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偽りだらけの恋

20歳の頃飲食店へ就職した。

私含め従業員は5人とアットホームな職場。
正社員はオーナーと私だけで、他はバイトのみ。

半年が過ぎた頃オーナーに恋をした。

頼りがいのある人で相談にも乗ってくれる。
仕事浸けで出会いが無かった私にとって当然の出来事だろう。

だが、オーナーは既婚者で2人子供もいた。
家族仲は良く、しょっちゅう家族が店に食事に来る。子供にデレデレでそんな様子も微笑ましく見ていた。

妻子があることは分かりつつも、どうにか私に振り向いて欲しい。一夜限りでも良いから私と寝て欲しい。
こんな思いが渦を巻いていた。

私は振り向いて欲しいが為に数々の嘘をついた。

「昨日友達と一緒に駅に逆ナンしに行ったんです。2人組に声かけてそれぞれ2人組になって、家来たいって言うから家呼んで良い感じになって泊まっていったんです〜」

こんな事実は全く無い。軽い女だと思わせて誘って欲しいだけだ。

「高校の時のバイト先の店長と昨日ドライブ行ったんですよ。遅くなったから泊めて貰ったんですけど、めっちゃ触ってきて拒否したら、だったら出てけよって言われて、でも近くに駅も何も無い田舎なので一人で帰るのは無理だから仕方なくされるがままに…どうすれば良かったんですかね」

と相談したり、とこれも嘘で高校の時のバイト先の人達と飲み会をしただけだ。

何故こんな話をオーナーにするかというと、オーナーも下ネタが好きで普段からよくそういう話をしてくるからだ。

こんな話をしているが、実は当時『処女』だったのだ。

処女という事実が恥ずかしくて、わざと下ネタを言っていたのだ。

セックスに興味を持ち始めたのは小学校高学年。

たまたま股部を触っていたら気持ち良い感覚を覚え、それから毎日一人でしていた。

中学生頃から好きな子を思い妄想ですることも増えた。
AVを見始めたのも中学生頃だ。
好きなジャンルはSM。
調教されたい、叩かれたい、鞭で打たれたいなどと夜な夜な一人で捗っていた。

高校になっても彼氏は出来ない。告白は何度かされたがタイプじゃなかった為、断ってしまった。

20歳にもなると『処女』という事実が恥ずかしくて、出会い系サイトに登録もしたが、怖くて会うという決断が出来なかった。

『処女』なのに、夜な夜な性欲だけが増して性欲モンスターになっていた。

ある日オーナーに飲みに誘われた。

その日はいつもと違った。
いつもは下ネタといっても際どい下ネタではなく、軽い系ばかりだったが、その日は生々しい話まで踏み込んできた。

「今まで何人くらいと寝たの」

「25人くらい…です…」

「うわぁヤリマンじゃんw」

「そんなんじゃないですっ」

「3Pとかしたことあるの」

「あ…はい…」

「え、3Pってさ、やってない人はただ待ってるの」

「いや、、口で、、やります」

「で交代するんだ、、どうしたら3Pするような状況になるんだよ」

「家飲みしててゲームして罰ゲームとかです…」

「男の家に女一人であがったら、それはもうOKのサインだと思うもんな」

「え〜別に普通じゃないですか」

「それはヤられても文句言えねぇと思うわ。お前尻でやったことある?」

「え、、はい、」

「うわ変態じゃんやべーな。俺もやってみたいんだよな」

「女からすると痛いですけどね」

「それはやだな。尻も使ってるって股の方はゆるゆるなんだろうな」

「そんなこと無いですやめてくださいよ〜」

とこんな会話をしていたが、勿論経験は無いので全て嘘だ。

軽い女だと思って都合の良い時に抱くだけの関係で良いからという一心で嘘をついていた。

この日生々しい下ネタを話して、私は相当濡れていた。オーナーも鼻の下は伸び、股間を抑えていたから勃っていたのだろう。

しかしこの日も抱いて貰えはしなかった。

それから3年働いたが、生々しい下ネタを話すことはあるが、関係を持つことは出来なかった。

想いが膨らみすぎてそばにいるのが辛くなりこの職場を辞めてしまった。

思い返すと抱いて貰えたとしても、『処女』がばれていたかもしれない。これだけ経験あるアピールしてるのに『処女』という事実がバレていたら恥ずかしいにも程がある。

あれから3年。

たまたまこの前道でオーナーに会った。

お子さんいくつになったんですか?
店はコロナで大変ですよね

と普通の会話を。

子供が一人増え、幸せな家庭を築いているらしい。

あの時、あのまま働いていたら嫉妬で狂っていただろう。

幸せな家庭を壊さなくて良かった。

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