部は平坦なのだがお盆の縁(へり)のほうは畢竟坂が多くなる。 今出川通を東へ、大文字山が大きく見えだす頃右手にこんもりとした小山が現れる。 吉田山古くは神楽岡と呼ばれ節分で有名な吉田神社の神域でもある。 何事にも大層な歴史がくっつく京都の例に漏れず神々が神楽を催したとか足利尊氏が布陣して南朝と戦ったなどという話も残っている。 この吉田山の東麓は神楽岡と呼ばれる閑静な住宅街となっている。 車道から少し山手に入ると昭和初期にタ

    • 豆腐屋のひとり言 「手」

      「あぁっ!もう。猫の手も借りたいわっ!」 この場合の「手」は労働力を意味する。 猫に手伝って欲しいくらい忙しい状況な訳で… その猫はと言うと 「使うニャ?」って寝てるやん! 歌い手や担い手といった場合この手は人をさす。 「手」と言う言葉はさまざまな意味で使われる。 それだけ身近であり大切である「手」 この手は服部で三十数年豆腐を造り続けた職人の手。 皮は固くなり、指先はひび割れた造り手。 「これくらいの厚さで仕上げるんです。これだと厚すぎるので。」と指で示

      • 豆腐屋のひとり言 ひつまぶしのこと

        うなぎは丼が一番と思っていた。そう、昨日までは… 名古屋まで家族でドライブ、お昼は末っ子の希望でひつまぶしを食べることに。 正直ひつまぶしって食べたこと無かったんだよね。 なんか面倒くさい感じがして。 一杯目はそのままで、二杯目は薬味と。締めに出汁をかけてだって。 美味いうなぎは普通に丼で良いじゃん! そう思っていた時が僕にもありました。 ひつまぶしを実食。 目から鱗が落ちた。脳が脱皮した。 もう「なんじゃ、こりゃあ!」ですよ。 味変どころの騒ぎではない。

        • 豆腐屋のひとり言 餃子の想ひで

          あれは、もう40年ほど昔になるか美味い餃子の店があった。 京都四条、高瀬川にかかる橋を渡った先。ピンクのネオン看板が並ぶ小便臭 い路地の奥、4〜5人も入ればいっぱいのカウンターだけの「餃子の王将西木 屋町店」 メニューは餃子とカッパと呼ばれる胡瓜の漬物そしてビールと酒。 材料は他の王将と同じと聞いたがその餃子は別ものだった。 高齢のご夫婦?が包み、焼く餃子は香ばしい焦げ色を纏い蠱惑的な油のベー ルが輝き湯気あがるプックリした姿に喉が鳴る。 焼き上がりにマヨネー

        豆腐屋のひとり言 神楽岡は坂の町

          豆腐屋のひとり言 煩悩さん、いらっしゃい!

          「葷酒山門に入るを許さず」 禅寺の門によく立ってる奴。 香りの強い野菜(ニラとかニンニク)と酒を寺に入れるなと。 修行の妨げになる煩悩を呼び起こすから。 煩悩:心身に纏いつき心をかき乱す、一切の妄念、欲望。 わかりやすく言うと「美味いものが食べたい」「良い車に乗りたい」etc… 高いこころざしを持つ修行僧ですら煩悩を断つために努力する。 いわんや、在野の凡愚たる自分になど煩悩はより集まって…あれ? 最近、煩悩さんの声を聞いてない?あれが欲しい、これがしたいって

          豆腐屋のひとり言 煩悩さん、いらっしゃい!

