ななちよ先生

公立学校で10年以上教員してます。不登校現象や対人援助職としての教師、性別不合、トラウ…

ななちよ先生

公立学校で10年以上教員してます。不登校現象や対人援助職としての教師、性別不合、トラウマなどをテーマに執筆してます。臨床心理学、教育学、言語学が専門です。全ての子ども達を元気にしたいと思ってこの仕事を選びました。ゲーム・演奏・書道など趣味をたくさん持っています。グラタン大好き。

最近の記事

保護者から見た教員は「わかってない人」

【想定している読者層】 ・学校に関係している方 ・学校に関心のある方 1.記事の結論 保護者等から「あなたには分からないでしょ」と言われたら、教員は反論せずに、「確かに本当に分からない部分がある」ことを実感を伴う形で理解を深めた方がよい。なぜなら、本当には分からないのだから。 2.「〇〇なあなたには分からないでしょ」 例えば、保護者の方が、「結婚していないあなたなんかにはわからないですよね」とか「子育てしたことないあなたにはわからないですよね」とか、「障害を持った人が周り

    • 新年度・初任者。もう辞めたくなった教師は多いかもしれない。

      【想定している読者層】 ・辞めたくなった初任者段階の教員 ・教員の働き方に興味がある方 1.結論 辞めるならできるだけ後悔なく辞める。次の人生に今の人生をつなげるビジョンが描けるとなお良い。自分を責める必要は無い。 2.辞める事は悪いことではない 自分の人生・自分の生き方・自分の在り方等をを決めるのは自分次第です。どんな職に就いているのか、どれだけ稼いでいるのか、どんな人生を歩んできたのか或いは歩むことになりそうなのか、こういったことは、「自分の価値」と結びつけると辛くな

      • 教員は生徒理解の理論を自分にも使ってみた方がいい。

        【想定している読者層】 ・教員に違和感を持つ方々 ・学校に関心のある方 1.記事の結論 子ども達だけに対してだけではなく、自分にも知識や理論を適用できて一人前の教員ではないかと考えています。 2.自己実現理論(欲求階層) 例えば、教員は子ども達に対して「社会性が弱い」とか「承認欲求が強い」とか「理想と現実が分かっていない」等と評価することがあります。  この評価を、無配慮に子ども達に伝える危険な教員もいますが、ほとんどの場合、教員間での会話でしか聞かないものです。このよ

        • 性別不合。脱病理化は当事者の首を絞めた可能性がある。

          【想定している読者層】 ・性別不合に関心のある方 ・脱病理化の影に関心のある方 1.この記事の結論 脱病理化では差別は解消されないし、当事者の福祉は向上しないどころか逆効果ですらあり得る。 2.LGBTに関連する脱病理化 性同一性障害が脱病理化されたのは2019年の事でした。今から5年前の出来事です。目的はQOLの向上です。  同性愛が脱病理化されたのは1993年のことです。  31年前の出来事です。  日本では1994年まで、同性愛を非行としていました。  ただ、ひ

        保護者から見た教員は「わかってない人」

          子どもを対象とする教員の恋愛行為はただの恐怖。

          【想定している読者層】 ・教員、保護者、児童生徒等 ・いわゆる地域の人 ・学校に関心のある方 1.記事の結論 児童生徒に対して恋愛行為を行う教員は専門職である教師という仕事に従事していない。 2.児童生徒を対象とする教員の恋愛行為に関するありがちな意見 よくある意見は次のようなものです。 ①結婚するなら教員と児童生徒の恋愛は良い ②恋愛感情を持ってしまうのは人として仕方がない  これを言っているのは教員です。これらはよく聞くありがちな意見ですが、他にも、かなり衝撃的な

          子どもを対象とする教員の恋愛行為はただの恐怖。

          不登校を英訳して自分の心を確かめよう。

          【想定している読者層】 ・不登校に関心のある方 1.記事の結論 不登校に対して持っている無意識的な理解を見直す手がかりとして英訳することが有効です。 2.不登校への理解は終わらない 不登校に対してよくある理解は「選択の結果」でしょうか。  この理解は既に過去のものですが(『不登校は終わらない:「選択」の物語から〈当事者〉の語りへ』貴戸 理恵 )未だに根深いものであると思います。  もっと言うと、未だに「サボリ」や「病気」という理解が多くを占めていることも現実です。  

          不登校を英訳して自分の心を確かめよう。

          3月の不登校。保護者の想い。自責感の行きつく先。

          【記事の結論】  否定的な感情は「人を助けるエネルギー」の源でもあります。勿論、「虐待的な対応」の呼び水にもなります。だから、上手く活用できればいいのであって、「否定的な感情を抱いてはいけない」ことはありません。 1.3月の不登校・支援者(保護者)の思い 不登校のお子様を持つ保護者の方々は、この時期、色々な状況にいらっしゃるとおもいます。  不登校について支援機関等に相談に行っても「次はもう少し早く来てくださいね」とか「もう少し様子を見ましょう」とか身もふたもないことを言

          3月の不登校。保護者の想い。自責感の行きつく先。

          投票は大切。生活圏を良くしよう。正しく主張。(性別不合を例に)

          【記事の結論】  困り事が多い人ほど選挙で投票しましょう。重要なのは、今自分が住んでいる地域の選挙に行くこと。不登校や性別不合の問題は時間がかかりますが、選挙に行くことは比較的即効性のある有効だと思います。 1.地方の選挙に行くことをおすすめします この記事は政治的な主張を行う記事ではありません。ただ、困っている人ほど選挙に行った方が良いです。国政選挙のイメージで選挙を捉えてしまうと「そんなすぐ変わらないよ」となると思いますが、それはその通りです。  まず、私たちは勿論、

