南禅寺豆腐屋

京都の豆腐屋です。本物の豆腐をご存知ですか? 大豆の香りと味のする「これが、豆腐だ!」…

南禅寺豆腐屋

京都の豆腐屋です。本物の豆腐をご存知ですか? 大豆の香りと味のする「これが、豆腐だ!」という感動を伝えたい。 そんな気持ちを豆腐屋のひとり言という形で発信していこうと思っています。 株式会社服部食品 www.nanzenjitofu.Jp

最近の記事

豆腐屋のひとり言 大盛り考

「蕎麦、大盛りでね!」「あいよっ!」 大盛り、心躍る響きである。 齢六十にせまっても、いまだに蕎麦屋へ行くと大盛りをたのむ。 大体が通常の一人前が少なすぎる。生来の麺食いとしては蕎麦はたっぷり食べたいのである。 初めて行く蕎麦屋で大盛りをたのむと「えっ、これで?」という量の時がある。 蕎麦の一人前は店によってまちまちで、これで大盛りですと出されたら客は黙って頂くしかない。 かと思えば、とんでもない大盛りが出てくることもある。 京都の一乗寺の蕎麦屋など大盛りを頼むと、かき氷か

    • 豆腐屋のひとり言 お庭好きは急げ‼️

      行ってきました。東福寺塔頭「龍吟庵(りょうぎんあん)」秋の特別公開へ。 自分一推しの作庭家重森三玲氏の三つのお庭が拝見できる、しかも3年ぶりの公開。 もう行くしかないと秋の1日京都市東山区へ朝から向かいました。 重文の偃月橋を渡り龍吟庵へと、この偃月橋は1603年の建築とあるから徳川幕府成立の年。こういうところに京都の凄さがあるんだね。歴史を感じながら橋を渡っていく。 ラッキーなことに係の方の丁寧な説明付きで拝観することができました。 こちらの方丈は寝殿造と書院造が混在す

      • 豆腐屋のひとり言 美味しい豆腐って?

        豆腐屋の目標は、やっぱり美味しい豆腐を造ること。じゃあ美味しい豆腐ってどんな豆腐? 服部の豆腐を美味しいと言ってくださるお客様がおられる一方で、こんな豆腐食べられないと言う言葉をいただくことも有る。同じ豆腐を食べてもこれである。 豆腐の美味しさを表す表現として良く使われるものに「大豆の旨味が感じられる」とか「しっとりとした絹のような舌ざわり」というのがある。 そもそも豆腐というものは大豆から造るもので大豆の旨味が感じられるのは豆腐屋にしてみれば当たり前のこと。 舌ざわりに

        • 豆腐屋のひとり言 鯖街道をドライブ

          朝目を覚ますと素敵な秋晴れ。こんな日はのんびりとドライブでも楽しもう。鯖街道を朽木まで、美味しい蕎麦を食べに行こう! 京都市内から大原、途中を経て滋賀県朽木へ、色付く山並みを眺めながら車を走らせること1時間ほどで到着。早速お蕎麦をいただく。 蕎麦も美味しいが栃餅の揚げ出しが最高。調子に乗ってニシン蕎麦まで注文してふと考えた。 鯖街道は若狭と京の都を結ぶ街道で塩鯖を運んでいたので名前がついた。 若狭で塩をした鯖が京に着く頃にちょうど良い塩加減になったらしい。 京は海が無い

        豆腐屋のひとり言 大盛り考

          豆腐屋のひとり言 豆腐の色

          豆腐の色は?という問いにたいていの方は「白」と答えると思う。 たしかに豆腐は白い。しかし純白ではない。 豆腐の白は少しクリームがかった象牙のような白で、それは大豆由来の白だ。 大豆の色はクリーム色、皮を取るともう少し白くなる。 大豆を絞った豆乳の色がこれ。 この豆乳で大豆固形分15%程度、だいぶ水で薄まってはいるがクリーム色はしっかり残っている。この色が豆腐の色だ。 豆腐にも濃い豆乳を使って造る豆乳と薄い豆乳を使うものがある。 味の濃厚な豆腐は色も濃い。 美味しい豆腐

