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仏蘭西生活記

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フランスに住んで考えたこと、気づいたこと
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#コラム

パリコレで感動したこと : 写真を撮る意味

ファッションウィークでストリートスナップを撮り始めたときのこと。今でも忘れないことがあります。 2016年。ドキドキしながらカメラを抱え、ショー会場に向かいました。 会場前はひどい人混みです。有名なファッション雑誌にスナップ写真を撮っているカメラマンたちがいます。そしてそれ以上に多くのアマチュアカメラマンやインスタグラマーたちで溢れかえっています。そこに招待客や時にはボディーガードなどが混ざり合って、会場辺りは大変な騒ぎになります。 その中に、一際キラリと光るカメラマン

語学能力はその人の能力を(時として)正しく反映しない

撮影の仕事終わりに2日間連続でタクシーに乗った時のことです。 1日目の夜のタクシーの運転手さんはどこの出身の方かはわかりませんが、訛りのあるフランス語を話します。私も訛りがとてもあります。でも住所を2回ほど繰り返しかつ最寄りのメトロの駅を言うとすぐにどの通りかわかってくれ、GPSも使わずお家まで送り届けてくれました。 2日目の夜のタクシーの運転手さんはフランス語ネイティブに聞こえます。私の訛りの強いフランス語をわかってくれません。GPSに何度も打ち込んでもうちの住所が見つ

パリコレで感動したこと : 新しい時代を創造するファッションデザイナーたち

パリに住んだ1年目のこと。初めてファッションウィーク、通称パリコレに行きました。ストリートスナップカメラマンのアシスタントでした。 ファッションショーというと、とんでもない別世界の出来事だと思っていたのですが、有名でないブランドのショーだと開演ギリギリに空きがあったら入れてもらえることもあるよと聞き、入り口の警備員さんに尋ねてみます。そして生まれて初めてファッションショーを生で見ることができました。感動しました。なんというブランドだったのかも覚えていないし、今思うと服もあん

いつか恋しく想うだろう、パリの人々

先日、パレ・ド・トーキョーという現代美術館の中庭で撮影アシスタントの仕事がありました。パレ・ド・トーキョーはパリ市近代美術館と向かい合って建ち、二つの美術館に挟まれた石造の中庭は、古代ギリシャ風とでも呼ぶのでしょうか、石の柱に囲まれています。中庭を囲む外回廊はいかにも絵になる場所です。中庭から階段を降りて一段下がると、彫刻で飾られた壁に囲まれた広い空間があり、そこはスケーターたちの聖地。午後になるとたくさんのスケートボーダーたちで賑わいます。自由な雰囲気です。 雨の降り出し

家庭の異文化比較:熱が出たときなに食べたい?

ふと気になって、パートナーに聞いてみました。 「熱出たとき、なに食べたい?」 「じゃがいものピューレと厚切りのジャンボン(ハム)!」 予想の斜め上を行く回答に、腰を抜かしました。 熱出てるときにピューレとジャンボン食べられるって、元気じゃない? ちなみに熱が出ててもバゲット食べられる?と聞いたら不思議な顔をされました。私なら熱が出てるときにはバゲット食べたくなりません。 普段いろんなことを一緒に楽しめて、国籍、言語、ジェネレーションなどの違いを乗り越え、人生を共に

結婚して変わらなかったもの/夫婦別姓

昨年フランス人と結婚するまで知らなかったのですが、外国国籍のパートナーと結婚する場合、夫婦別姓にすることができます。特に何もしなければ夫婦ともお互いの名字のままとなり、我が家は夫婦別姓です。 最近は日本でも選択的夫婦別姓を認めるかどうか、議論が盛んになってきているようですね。結婚の際には深く考えていなかったのですが、夫婦別姓についての記事を読んでいると、今になって名字について日本とフランスでの仕組みが気になってきました。 国際結婚すると外国人パートナーは日本の姓へ変更でき

パリ、焼きたてのパンの香りで目覚める朝

パリに住んでから、朝食はすっかりパン派になりました。なんせ日本のコンビニのように、もしくはそれ以上に、パリには至る所にパン屋さんがあるのです。とはいえ数が多いから美味しいという訳でもありません。数が多いからハズレも多い。 今日は実際に食べ歩いて見つけた、イチオシ☆朝食にぴったりパンを紹介します!いつかのパリ旅行のご参考になれば幸いです。 まずは最近はまっているのがTen Belles BreadのPain Complet(パンコンプレ)。 Pain Completとは、

雑誌に掲載されなかった写真

世の中は少しづつ良くなっていて、昨日よりは今日、マイノリティーにとって暮らしやすい社会になっているのではないかと思っていました。でもそれはマジョリティーに属した者の思い上がりだったようです。 先週、フランスのとある結構イケてる雑誌の撮影のアシスタントをした時のことです。アクセサリーとカバンの特集で、12人の男性モデルを起用した撮影でした。女性用のカバンをあえて男性モデルに持たせ、かつ、スタイリングは下半身全てブリーフかボクサーショーツで統一、上はジャケットを羽織っていたり、

『進撃の巨人』を観るフランス人

アニメを観てすっかりハマってしまいました、『進撃の巨人』。ファイナルシーズン第1部終わりましたね。すでに最新話まで原作で読んでいるのですが、それでも先が気になってしまう終わり方で、今冬公開予定の第2部が待ちきれません! いままで電子書籍は買ったことがなかったし、絶対紙主義者だったのですが、ファイナルシーズンの途中で続きが気になりすぎて、まだアニメ化されていない巻を電子コミックスバージョンで購入。さらにマガポケ(少年マガジン公式アプリ)をダウンロードして最新話まで読了。アニメ

新しい、初対面でタブーな話題

フォトグラファーのアシスタントをしていると、撮影の度にいろんな人に出会います。大人の一般常識として、初対面の人と会話するときに避けるべき話題がいろいろありますよね。例えば政治と宗教の話。 それに加えてパリで働いているといろんな国籍の人、様々なバックグラウンドを抱えている人がいます。撮影現場に10人いると、10人みんな国籍が違う、なんてこともあります。肌の色も見た目も違います。政治や宗教の話題に加えて国籍や出身地もデリケートな話題だと感じます。 例えば、イギリス人のフォトグ

お仕事は天突き

2020年はロックダウンをきっかけに、働くことについてよく考える1年でした。 ロックダウン中は全世界がストップ。フランス中の誰にも仕事がない。仕事がないのはわたしだけじゃない!ありがたいことにフランス政府からは毎月補助金が出るので、とりあえず家賃の心配はしなくてよい。(補助金の申請は簡単で、しかも3〜4日で振り込まれるという迅速な対応!いつもやる気のない国なのに、こういう未曾有の事態には素早く対応してくれて、感心しました。) というわけで、3ヶ月間心置きなくゆっくりしたり

日本とフランスの、違うところ

しばらく前から日本に一時帰国しています。今回は、パートナーのフランス人が日本に入国することができないので、初めて1人で日本へ来ました。いつもなら2〜3週間の一時帰国ですが、今回は1ヶ月以上時間をとって、ゆっくりしています。 美味しいもの食べたり、久しぶりのお友だちに会ったり、やっぱり一時帰国は楽しい!そして冬の日照時間の長いところが、なによりも素晴らしい。何年後かには、2人で日本に戻ってくるのもアリかなあと検討しています。 しかし長くいるとじわじわと、次第に蘇ってくる、日