【追記あり】ZOCのデビュー曲「family name」は平成が生んだ新言語だった
今日 4月30日、平成最後の日にZOCというアイドルグループがCDデビューします。
このグループはシンガーソングライターの大森靖子氏プロデュースにより結成された、現在6人組のアイドルグループ。
ちなみに大森氏自身もメンバーとして、毎回ではないですがステージに立っています。(共犯者というポジションを名乗っているようです。)
僕はこのグループに対して、今のところ特別な思い入れがあるわけではないのですが、本日発売される「family name」というデビュー曲の歌詞に物凄く“平成”を感じたので、少し紹介してみようと思います。
ZOCがヤバい!
まず、大森靖子というアーティスト自体が全ての拗らせ女子の味方みたいな人で、そんな人が集めたメンバーだからZOCは全員個性がエグいし、大森氏のメンバーに対する愛も深い。
これは僕のイメージだけど、拗らせ系のアーティストはソロのイメージが強い。
だって拗らせてるから。
でも、ZOCは拗らせていながらもグループで、しかもアイドルです。
道の真ん中を歩けなかった女の子たちが大森氏に拾われてアイドルのメジャーシーンに殴り込んでいく。
そんな不思議な関係が、なんとなく家族めいたものすら感じさせます。
詳しくもないのにわかったフリして説明したくないので一人ひとりの紹介は割愛しますが、ぜひメンバーのプロフィールを見てみてください。ヤバいです。
僕はこんなアイドルを他に知りません。
平成という時代が産んだ新言語
ZOCのデビュー曲「family name」の歌詞の中で、僕が強く惹かれた部分があるので紹介させてもらいます。
これはサビの歌詞の一部なんですが…
たぶん、これを読んでも詞の意味がよくわからないという人は少なくないと思います。
でも、彼女たちと同じようなメンタリティーで生きている人にはきっと伝わってます。
それがこの歌詞のスゴいところ。
上記の詞の意味がわからないのは、決して前後の流れを省いているからではありません。
歌詞を全部読んだところでわからない人にはわからない。そういう歌詞なんです。(特に2番以降)
日本語の形をしていながら、日本人の誰にでも伝わるような共通言語ではない。
同じ精神性を持った仲間にしか伝わらない、平成が生んだ新言語。
family nameはそういう歌だと思います。
わかる奴にだけ響けば良い、そんな諦めにも似た切なさが“クッソ生きてやる”のリフレインで魂を震動させてくる。
ロックとはまた違ったエモさがここにあります。
4月30日という発売日
ご存知の方も多いかもしれませんが、メジャーアーティストがCDをリリースする際は、基本的に水曜日を発売日にします。
詳しいことはよく知りませんが、各ランキングの集計などに対して水曜リリースが一番効率が良いらしいと聞いたことがあります。(間違っていたらごめんなさい!)
しかしZOCのデビューシングルは4月30日リリース。
つまり、あえて火曜日を発売日に選んだということです。
これは言うまでもなく、平成最後の日を狙ったということでしょう。
では、なぜ令和最初の日ではなく、平成最後の日だったのか?
普通にCDリリースのサイクルに乗っていれば、自然と「令和最初の日に新しいアイドルがデビューします!」という華々しい流れがついてきたのに、あえて一日前倒して“平成最後”を取りに来たんです。
ここに個人的には「平成という時代が“私たち”を生んだんだ」みたいな想いを感じてしまいました。
時代を恨んでるとかじゃないんだけど、令和初日にピカピカの1年生みたいな顔してデビューするより、「平成にはこんな人種もいたんだ」と時代の一部を背負って世に出ていく方がZOCらしい感じがするということなのかなと。
あとはデビュー前から地道にライブ活動はしていたようなので、その期間もひっくるめて。というところも感じます。
歌詞の中では“平成も十代も余裕で捨てて”なんてフレーズが出てきますが、それをあえて言ってるところに平成や十代への意識を感じてしまいますね。
なんにせよ、令和最初のアイドルよりも“平成最後のアイドル”の方がZOCに似合ってる。
そんな気はします。
平成という時代ではたくさんの拗らせ系女子アーティストが出てきましたが、ZOCにはその集大成を見た気がします。
拗らせてるとか一般的にはあまり良いイメージの言葉ではないので、もし配慮が足りずに誰かの気に障っていたとしたらすみません。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
まだまだ始まったばかりの彼女たちが今後どうなっていくのか。
注目してみたいと思います。
令和の楽しみが1つ増えました。
- 追記 20210813 -
この記事を書いて以降、ZOCはメンバーの脱退や加入を重ねながら結成〜デビュー当初とは形を変えて現在も活動を続けています。
しかし僕にとって、この文章を書いたときほど熱を感じる集団ではなくなってしまったかもしれません。
少なくとも、記事内で紹介した「family name」という曲の歌詞は説得力を失ってしまっているのが現状かなと感じています。
良くも悪くも気になる存在ではありますが、音楽や活動そのものとは別の部分で話題になることも多く、メンバーやファンのメンタルが心配になることもあります。
この先、ZOCはどんな道を歩んでいくのでしょう。
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