          豆腐屋のひとり言 豆腐の色

          豆腐屋のひとり言 琵琶湖疎水船

          秋の休日、琵琶湖疎水船に乗って大津まで行ってみた。 琵琶湖疎水は琵琶湖の水を京都に運ぶ人口の運河で明治23年に完成した。 琵琶湖疎水船は滋賀の大津と京都の蹴上の間で春と秋の期間限定で運行される。 乗船前に琵琶湖疎水の歴史の説明があり、船上でもガイドさんがトンネルや工事にまつわるエピソードを紹介してくれる。 トンネルには明治の元勲が筆をふるった扁額が掲げられていて疎水の注目度がしのばれる。 明治維新後の東京遷都で寂れた京都を復活させるための一大プロジェクトが琵琶湖疎水だっ

          豆腐屋のひとり言 琵琶湖疎水船

          豆腐屋のひとり言 「手間をかけるという贅沢」

          うち(南禅寺豆腐屋服部)の豆腐に「山椒が香るおぼろ」というのがある。 山椒の香味油をおぼろ豆腐に練り込んだ、多分うちにしか無い豆腐。 この豆腐を開発した時のコンセプトが「手間をかけるという贅沢」だった。 とかく省力化だ合理化だと叫ばれる風潮に対し、本当に手間をかけたからこそ造れる美味しさがあると伝えたかった。 かかる手間は半端でない。山椒は和歌山県産ブドウ山椒を使う。 山椒の収穫はすべて人の手で手づみされる。種を取り除くのもすべて手作業。どれほどの時間がかかるのだろうか

          豆腐屋のひとり言 「手間をかけるという贅沢」

          豆腐屋のひとり言 秋は良い

          1年の中で秋が1番好ましい。 冬の寒さを乗り越えた春も素晴らしいが、夏の暑さが過ぎ去り澄んだ陽の光にどこか物哀しさのある秋は好ましい。 京都の秋はとりわけ素晴らしい。 四季それぞれに魅力のある京都だけれど秋は格別だ。この数年、静かだった京都も今年は相当にぎやかになりそうだ。 秋が深まるにつれ豆腐屋は忙しくなってくる。湯豆腐の季節がやってくる。 京都の紅葉には湯豆腐がよく似合う。 秋は良い。豆腐屋のひとり言。

          豆腐屋のひとり言 秋は良い

          豆腐屋のひとり言 精進とSDGs

          精進  雑念を去り一心に仏道修行すること。 身をきよめ行いを慎むこと。 肉類を食べず菜食すること。 その事に打ち込んで努力を続けること。 精進料理というのは3番目の意味から来てるんだ。 本来は修行に打ち込むという仏教からの言葉。仏教、特に禅宗では食事を作るという行為そのものが修行とされ、寺の台所である典座をあずかる僧は重い地位とされる。 道元禅師が遺された典座教訓(てんぞきょうくん)には食事を作るという行為の意味、食材を大切にする事などが書かれている。 安い材料

          豆腐屋のひとり言 精進とSDGs

          豆腐屋のひとり言 おでん考

          ずいぶんと秋も進んできたようだ。朝晩かなり冷える。 寒くなるとボツボツおでんが恋しくなる。 子どものころ家で食べていたおでんは何でもいっしょくたに煮てあって、あれはあれで美味かった記憶がある。ジャガイモとか少し煮崩れてたり。 ちょっと手の込んだ店なんか行くとおでん鍋に仕切りがあって味が混ざらないようになっている所もある。それもまた素材の味が分かって良い。 変わり種おでんも楽しい。レタスはサッと出汁で炊いてシャキシャキ感が残っているのが嬉しいし、しじみ汁は味噌汁とは違って

          豆腐屋のひとり言 おでん考

          豆腐屋のひとり言 秋祭り

          秋祭りのシーズンだ。初夏の田植えの時期は豊穣祈願の祭りが行われるのに対し、秋の祭りは豊作御礼なので浮き立つ感じがある。やはり日本は稲作の国、黄金色の田んぼを見れば心が躍るのはDNAのなせる技か? ただ、こんなちっちゃなお神輿を軽トラに乗せているのが悲しい。氏子が少なくなっているのだろうね。 祭りといえば屋台。子どもの頃、お祭りには小遣いを握りしめ屋台を物色したもの。 金魚すくいや射的、飴細工は好きだったなぁ❤️ この頃の屋台って、国際色も豊かになってシシカバブとか以前で

