見出し画像

ある夏のいちにち

風が生ぬるくなって外の景色が色づけられて唐突な雨のにおいが増えて暑い昼は石段を渡りながら鴨川の景色の一つになりたくて涼しい夜は出町柳の信号の音を聞きながら風を浴びたくてクロノスタシスや夏夜のマジックを聞きながら自分に酔うなんて反吐が出るようなことはせずに鍋しながらハレ晴れユカイでのダンスの練習でもしたい。
奥まった場所にある古本屋の店番をして、退屈しのぎに古紙の酸っぱいにおいがする本を読んで、何年いるかわからないおじいちゃん店主の唯一の家族である金魚のポテチに餌をやって、クーラーがないから扇風機にあてられながら5時間のバイトを終えたら、蝉の声が降り注ぐ下界に身を投げ出して、チャリで三条大橋の眠眠から鴨川におりこのあと昼間からセックスするカップルやランニングおじ等々を横目に、顔突っ込んで餌探しながら流されてる鴨の写真を撮ってそのまま北上していき、丸太町でオタ芸の練習している京大生、よさこいサークルの同志社生、キャッチボールしてる中学生を発見、さらに北上し京都府立医大前でジャズサックスボーイ、謎の笛を吹くおじいさんを観測、さらにいくとみなさんご存じのデルタがにぎわっている。
私はチャリをとめて石段をわたり、デルタの先端にたつと橋に向かって手に持っていた爆弾を投げた。そしたら橋が崩落してわたっていた車と人とチャリが鴨川に落ちて、そこで虫取りしてたキッズたちや石段で遊んでいた人たちとフュージョンして金色の鴨になって、無数の輝く鴨たちがデルタを覆いつくして、その中で私は銀河に浮いている気分になって大の字で寝ころんだ。
私は宇宙の中で大きく息を吸い込んで、みんなに話しかけたけどみんな鴨だから何も答えなくて、ただひたすら太陽の光に照らされた水面の上で、川の流れに任せてゆらゆら揺れて、それがあまりにも滑稽で思わずくしゃみして、夏の無邪気さは無自覚に私を傷つけて、明るくなっていく色も浮足立つ人間も多くなるイベントも全部粉になってホットケーキミックスになればよくて、そのうち出町柳の横断歩道の上下音以外の音が消えて、この宇宙には私しかいなくなって、空が暗くなって大粒の隕石がたくさん落ちてきたから、私は大きな口を開けた。
隕石が私の体を貫いて、おっぱいの真ん中に穴が開いた。そこが私の肛門になって、いまでもそこからうんこしてるってわけ。不便でしょ。
私はね、誉められたいからこんな文章を書いている。その傲慢さも自己顕示欲も自己愛もカゲロウデイズの曲中でうまく歌詞にしてください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?