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日本とフランスの、違うところ


しばらく前から日本に一時帰国しています。今回は、パートナーのフランス人が日本に入国することができないので、初めて1人で日本へ来ました。いつもなら2〜3週間の一時帰国ですが、今回は1ヶ月以上時間をとって、ゆっくりしています。

美味しいもの食べたり、久しぶりのお友だちに会ったり、やっぱり一時帰国は楽しい!そして冬の日照時間の長いところが、なによりも素晴らしい。何年後かには、2人で日本に戻ってくるのもアリかなあと検討しています。

しかし長くいるとじわじわと、次第に蘇ってくる、日本の嫌だった部分。ああ、こういうのが苦手で日本を脱出することにしたんだった、と思い出すことがあります。


パリに住んでいると、他人から見た目についてとやかく言われることが、まずありません。その代わりびっくりするほど褒められます。パリのひとたちは他人を褒めるのに出し惜しみをしません。道を歩いていると、見知らぬ人から「素敵なジーンズ!どこで買ったの!?シルエットが最高よ!」とか「そのジャケット、イカしてるね!超似合ってる!」なんて声をかけられたり、仕事の同僚からは「なんて綺麗な肌なの!」とか「そんな黒髪に憧れる!」とかなんとか、とにかく褒められます。

日本にいたときは、「なんでメイクしないの〜?」とか「もっと女の子らしい格好しないとモテないよ?あ、Nanaoは彼氏とかいらないタイプなんだっけえ?」とか「髪くらい染めたらいいのにぃ」とかなんとか、とにかく見た目のダメ出しが激しかった。そういうことを言ってくるひとたちは、精神だけでなく、見た目もダサいひとばかりで、辟易としたものです。

パリでも相変わらずメイクはしないし、女の子らしい格好もしないけれど、なにか言われたことはありません。

フランスには様々な人種のひとがおり、画一化した美の基準を押し付けることがないのかもしれません。それから流行というものが、あまりない。日本に帰ってくると、みんなが同じ髪型だったり、同じ服を着ていることが多々あって、新鮮な気分になります。去年帰って来たときは、パタゴニアやユニクロのモコモコのジャケットを着ているひとが100人中90人くらいいて、驚いた。目元しか見えないんですが、今年は韓国風?なメイクのひとが多い気がするかな。ときどき帰ってくるとその分、流行りが顕著に視覚化されるのが感慨深い。パリにいるとみんなが同じ格好をしていることがありません。肌の色も髪の質もバラバラだから、全国民をひとつの流行へ促すのが難しいのかもしれません。だから流行に合わせて判断されることがない。


デブとかハゲとか言って貶すのもあまり聞いたことがない気がします。日本でデブと言われるひとは、あちらでは豊満でセクシーな部類に入るのではないでしょうか?みんなピチピチで体のラインをよく見せます。痩せてるのが正義!という感覚は薄いです。男性は20代前半からハゲてくるひとが多いし、ハゲてるのがセクシー!って言っている女性の声は耳にしたことがありますが、ハゲてるひとは嫌!ってあんまり聞かない。だから罵り言葉にならないのかもしれません。顔に陰影があるひとが多く、髪がないのが似合うのも一因でしょうか。日本のテレビを観ていたら、デブ!とかハゲ!とかブス!とかしきりに言っていて、ああ日本に帰って来たんだなあと感じます。


しかしハゲとかデブと罵らないからと言って、フランス人が優しいわけではありません。人種差別的な悪口は、頻繁に耳にします。面と向かってズバズバ悪口を言ってくるひともいるし、影でネチネチ悪口を振りまくひともいる。意地悪なひとはいっぱいいます。それはどこでも一緒ですね。


他人の見た目を貶すのって、よくよく考えたら本当に失礼な話だし、何様?です。しかし日本ではそれが日常茶飯事で、小市民的価値観の押し付けや、身勝手なジャッジが良心の如く大手を振って行われている気がします。鏡で自分の顔でも見て、大らかに暮らしたいものです。


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