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#8 「私はごはんが好き」と自覚したデンマーク留学時代(スペインワーホリ準備編)

新卒の会社をやめて、半年ほどデンマークに留学していたことがある。

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天気が良い日の、オーフス

私が留学したのは、デンマーク第二の都市オーフスの近くにある小さな街。とってもゆったりした雰囲気だった。多分、デンマーク全体がスローなので、小さな街は本当に静か。人がいない。

首都・コペンハーゲンですら、日中はそこそこ人通りがあるが、夜になると一気に減る。店は日曜日だと18時には閉店するので、薄暗い街にキャンドルだけがゆれる。エモかった。
留学中にロンドンへ遊びに行った際には、人通りの多さに驚いたし、深夜でも店が開いているのでカルチャーショックに近いものを受けた。笑

私はデンマーク以外に、大学時代にはイギリスにも留学したことがあるのだが、これらの留学を通じて、私自身が「ごはん好き」だと認識することになる。

ホイスコーレ留学中の食事をご紹介

わたしがいたのは、「ホイスコーレ」と呼ばれる教育機関の学校で、18歳以上であれば誰でも入れる。
日本では、大人の幼稚園、と紹介する人もいて、
「なんて卑猥な表現なんだ!笑」と、
クスクス笑いながら日本から向かったのだが、本当にそう言いたくなるのが分かるほど、自由度の高い学校だった。
テストや学位など、学生を縛り付けるものはなく、好きなものを好きなだけ勉強することに焦点を置く。
私の場合は、学校で出会った陶芸にどはまりし、朝から晩まで8時間ぶっ通しで粘土をこね続けた。誰もそれを止める人はいなかったし、好きなようにさせてくれた。
好きなことをやる学校だったので、高校卒業後の学生たちが大学入学前に改めて自分を見つめにくる人が多かった。そのほかに、私のように一度就職したことがある人や、大学を中退してから入学する人もいた。だから年齢の幅は大きく、下は18歳、上は35歳ぐらいだったと思う。

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学校から見た夕日はきれいだった~

ここは全寮制で、食事も他の学生と一緒に取る。
平日は朝昼晩、土日は朝晩の食事が用意されるありがたいシステムだ。
大皿に乗せられた主菜、副菜などをバイキング形式でとっていく。バイキングというと聞こえはいいが、数に限りがあるので、サバイバル要素は強め。
何せ、相手は血気盛んな18歳、19歳の少年少女。
遠慮なく肉をかっさらうので、こちらもそれ相応の姿勢で食事に臨んでいた。

メニューは、専任の調理師が考えた。
頬がとろけそうになる程美味しく、胃袋を満たす日もあれば、
一体どうしてこの食材同士を組み合わせたのか?、また、これで満腹にならんだろ、と突っ込みたくなる日もあった。。。

まずは、良い日の夕食を見て欲しい。

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卵や鮭が包まれたクレープ。
かなりおいしかった。
はじめておかずクレープを食べた私にもおいしさが分かるほどだった。
一応栄養バランスを気にしてか、きゅうりが添えられているのがかわいらしい。
私たちの学校の調理師は独創的なメニューを考える人だったので、もはやこれがデンマーク料理なのか分からないが・・・。

このほかに美味しかったのは、ラザニア、ピザなどの定番イタリアン料理😂
あと、デンマーク料理では「フレスケスタイ」

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豚肉の皮をカリッカリに、なんならかみ切れないぐらいに焼き上げた料理だ。これは美味しかった。
こういう、アタリの日は週に何度かあったのだが・・・。

みよ、悲しい日の食事を!!

たびたび、食費が足らなくなるらしく、調整日の食事はひどい。

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パンと生野菜だけ。
ちなみに、気温0度の3月の夕食である。
100人近い学生が一斉に取りに行くので、出遅れるとこんなもんだ。
苦手なカリフラワーをこの日は食べたようだ。。
(苦手を克服するための作戦だったのか?、、)

驚くのが、このメニューが週に何度か登場するのだ。
そして食べ盛りの18歳、19歳の少年少女もこの食事なのだ。
「生野菜は体を冷やすから真冬にはむいてない!」と日本人の友人とブツブツ文句言いながら食べる。
でも、決められた食費の中でやりくりしないといけないから仕方ない。
作ってもらえるだけありがたいのに文句を言って罰当たりなのだが、、
空腹のまま眠りにつくことも、しばしば。
朝ごはんを楽しみに、眠った。

