見出し画像

小学校英語で国境を超えてけ!

 小学校での一コマ。
今日はいろいろな国の動画を見る授業だったのだが、ロシアの女の子が出た時にどのクラスもざわめいた。ロシアに対する悪口がポツリポツリ。

 「今日は英語の授業なんてどうでもいいや!」って思った。

 「英語を学ぶ前に大切なこと」というお話を入れた。もちろんプランには無い。でも今日一番大事なこと。こうして子どもたちがちゃんと本音を話してくれるから、その時に一緒に学べる。英語の先生の役割を超えている様にも思うけれど、英語を学ぶための大事なマインドのウォーミングアップ。
 知らないことは悪いことじゃない。だから伝える。それが私の仕事だと思う。それを知った上でその人がどんな生き方を選ぶか。それは残念だけど私の範疇ではない。だからいつも伝え方には慎重になる。

 まず「さっきロシアって言った時、ざわめいたよね。ロシアってどんなイメージだった?」と尋ねてとにかく出してもらう。この時にジャッジしない。「戦争!」「ウクライナと戦ってる」ここに書かないでおきたい辛い言葉の数々も聞こえてきた。それを全部笑顔で「そう思うんだね。」と受け止めてから、ゆっくり丁寧に話す。

この国の人は、この街の人は、この学校の人は、このクラスの人は…と人をグループだけで見ること、決めつけるのは危険なこと。私もクラスに来ているけれど、一人一人を見ているよ。
世界に友達を作るコツはね、人をそれぞれの人として見ることなの。平和ってね、自分のすぐ目の前で作れるものなの。

そんな話。

 10歳の子どもたちの平和を願う気持ちの裏返しだろうが、レッテル貼りや差別的見方・発言は本当に危険だと思った。みんなロシアのことならめちゃくちゃ言って構わない、というくらいの勢い。
動画に出ている女の子はただ虹を塗りながら I like red...とか言ってるだけなのに、酷い言われようだったな。

 私たちの知っている情報は膨大な数のうちのほんのわずか。
ほんのわずかな情報で人のことを悪く言うことも、とても危険。よく知って学んで分析して、何がどの様に悪いかをわかった上での議論なら良いだろうが、ふわっとした情報や見ず知らずの人が強めに言っている言葉に引っ張られて自分も言ってみよう、っていう悪口は本当に無駄でマイナス。自分のためにもならないので、止めた方が良い。

 昔も結構いろいろあったけど、今はみんなの手の届くところにいろいろな情報が山の様に散らばってる。大人の娯楽みたいなゴシップだってある。それを全部受け止めて、子どもたちが知らない間に差別や仲違いを産み出しているとしたら。それは本当に「英語教育」以前の問題。

 私にとって英語はいつでもツール。コミュニケーションだけじゃなくて、こうして子どもたちの中に知らずに刻まれている何かに訴えかけるためのものでもある。そのために英語講師してるのかもな。

 旅の途中で出会ったいろいろな国の人たちの笑顔が頭に浮かんだ。

読んでくださって、ありがとうございます。 もし気に入ってくださったら、投げ銭していただけると励みになります💜