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ウィトゲンシュタインの“思考”から、「職業:自分」のアイデアが見つからない。【PhilosophiArt】

こんにちは。成瀬 凌圓です。
今月は、20世紀の哲学者ウィトゲンシュタインが書いた『論理哲学論考』(以下、『論考』)を読みながら、哲学とアートのつながりを探しています(全8回)。
第2回は、「像」と「思考」という言葉を読み解いていきます。
前回(第1回)の記事はこちらから読むことができます。


「像」は現実に対するモデル

前回読んだ部分(1〜2.063節)では、
世界とは、私たちが考えられるものを組み合わせて並べたことがらの総体であるということについて、「事実」「事態」「対象」といった言葉を使って書かれていました。

「世界とは何か」を語り終えると、2.1節からは「」という言葉を使って、「事態」や「事実」を深掘りしていきます。

2.1 われわれは事実の像を作る。
2.11 像は、論理空間において、状況を、すなわち諸事態の成立・不成立を表す。
2.12 像は現実に対する模型である。

ウィトゲンシュタイン「論理哲学論考」〔電子書籍版〕(野矢茂樹 訳、岩波文庫、2017年)より

「私たちは、現実へのモデルとして像を作ることで事実を描いているのだ」
というのが、ウィトゲンシュタインがここで言いたい主張です。

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