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【詩】雨の花束、紡ぐ新しい物語

君がいたから、傷と向き合えた
君がいたから、不安と戦った
君がいたから、少しは女らしくした
君がいたから、月の嫉妬に呑まれた

君がいたから、喧嘩して傷ついた
君がいたから、沢山泣いた
君がいたから、パンチングボールを蹴った
君がいたから、孤独になった

そばにいても
遠くに思えた君を
突き放したのは僕

些細な言葉で
不安に怯え
自分を見失ったのは僕

君の愛を信じて
受け取れなかったのは僕

だから現在
君はここにはいない

僕に注ぐ愛が
枯渇してしまったんだろうか?

そうなる前に
僕の言霊の壺から
涙で集めた愛を注げたら
良かった

でも共に笑いあった過去を
取り戻したいなんて
そんなのはエゴだ

だから
君が紡いでくれた
沢山の歌をもて余しながら
炎の言霊を物語に変える

今夜は
ふたりで買った雨の花束を
そっと押入れにしまおう

そして暗闇と混沌に飲み込まれる前に
君の歌に負けない
幸福の物語を紡ごう

自信をなくした君が
臆することなく
新しい歌を歌えるように

君が受け取ってくれるか
分からなくても
僕のつけた君の傷を癒せるか
分からなくても

虹の向こうに消えた君を
追いかけないと決め
川の流れに乗った先で
君が望む安心と安らぎを
与えるための
僕の言霊の鍛錬


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