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お仕事は天突き

2020年はロックダウンをきっかけに、働くことについてよく考える1年でした。

ロックダウン中は全世界がストップ。フランス中の誰にも仕事がない。仕事がないのはわたしだけじゃない!ありがたいことにフランス政府からは毎月補助金が出るので、とりあえず家賃の心配はしなくてよい。(補助金の申請は簡単で、しかも3〜4日で振り込まれるという迅速な対応!いつもやる気のない国なのに、こういう未曾有の事態には素早く対応してくれて、感心しました。)


というわけで、3ヶ月間心置きなくゆっくりしたり、考え事をしたり、お料理をしたり、毎日映画やドラマを観たり、本を読んだり、そして更新していなかったブログやnoteを書くようになりました。改めてわかったことは、働く必要がないなら全然働きたくないな!ということ。大学生になってから働き始めて、仕事をすることが当たり前になり過ぎていて、疑っていなかった。仕事をしない生活って悪くない。

お金稼がなきゃ!と必死になっていたけれど、人生にはもっと、本を読んだり映画を見たり、考え事をしたり、なにかをつくったりする時間をとりたいな。


しかしロックダウンが終わって、また仕事に呼んでもらえるようになると、あれ?働くのも楽しいな、と素直にありがたい気持ちが湧いてきました。お金を稼がないとダメだから働いていると思っていたけれど、久しぶりに働くと、仕事ってそれ自体が結構楽しい。それに外の空気吸ったり、いろんな人と喋るのも新鮮です。出不精で面倒くさがりだから、仕事をしていなかったらきっと、世界との接触が極めて希薄になっただろうし、ごくごく親しい人としか交流していなかったと思います。


働くためには、まず朝起きる。その前に前日の夜に夜更かしせずに寝る。だから自然と規則正しい生活ができて、健康に良い。ロックダウン中は朝3時くらいまで映画やドラマやアニメを観て、お昼12時くらいに起きることもしばしば。これだと1日が早く過ぎてしまって、なかなかクリエイティブなエネルギーが発揮されません。


仕事があると、撮影の現場やスタッフが毎回変わるから、いろんなところに行って、いろんな人に出会う。いろんな人と話す。気の合う人も気の合わない人もいるっていうのも悪くない。ひとりっ子だから1人で楽しく過ごすのが得意だし、一緒に暮らしているパートナーは本当に深い話し合いができる相手なので、それだけでかなり満足してしまい、ロックダウンの期間、外に出なくても全く苦でなかった。でも気の合う人や自分自身としか関わらないと、井の中の蛙になってしまいそう。


どんな仕事がしたいかとか、天職とはなにかとか、そういうレベルの話ではなくて、もっと原始的なレベルで、働くことって、健康のためとか、外に出て日の光を浴びるためとか、人と出会っていろんな経験をするために、便利でポジティブな行為だったんだなと再発見しました。


自分を律して規則正しい生活が送れる人や、定期的に運動する人、お出かけ好きや社交的な人にとってはごく自然な日常生活ですが、わたしの場合は働くという強制力のおかげで、トコロテンが押し出されるように、外出したり、人と関わったりすることができている。そのおかげで良好で健康な生活を送ることもできる。それって悪くない。働くことってトコロテンを押し出す天突き棒だったんだなあ。


休学するとか、就職活動しないとか、海外に住むとか、そういう大きな変化を起こすことはあまり難しくないのですが、規則正しい生活を送ることや、朝起きること、ダラダラしないで外に出かけたり、人と会ったり、そういう毎日の積み重ねが億劫になってしまう。でも毎日の小さな積み重ねの方が、大事なのでしょう。働くことでトコロテン方式に押し出されることが、わたしにとって世界とつながる生命線のようです。


ロックダウン前はお仕事の日、朝起きるのめんどくさいなあ、と思っていたけれど、いまはお仕事のお陰で生活リズムが整えられてありがたいなあと思えます。ありがたいと思えることのハードルが下がったようで、それも良し。

まずは健康で、社会的な人間生活を送る。そういう生活の根本的欲求を満たしたら、そうしたらやっぱり働くことは面白いことであってほしいです。それでもってお金もいっぱい稼ぎたいです。


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