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幼稚園の倉庫に入ったら、左肩が重くなった話

怖さ:★★★ 

葬儀屋さんにお話を伺う機会がありました。

お仕事柄、いろいろな体験をされているのでは?と失礼を承知で尋ねたところ「怖い経験なんて全然ないですよ。逆に霊感とかがないからずっとこの仕事、続けていられるんだと思います」と、お断りをされながらも、「左肩が重くなったら女性、右肩が重くなったら男性の霊が憑いてるって、聞いたことありますか?」と、その葬儀屋さんがあるお寺でお葬式を行った時のお話をしてくださいました。

そのお寺には幼稚園がありました。
以前はお葬式も行っていた(お葬式の会場としてお寺の建物を貸していた)のですが、今はもう、葬儀式場としてお寺を貸し出すことは止めていました。けれど、あるお葬式の依頼を受けた時、葬儀屋さんはそのお寺を会場としてどうしても使いたいと思いました。そこでお寺の住職に頼み込んで、幼稚園の講堂をお葬式の会場として借りることができました。

お通夜の準備をしていた時のことです。お寺などでお葬式をする場合、屋外にテントを張って受付を設置したり、多くの参列者が訪れる葬儀ではテントの下に椅子を並べてお焼香の順番待ちをしたりするそうで、その時も講堂の外にテントも張っていました。

しかし、そのテントの張り方で気になるところがありました。直そうとしたのですが、高い場所で手が届きません。そこでお寺に脚立を借りようと思いました。

午後の日差しの中、脚立を探して境内を歩くうち、幼稚園の倉庫があったので中に入ると、入園式の看板などいろんな荷物がありました。その中に棺を置く棺台が紛れているのを見て「そういえば、昔この部屋は霊安室だったな」と思い出しました。すると、「霊安室だった」と意識したとたんに左の肩が急にがくっと重くなりました。これは大変なことになったと焦ったものの、お通夜はもうすぐ始まるし、司会も務めなければならないので、我慢して仕事を続けました。

「どのくらいの重さでしたか?」と尋ねたら「これくらい」と私の左肩に手をかけてぐっと、力を入れてくれましたが、結構重かったです。まっすぐは立ってられないくらいの重さでした。

その後も肩が重いままお通夜の進行をしていたのですが、お坊さんがお経を唱え始めると、少しずつ肩の重いのが軽くなって、治ったそうです。

話し手:40代 男性
採取時期:2019年12月
採取場所:東京都内

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