ちなみに朝ご飯は、いつも同じメニュー。
人生史上、最も素晴らしい朝ご飯だった。

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これまたバイキング形式で好きなものを取るスタイル。
温かいオートミール、ヨーグルト、パン、ジャム、グラノーラや穀物、フルーツが並ぶ。

私の定番スタイルは、温かいオートミールにヨーグルトをかけて、ジャムや穀物を添える。これにパンと、コーヒーか紅茶。
朝8時でようやく昇る太陽が、群青色の空を照らし始める。
そんなマジカル空間で食べる朝ごはんは格別だった。

デンマーク人はオートミールに牛乳を入れるのが一般的だそう。私は牛乳が苦手なのでヨーグルトを入れたので、「ヨーグルト入れちゃう?!」と驚かれたが、「良いアイディア!」と画期的な感じで捉えてもらった。
こういうのって、海外的だなと思う。

アジア人は食事好き

とにかく、こうした悲しい食事が続いても、デンマーク人は受け入れていた。当然、文句は言っていたし、自分で近所のスーパーに食べ物を買いに行く人はいたけれど。

ただ、アジア人たちは違っていた。

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胃袋の危機に、日中韓の学生たちは手を取り合った。
「美味しい食事にありきたい」
私たちは夜通し熱い議論を交わしたところ、中国人の女の子(左)が鍋会を企画した。

また、日本人同士で話していたら、
無性にショートケーキが食べたくなったことがあった。
そんな時はスーパーに駆け込み・・・・

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自作した。

それぞれの胃袋を納得させる日本人、アジア人たち。
面白いものだと思う。

あと、食事には人を救う力もあると気づいた。
こちらは、緊急時に食べた、日本から持ってきたカップ麺だ。

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カップ麺は2,3個しか持ってきていなかったので、食べる前には、毎回自問自答した。
「本当に、今なのか?」

私の場合は、ホームシックが強く、かつ悲しい食事が重なったときに食べた。本当に、救われた。
ビニールを破き、うどんカップの蓋を開けるだけで漂う、だしのいい香り。もう、それだけで号泣もの。
お湯を入れてからの待ち時間がこれほど辛かったことはない。

いざ、うどんをすする。
「ウェルカムバック、トゥ、日本。」
そんなふうに、うどんが囁く。
そして、こう続けた。
「また明日頑張ればいいじゃない」

うん、そうするね。ありがとう、京風うどん。

私はごはんが好き

デンマークに来るまで、わざわざそんなこと思わなかったのだが、
今はあえて胸を張って、宣言したい。

デンマークで半年過ごす中で、食への執着というべきか、愛情と言うべきか、とにかく強い思いを抱いているとわかった。
楽しいときも、悲しいときも、食事はいつでも美味しくあってほしい。
お腹いっぱいに食べたい。
そんな当たり前のことに気づくことが出来た。

ご飯が恋しくなりすぎて、美術の時間にご飯の絵を描いたほどだ。

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デンマーク人も答えられない「自国の伝統料理」

デンマークは、実はこれといった伝統料理が無い。
先ほどの豚肉のカリカリ焼きと、デニッシュパン(DANISH)ぐらいだろう。
デンマーク人に、「デンマーク料理ってなに?」と聞いてみて欲しい。みんな返答に困っていたし、挙げ句の果てに「ピザ」と答えた人もいたが、それはイタリアではないだろうか。


その点、日本は違う。
寿司、うどん、そば、天ぷら、すき焼き、和菓子、おひたし、、、
主催、副菜、デザート、すべての分野で日本では独自の食文化が発達している。韓国や中国もそうだが、自国の食文化が何かを分かる国から来ているので、それだけ食に対する期待が知らず知らずのうちに高くなっていたのだろうと考察している。

だから、スペインにした。

パエリア、バスクチーズケーキ、スパニッシュオムレツ・・
案外出てこないけど、独自の食文化が発達している。

「次に留学するなら、ご飯の美味しい国が良い」
デンマーク帰国前にそう思っていた。
スペインでは美味しいご飯を堪能したいと思います。

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