          豆腐屋のひとり言 秋祭り

          豆腐屋のひとり言 早朝の楽しみ

          毎朝4時の配達、週に5〜6日。ほぼ同じコースを毎日走っているので飽きがきそうなものだけれど、これがなかなか飽きない。 早朝のことで配達先で人と会うことはほとんど無い。鍵を開けて冷蔵庫に豆腐を入れたり調理場に置いてきたり。 人の代わりに出会うのが 猫。 我が家にも犬と猫が居るのでつい目がいってしまう。 あぁ今日も元気そうとか、あれ?今日は姿が見えないなとか。 いつしか3匹ほどお馴染みさんができた。 朝の楽しみ、もうひとつは普段と違う京都が見られること。 昼とも夜とも違

          豆腐屋のひとり言 早朝の楽しみ

          豆腐屋のひとり言 絶景かな

          南禅寺三門、日本三大門のひとつとされる。あとのふたつはどこだろう? 確かに壮大な門構え、石川五右衛門が門の上で「絶景かな!」と言ったとか言わなかったとか。 臨済宗大本山である南禅寺、服部ともご縁の深いお寺さんです。 門前には湯豆腐を食べさせる店が並び、西の天龍寺と共に湯豆腐が名物となっています。 京都の湯豆腐は土鍋に昆布と豆腐しか入ってません。他の具材は一切無し。 シンプルに木綿豆腐を昆布だしで温め、タレで食べます。 この料理とも言えないほどにシンプルな料理が成り立つのも

          豆腐屋のひとり言 絶景かな

          豆腐屋のひとり言 朝が早いわけ

          豆腐屋の朝は早い。 1番早い者で午前1時には工場にいる。ボイラーのスイッチを入れ、前日から水に浸けた大豆を炊いていく。 昔から豆腐屋の朝は早かった。理由は朝食に間に合わせるため。保存の技術など無かった時代、朝に食べる豆腐はその日の朝に造っていたわけ。フランスのパン屋さんと同じ。 今では朝の食卓に、その日に造った豆腐が並ぶことはまず無い。京都市内のスーパーに出来立ての豆腐をトラックで配達しても開店は9時か10時。朝ごはんには間に合わない。 じゃあ何故深夜から豆腐を造って

          豆腐屋のひとり言 朝が早いわけ

          豆腐屋のひとり言 にがりを打つ

          美味しい豆腐を造るには美味しい豆乳が不可欠と以前に書いた。ただし美味しい豆乳が有れば美味しい豆腐が造れるかと言うと、それほど単純ではない。 豆乳を美味しい豆腐にするのに最も大切と言って過言でないのが 「にがりを打つ」という工程だ。 豆腐職人の技術の中でも最も難しいと言われるこの「にがりを打つ」という工程にはいくつもの要素が複雑にからんでいて、とてもこの場で説明しきれない。 にがりの成分塩化マグネシウムは大豆のタンパク質と熱反応を起こして凝固させる。 天然にがりは他の凝固

          豆腐屋のひとり言 にがりを打つ

          豆腐屋のひとり言 南禅寺豆腐屋服部

          京都には有名どころの豆腐屋が何軒も有る。 嵯峨の森嘉豆腐、北野の天神さん前のとようけ屋、木屋町の近喜、天神川の久在屋。 みんな名前も渋いなぁ。豆腐屋って感じがするよね。 じゃあうちは?「株式会社 服部食品」 固い、固いよ。何屋か分からないじゃん。という事で「南禅寺豆腐屋服部」という 屋号にしてみました。おぉ、豆腐屋っぽい? 南禅寺豆腐屋という名称には元ネタがあります。 江戸時代天保年間の浮世絵ですが、もうこの時には南禅寺の豆腐は有名だったことが わかります。うちはたかだ

          豆腐屋のひとり言 南禅寺豆腐屋服部