          豆腐屋のひとり言 冬の恵みを喰らう

          道の駅で見事な大根と出会う。 心が歓声をあげる。「煮物だ!」 帰って早速出汁をひく。昆布と鰹で丁寧に。 醤油、酒、みりん。まだ味が決まらない。かどがある。 ここでお揚げさん登場。一転味がまとまる。米油良い仕事するわぁ。 下ゆでした大根が味を含むようコトコト。 なんら値の張る材料を使うわけではない。自然の恵みをただいただく。 「贅沢な素食」 南禅寺豆腐屋服部が提唱する食の在り方。お金をかけるのが贅沢じゃないのよ。 季節を喰らう。豆腐屋のひとり言

          豆腐屋のひとり言 冬の恵みを喰らう

          豆腐屋のひとり言 直木賞を読む

          年頭の目標として「本を読む」を掲げた。 元々読書を好んだが、ここしばらく時間をかけて本を読むことから遠ざかっていたから。 さて、何を読もうか?書評の薦める本?売れてる本? そうだ、直木賞受賞作家を片っ端から読んでやろうと決めた。 直木賞にしたのに大した理由は無い。芥川賞だと絶対途中で挫折しそうだったから。 芸術性のある小説より大衆小説のほうが面白そうやん。 ということで読みはじめて6冊目にかかっている。近年の受賞作家から手をつけているがなかなか面白くて止まらない。

          豆腐屋のひとり言 直木賞を読む

          豆腐屋のひとり言 稲荷よ、お前もか

          初詣で伏見稲荷大社へ行った。 ここ数年、海外からも注目されて外国人観光客も増えた。 千本鳥居、ミステリアスなスポットとして人気らしい。 千本鳥居って、子どもの頃は昼でも薄暗く無気味な所というイメージしか無かったんだけど。 伏見稲荷を1年ぶりに訪れて感じたのは、昔からあった店が全然違う店に変わってしまっているってこと。 お茶屋さんはキャラクターグッズの店に、神具店は肉料理の店に。 まぁ、無責任な第三者が言えることでは無いんだけど、やっぱり言いたい。 「そこに、矜持は有

          豆腐屋のひとり言 稲荷よ、お前もか

          豆腐屋のひとり言 猫に学ぶ

          「ニャア!」カリカリ。 ドアを開けろと猫が呼ぶ。 朝、配達から帰って休んでいる時間に毎日。 「はい、はい」と入れてやるとひとしきり部屋を歩いて 気がすむと今度は出せと。 猫に忖度は無い。どこまでも自分中心。 午前中これを3〜4回繰り返す。 何か猫なりのルーティンか?午後は部屋に来ると寝る。 なんたる傍若無人、なんたる傲岸不遜。 と怒ってみても仕方がない。猫だから。 羨ましいほどのマイペース。 猫になりたい。 まわりを気にする、他人の言葉にブレる。 やめよう。 来年は

          豆腐屋のひとり言 猫に学ぶ

          豆腐屋のひとり言 大盛り考

          「蕎麦、大盛りでね!」「あいよっ!」 大盛り、心躍る響きである。 齢六十にせまっても、いまだに蕎麦屋へ行くと大盛りをたのむ。 大体が通常の一人前が少なすぎる。生来の麺食いとしては蕎麦はたっぷり食べたいのである。 初めて行く蕎麦屋で大盛りをたのむと「えっ、これで?」という量の時がある。 蕎麦の一人前は店によってまちまちで、これで大盛りですと出されたら客は黙って頂くしかない。 かと思えば、とんでもない大盛りが出てくることもある。 京都の一乗寺の蕎麦屋など大盛りを頼むと、かき氷か

          豆腐屋のひとり言 大盛り考

          豆腐屋のひとり言 お庭好きは急げ‼️

          行ってきました。東福寺塔頭「龍吟庵(りょうぎんあん)」秋の特別公開へ。 自分一推しの作庭家重森三玲氏の三つのお庭が拝見できる、しかも3年ぶりの公開。 もう行くしかないと秋の1日京都市東山区へ朝から向かいました。 重文の偃月橋を渡り龍吟庵へと、この偃月橋は1603年の建築とあるから徳川幕府成立の年。こういうところに京都の凄さがあるんだね。歴史を感じながら橋を渡っていく。 ラッキーなことに係の方の丁寧な説明付きで拝観することができました。 こちらの方丈は寝殿造と書院造が混在す

          豆腐屋のひとり言 お庭好きは急げ‼️

          豆腐屋のひとり言 美味しい豆腐って?

