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看取り付き老人ホームで、亡くなった人の部屋から深夜、ナースコールが鳴った話

怖さ:★★★ 

介護施設で働いていた方から伺った話です。

彼が働いていた介護施設は、入居者が亡くなるまで生活をサポートする、看取りが可能な施設でした。

そんな施設で彼が夜勤に入っていた時のことです。深夜にナースコール(病院のナースコールと同じようなもので、入居者が鳴らすと、その部屋に介護士が駆けつける仕組みだそうです)が鳴りました。

ところが、ナースコールで呼び出しがあった部屋は、ちょうど2日前に彼が担当していたおばあさんが亡くなったばかりで、その時は誰もいない部屋でした。

不思議に思いながらも、コールが鳴っているので、彼ともう一人のスタッフとで部屋に向かいました。

部屋に付くと、扉には鍵がかかっていて開きません。彼が鍵を開けて、2人は部屋に入りました。

介護施設で入居者が亡くなると、その部屋の荷物などは遺族が引き取りに来るのですが、その部屋の元住人であったおばあさんの遺族は、まだ荷物を引き取りに来ていませんでした。そのため部屋の中は、おばあさんが暮らしていた時のままでした。そして当然と言えば当然なのですが、部屋の中には誰もいません。

なんかやばいなと思いながらも、部屋の中を見回してみましたが、特に変わったことはありません。

異常がないことを確認し、誰もいない部屋から呼び出しがあったことを不思議に思いながら、ふと部屋の仏壇を見ると、閉じていたはずの仏壇の扉が全開になっていました。

入居者は施設に入る時に、その介護施設で最期を迎える覚悟をしているので、自宅にあった仏壇を施設に移す方もいるそうで、そのおばあさんも、家にあった仏壇を持って来ていました。

でも、おばあさんが亡くなった時、仏壇の扉は閉めたはずなのにと、すごく怖くなって、もう一人のスタッフと慌てて部屋を出て鍵をかけました。

その後、彼ともう一人のスタッフは、喫煙所でめちゃくちゃ煙草を吸いながら「何もなかった」と自分に言い聞かせていたそうです。

「普段、幽霊とかそういうの全く信じてないけど、あの時はマジでやばいと感じました」と言っていました。

話し手:元介護施設職員
採取時期:2020年8月
採取場所:東京都内

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