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その知識、自分事に置き換えられてますか?

はじめに「マズローの欲求5段階説」っておもしろいなーって話をしようと思う。

「マズローの欲求5段階説」とは、心理学者アブラハム・マズローが「人間は自己実現に向かって絶えず成長する生きものである」と仮定し、人間の欲求を5段階に理論化したものです。人間には5段階の「欲求」があり、1つ下の欲求が満たされると次の欲求を満たそうとする基本的な心理的行動を表しています。

今まで何度か目にしているけど最初の頃は
「ふーん。なるほど。すげーなー。」
くらいの感想しか持っていなかった。
これを見た事のある人の半数くらいは同じ感じじゃないかな?(笑)

日本産業と「マズローの欲求5段階説」

「マズローの欲求5段階説」は意外と身近に潜んでいたりする。日本産業の歴史を見てみれば、日本が誇る自動車業界、電化製品業界は「マズローの欲求5段階説」でいうところ下の2段である「生理的欲求」と「安全の欲求」を満たす商品を生み出すことで成長を遂げてきた。

「生理的欲求」は寒いから温まりたい。暑いから涼みたいなどの欲求。「安全の欲求」はより早く安全に移動したい。雨の日でも濡れずに移動したいなどの欲求を指す。

高度経済成長ってのはこういう人間の欲求の第1段階と第2段階を満たす商品たちが次々に発明されていった。こうして今の僕達は大体何をするにも不便なく生活できるようになった。

機能がある程度向上していくと、今度はどれだけ価格が安いのかに焦点があてられる。自分のお金をできるだけ減らさずに質の高いものが欲しい。これも安全の欲求に入るだろうか。

さて、このような企業努力が進むと、下位2段の欲求はほぼ満たされることになる。そうすると欲求は自ずと次の段階へと移っていく。所属と愛の欲求、承認欲求、そして自己実現の欲求

日本企業は下位2段の欲求を満たすところまではもの凄い勢いで成長してきた。しかしながら今現在の状況をを見る限りでは、相当に苦労を強いられている。そう。3段目から上の欲求に対して応えられなくなってきたのだ。

下位2段の欲求はより良いものを大量にスピーディにより安く!という便利を届けてきた。

対する上位3段の欲求は、明らかにこれまでの便利さを求めるものでは無くなった。物理的にではなく、精神的に満たしていく商品やサービスの提供が求められるようになったのだ。

飲食業界と「マズローの欲求5段階説」

僕は飲食業界の人間なのでこれを飲食業界に置き換えてみる。前述した日本産業と同様のことが言える。

最初はお腹を満たしてあげる、という「生理的欲求」を満たすことから始まったであろう飲食業。そこから時代は進み、今では多くのお店が質の高いものをより早く、より安く、提供することで下位2段の欲求を満たしてきた。

ただ、今現在、この下位2段の欲求を満たす飲食店が飽和状態にある。現代はどこに行ってもある程度のものをある程度の価格帯で飲み食いすることができる時代だ。そして下位2段だけで勝負しようとすれば資金力のある大手チェーン店との勝負にどうしても負けてしまう。

では現代に求められる飲食店の上位3段の満たし方にはどんなものがあるのだろうか。

サブスクリプションは1つの形かもしれない。そこで常連になることで店とお客の距離が縮まり、絆ができていく。所属と愛の欲求が満たされる。

Instagramを意識した店内環境や料理を作る、ということも上位の欲求を満たす条件にあたるかもしれない。なんちゃってインフルエンサー達がオシャレな写真を上げることで「いいね」がもらえ、承認欲求が満たされる。更には本物のインフルエンサーになれれば自己実現の欲求も満たされていくのかも。

キングコングの西野亮廣氏がスナックに再注目したのも「マズローの欲求5段階説」で言う、下位2段ではなく、上位3段を満たすような要素がスナックには織り込まれてるからではないのだろうか。

こんな風に時代の変化と共に我々人間の欲求の段階も変わっていく。「マズローの欲求5段階説」を知っていれば自分たちが今後どんな対策をしていけば良いのかの指針ができる。

よく「AIに仕事を奪われる」というが、AIが満たせるのは今後しばらくは下位2段の欲求である。上位3段は今のところは人と人の繋がりで満たされるものが非常に多い。あくまで今のところはだけどね。

知識は使わなきゃ意味がない

「マズローの欲求5段階説」を見た時に
「あー。なるほど。飲食業界に置き換えると、、」
とリアルに考えられる人はどれだけいるだろう。

何か新しい知識を得た時に「ふーん。おもしれー。」で思考停止してしまう人と「あー。だから○○は○○なのか。」なんて考え続けられる人では大きく差が開いてしまう。

僕は本を読むのが好きで、恐らくこれまでに100冊以上の本は読んできたと思う。ただ、ほとんどの本は「へぇー。すげぇー。おもしれー。」で終わっていた。

実は冒頭部分の「マズローの欲求5段階説」から見た日本産業に関しては、この自粛期間の間に読んだ本の1冊である山口周さんと水野学さんの共著である「世界観をつくる」で紹介されている。その知見を参考に飲食業界を紐解いてみた。

知識を得てもそれを使って自分自身の頭で考えてみなければそこに費やした時間は意味が無くなってしまう。

今回のコロナ禍で時間が出来て、読書をしたり、勉強をしたりしてる人はたくさんいたんだと思う。知識を得ることはたしかに大事なんだけど、その知識をどこでどんな風に使うのかを考えられなければ、そこに費やした時間は全て無駄になっちゃうよね。って話。

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