          豆腐屋の目標は、やっぱり美味しい豆腐を造ること。じゃあ美味しい豆腐ってどんな豆腐? 服部の豆腐を美味しいと言ってくださるお客様がおられる一方で、こんな豆腐食べられないと言う言葉をいただくことも有る。同じ豆腐を食べてもこれである。 豆腐の美味しさを表す表現として良く使われるものに「大豆の旨味が感じられる」とか「しっとりとした絹のような舌ざわり」というのがある。 そもそも豆腐というものは大豆から造るもので大豆の旨味が感じられるのは豆腐屋にしてみれば当たり前のこと。 舌ざわりに

          豆腐屋のひとり言 美味しい豆腐って?

          豆腐屋のひとり言 鯖街道をドライブ

          朝目を覚ますと素敵な秋晴れ。こんな日はのんびりとドライブでも楽しもう。鯖街道を朽木まで、美味しい蕎麦を食べに行こう! 京都市内から大原、途中を経て滋賀県朽木へ、色付く山並みを眺めながら車を走らせること1時間ほどで到着。早速お蕎麦をいただく。 蕎麦も美味しいが栃餅の揚げ出しが最高。調子に乗ってニシン蕎麦まで注文してふと考えた。 鯖街道は若狭と京の都を結ぶ街道で塩鯖を運んでいたので名前がついた。 若狭で塩をした鯖が京に着く頃にちょうど良い塩加減になったらしい。 京は海が無い

          豆腐屋のひとり言 鯖街道をドライブ

          豆腐屋のひとり言 豆腐の色

          豆腐の色は?という問いにたいていの方は「白」と答えると思う。 たしかに豆腐は白い。しかし純白ではない。 豆腐の白は少しクリームがかった象牙のような白で、それは大豆由来の白だ。 大豆の色はクリーム色、皮を取るともう少し白くなる。 大豆を絞った豆乳の色がこれ。 この豆乳で大豆固形分15%程度、だいぶ水で薄まってはいるがクリーム色はしっかり残っている。この色が豆腐の色だ。 豆腐にも濃い豆乳を使って造る豆乳と薄い豆乳を使うものがある。 味の濃厚な豆腐は色も濃い。 美味しい豆腐

          豆腐屋のひとり言 豆腐の色

          豆腐屋のひとり言 琵琶湖疎水船

          秋の休日、琵琶湖疎水船に乗って大津まで行ってみた。 琵琶湖疎水は琵琶湖の水を京都に運ぶ人口の運河で明治23年に完成した。 琵琶湖疎水船は滋賀の大津と京都の蹴上の間で春と秋の期間限定で運行される。 乗船前に琵琶湖疎水の歴史の説明があり、船上でもガイドさんがトンネルや工事にまつわるエピソードを紹介してくれる。 トンネルには明治の元勲が筆をふるった扁額が掲げられていて疎水の注目度がしのばれる。 明治維新後の東京遷都で寂れた京都を復活させるための一大プロジェクトが琵琶湖疎水だっ

          豆腐屋のひとり言 琵琶湖疎水船

          豆腐屋のひとり言 「手間をかけるという贅沢」

          うち(南禅寺豆腐屋服部)の豆腐に「山椒が香るおぼろ」というのがある。 山椒の香味油をおぼろ豆腐に練り込んだ、多分うちにしか無い豆腐。 この豆腐を開発した時のコンセプトが「手間をかけるという贅沢」だった。 とかく省力化だ合理化だと叫ばれる風潮に対し、本当に手間をかけたからこそ造れる美味しさがあると伝えたかった。 かかる手間は半端でない。山椒は和歌山県産ブドウ山椒を使う。 山椒の収穫はすべて人の手で手づみされる。種を取り除くのもすべて手作業。どれほどの時間がかかるのだろうか

          豆腐屋のひとり言 「手間をかけるという贅沢」