          投票は大切。生活圏を良くしよう。正しく主張。(性別不合を例に)

          性別不合の移行。費用・時間・効果が高いのは?見通しが重要

          【記事の結論】  性別不合の移行期には、簡単なできることから始めることで自信が持てるようになる。周囲からの目線も気にしなくて良い。 1.移行期初期の考え方 性別不合の移行期のプロセス等に関する研究はほとんどありません。また、移行期についてはインターネットでも情報収集が困難です。やることが見つかっても、見通しが持てないことがほとんどです。その結果、「はやくやる」ことが強く意識されるようになり、心の安定が損なわれます。  落ち着いて移行準備を進めるためには経験者のサポートがあ

          性別不合の移行。費用・時間・効果が高いのは?見通しが重要

          性別不合死なずに生きて!足踏みをたくさんして。薬の影響

          ※注意:性別不合(MTF)についてかなり踏み込んだ内容の記事です。誰かの役に立てばと思いながら書きますが、誰かを責めるための権威付けにならないことも願っています。あくまでも素人意見ということで、途中で読むことを止めても良いです。当事者の方はきちんと医者の意見を聞いて下さい。 【この記事の結論】  性別不合(MTF)の女性ホルモンの服用は、よくよく足踏みして考えた方が良いと思います。結論が出ないうちは保留を続けることも選択肢のうちです。 1.女性ホルモンの影響①性欲減退  

          性別不合死なずに生きて!足踏みをたくさんして。薬の影響

          性別不合とトイレと社会。安全な世界はどこにあるのか

          【記事の結論】  現段階でトイレは施設管理人の意向によって利用方法が決まります。トイレは非常にプライベートな場所なので、そのことがこの問題を複雑にしています。 1.性別不合とトイレの問題はメジャー 性別不合を持つ人にとってトイレはとても大切な問題です。一般人からすると悩みの種にすらならないトイレですが、性別不合を抱く人たちにとっては大きな悩みの種で、実際に病気になってしまうことがあります。  教育業界でよく言われるマズローの欲求の5段階説があります。教育業界では、普通、一

          性別不合とトイレと社会。安全な世界はどこにあるのか

          教員と公認心理士 教育と支援の共通点

          【記事の結論】  「国の方針をくむ」という点で、教員も公認心理士も共通する部分があるのではないかと感じます。こういう部分で葛藤を抱えたくないなと思いますが、そうもいかないかもしれませんね・・・ 1.教員が見なければならない国の方針 教員は、かなり多くの部分で裁量が認められている仕事です。なので、生徒指導の場面では、教員の個人的な思いが表に出てきますし、授業の内容ですら、教員の個人的な思いに色濃く染まっています。  ただし、生徒指導は「生徒指導提要」がありますし、授業には「

          教員と公認心理士 教育と支援の共通点

          揺れる2月の不登校・親はどうすればいいのか

          【記事の結論】  「判断する言葉」に敏感になってみると良いかもしれません。 1.一番寄り添ってきたのは母 2月は新年度が強く意識されますよね。  「この子は学校に行けるようになるのかな」と心配な気持ちが沸き起こってくる一方で、「学校に行かなくても大丈夫だよ」という思いや「学校に行かないと困ってしまうかもしれない」という思い等々も沸き起こってくることもありますよね。  ただ、それだけじゃなく「私はいままで何もしてあげてこられなかった」「好きな事、させてあげられなかった」「あ

          揺れる2月の不登校・親はどうすればいいのか

          心理学を学ぶと人の心が分かるようになるのか?

          【想定している読者層】 ・心理学に興味のある方 ・人の心に興味のある方 1.結論 「心」を何と捉えるかによりますが、一般的に思われている様に「人の心について分かるようにはなる」ことはありません。 2.心理学についてよく言われるようなこと 私の感覚ですが、『私、心理学に興味があるんだよ』と言うと、あまりよく思われないような感覚があります。  驚かれたり、若干引かれたり、不思議がられたり、「どうしてそんなものに」と言われたり、悪い場合には、「あなたが!?本当に?」と否定され

          心理学を学ぶと人の心が分かるようになるのか?

          拡大解釈された心理学用語が生み出す闇

          【想定している読者層】  アタッチメントとアダルトチルドレンの記事を書きますので、それらに興味のある方向けです。 1.結論 拡大解釈は誤解を生みますが、活用範囲の拡大によって有益な部分もあります。そのため、「誤解」がなければ拡大してもいいと思います。 2.アタッチメント理論の誤解 まず、誤解に対していくつか箇条書きします。 ・アタッチメント理論は愛情理論ではない ・愛着障害はまれ ・アタッチメントスタイルは何かの病気の原因ではない ・アタッチメントスタイルの判定は専門家

          拡大解釈された心理学用語が生み出す闇

          統合失調症についてのちょっとした話

          【想定している読者層】 ・統合失調症に興味がある方 ・症状に興味がある方 ・心理支援に関心がある方 1. 結論統合失調症の理解は難しいです。やはり「決めつけないこと」が大切だと、改めて考えさせられます。 2. 心理支援と統合失調症 カウンセリングを行う際、まずいくつかの可能性を頭の中に置いておくことが大切です。  例えば、普通、自殺念慮の有無を確認しますが、他に、うつ病、境界性パーソナリティー障害、統合失調症、服薬している薬等があります。これらの情報を基にカウンセリングを

          統合失調症についてのちょっとした話