【14,806文字の短編小説】拝啓 もう、あなたに会えなくても
【あらすじ】
退職間近に夫を亡くした秋子は失意のどん底から這い上がれずにいた。三回忌が終わり月日が流れ、秋子を取り囲む周囲の状況が次々と変化し始める。愛猫が消息を絶ち、娘が結婚したい人がいると言い出す。周囲に取り残され人知れず孤独と葛藤する秋子の心は、近所に住む友恵との交流で少しずづ変化を見せ始める。喪失体験によって生み出されたグリーフ(悲嘆)から抜け出し前に進もうとする一人の女性の物語です。
【本文】
「裏切り者。夫に先立たれた私を一人にして、あんた、自分だけ結婚し