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物語を考える ―文学研究―

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ぼくの考えていること、考え方には、文学研究の理論がすごく影響を与えているなー、と思っていて。仕事を辞めて2年間通った大学院で得た知見。他のノートを書くときに、その話と絡めたいこと…
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#テクスト論

テクスト論に思うこと ~物語には、集合的無意識、人間の普遍的な性質が表れる~

テクスト論に思うこと ~物語には、集合的無意識、人間の普遍的な性質が表れる~

 このマガジン「文学研究」は、文学研究の主な三つの方法論について書いてから、全く更新していなかった。

 理由は、このマガジンは、読んだ人が「アカデミックな文学研究」のことを知ることができるようにしたかったから。言い換えると、「正しい」ことを書こうと思ったから。だから、大学や大学院で学んだ、確かなことしか書かなかった。

 でも、文学研究の方法論の一つ、テクスト論は、文学の読み方を、読者に開いた。

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象牙の塔の文学研究 ― 2. 神を殺し、自由になる

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 そもそも、ぼくが文学=小説を研究することに興味を持ったいちばんはじめのきっかけは、文庫本の最後に載っている「解説」を読んだときだったと思う。そのときに読んだ物語の中から、自分には分からなかったたくさんの「物語に秘められた意味」みたいなものを掘り返していて、こんなに深いんだ、と戦慄した。

 文庫本の解説みたいな読み方は、たぶん、今回の旧記事で紹介している「テクスト論」に当てはまる。「テクスト論」

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