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教員と公認心理士 教育と支援の共通点

【記事の結論】
 「国の方針をくむ」という点で、教員も公認心理士も共通する部分があるのではないかと感じます。こういう部分で葛藤を抱えたくないなと思いますが、そうもいかないかもしれませんね・・・


1.教員が見なければならない国の方針

 教員は、かなり多くの部分で裁量が認められている仕事です。なので、生徒指導の場面では、教員の個人的な思いが表に出てきますし、授業の内容ですら、教員の個人的な思いに色濃く染まっています。

 ただし、生徒指導は「生徒指導提要」がありますし、授業には「学習指導要領」があります。なので、なんでもありではありません。ただ、学習指導要領の方が強制力があります。

 教師は、授業の際、指導案を書くことがありますが、これは公文書です。情報公開請求の対象です。そして、この指導案では、たいてい「学習指導要領」を根拠にした授業が展開されるような授業が計画されています。

 生徒指導提要はそこまでの強制力はまだありません。例えば、校則は生徒のためのものだと明記されていますが、どこの学校も校則にテコ入れしていません。未だに、子どもたちを縛る、学校の秩序を守るためのものになっています。問題を許さず学校の秩序を守ることが、ひいては他の子ども達の利益になるという理屈です。

 この理屈はけっこう正しい部分も多いと私は感じます。ただ、誰にとっても公平なのかというと、そこには課題がありそうだなと感じます。

2.どうして公認心理士がしばられるのか

 まだ、臨床心理士と公認心理士の区別が曖昧ですし、現状、公認心理士だけ持っている人への信頼性は低い状況にあると言えます。ですが、公認心理士の地位は確実に向上するでしょうし、臨床心理士と入れ替わらないとも言い切れません。では、そこでは何が起こるのでしょうか。

 臨床経験が浅かったり、自己理解が進んでない支援者は、明確な根拠をもって「ゴールは人それぞれ」と言い切る事ができていません。単に金科玉条として言っているだけの場合がかなり多いと思います。

 一般的に、カウンセリングはクライエントとの合意が重要ですので、目標設定が大切です。共にゴールを模索することも大切なのですが、支援者側にはいくつかのゴールを想定しておく必要があります。勿論、暫定的なゴールです。想定しているだけなので、そこに向かわなければならないものでもありません。

 具体的には、ひきこもりの人のゴールを就労に設定するといった感じです。厚労省が参考になりますが、社会参加が大きな目標として設定されている感じもあります。

 公認心理士は国家資格ですので、国の方針を無視して活動することについては、ちょっと違和感があります。支援者としては、明確な根拠を持って「ゴールは人それぞれ」と言いたい所なのですが、国からゴールをちらっと見せられているので、そこを想定することが、「仕事」として必要なことになってくるものだと思います。

 逆に、臨床心理士は民間資格なので、国がなんと言おうと「それはそれ」とできるという強みがあると思います。

3.教員で例えるとどうなるのか

 教員の仕事のうち、授業は大きな比重を占めますが、実質、これを自由に行う事はできません。なにか自由にやりたい事があるのであれば、民間企業で活躍することになります。

 生徒指導についても、いわゆる指導を捨てて、生徒達の支援やケアだけでいきたいのであれば、やはり民間企業で活躍することになると思います。

 あくまでも授業や生徒指導を「教員」として行うのであれば、根本的な部分で国の行う教育に一定の賛同がないと難しいということになります。ここに対して本当にNOを突き付けるのであれば、それは「教員」でしかできないことではないと、私は考えます。

 とは言っても、「仕事」を行うのは人です。

4.割り切れないから悩ましい

 心理支援であっても、教育であっても、どの肩書を使うかによって考えなければならない事が変わると思います。ここに、この2つの職業の共通点があるように感じます。

 ただ、「よりよいものを」と考えるとき、「本来なら考えなければならないもの」を無視することも必要なときがあります。「それはそれとして」と置いておくことが、受け手にとって有益になることもあるはずです。

 ただ、責任の問題を考えた時、「それはそれとしない」方が、その仕事で生き抜いていきやすいのだろうとも思います。

 この状況で、自分がどうふるまうのかについて「完全にその人次第」とするのか「その人がどうあれ仕事に忠実になるべき」なのかについては、意見が分かれそうな気がします。

 私は学校の教員であれ、公認心理士であれ、国のお膝元にあると思いますので、無難に「仕事」をする方が、自分が穏やかに生きていけるような気がしています。とはいえ、私は研究することによって、ちょっともがいてみたりもしています。

 こういうことについて、地位のある人から話を聞いて勉強したいなと思っている所です。私の未熟な部分が、こうやって考えさせているだけかもしれませんからね。

 最後までお読みいただきありがとうございました。