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誰もいないはずの倉庫から、内線がかかってきた話

怖さ:★★☆ 

会社の同僚から聞いた話です。
彼女が以前勤めていた会社は東京・上野のビルにありました。各階にそれぞれ、いろいろな部署が入っていましたが、最上階の6階は倉庫として使っていました。

その会社では、最後に退社する人は各階に内線をかけて、誰も出ない(他に残っている人がいない)ことを確認してから、戸締りをして会社を出る決まりになっていたそうです。

ある日、遅くまで残って仕事をしていた彼女が仕事を終え、一緒に残業していた人と帰り支度をしていた時です。会社のルールに従って、すべての階に内線をかけました。他の階からは、それまでにもう退出の連絡が入っていたので、建物に残っているのは彼女たちだけということはわかっていましたが、一応、会社の決まりなので全部の階に内線をかけました。

当然のことながらどの階も、誰も内線には出ません。

順番にかけていき、彼女は最後に6階に内線をかけました。すると誰かが受話器を取りました。でも、受話器からは雑音が聞こえるだけでした。普段から人気のない倉庫で、ましてや残業をしていた彼女たち以外、社内に残っている人は誰もいない時間。倉庫に人がいるはずは絶対になかったそうです。

慌てて内線を切って「これ、絶対やばいよね」と、一緒に残っていた人と帰ろうとしていたら、今度は6階から内線がかかってきました。そして、彼女はその内線に出てしまったそうです。

受話器の向こうからは雑音しかしませんでした。

彼女たちはこの後、急いで会社を出たそうです。

話し手:会社の同僚
採取時期:2019年9月
採取場所:職場のフリースペース

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