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制作過程13:縮絨

羊からマフラーになるまでの制作過程 もくじ
1:羊の毛刈り 2:羊毛洗い
3:染め    4:紡ぎの準備
5:糸紡ぎ   6:かせ上げと撚り止め
7:管巻き   8:整経
9:機かけ   10:経糸を張る
11:織り
    12:間違い探し

13回目は「縮絨」です。今回は赤のショールのときの画像です。(毎回違って統一感なくてすみません)

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前回つくった房を、熱めのお湯と洗剤をつけて、手のひらで1本1本こすります。エンボス加工のしてある手袋をすると、すべらなくて便利。

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全部こすったら、全体を端からじわじわとお湯にいれて、冷めるまで放置します。だいたい夜に入れて翌朝まで。

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翌日引き上げて、できるだけきっちり揃えて畳みます。そして洗剤液と熱めのお湯をかけて素足で踏みます。白っぽい模様に見えるのは、かかとの跡。じわじわと移動しながら、小刻みに、全体を、ふみふみ。

この面をやったら、丁寧にひっくり返して反対側をまた踏みます。終わったら裏側をまた踏みます。繰り返し繰り返し、お湯と洗剤をかけながら、踏んで、たたみ直して、踏んで、と続けます。私の足に踏まれていない部分はありません。
終わる頃には、織り地の状態がひとつ変わっています。ちょっとぬめっとするというか。一体感が出始めた、という感じでしょうか。

きちんと揃えて畳んで私に踏まれ続けた後は、ぐしゃぐしゃにして熱いお湯をかけて、ばしっ!

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床に叩き付けます。
さっきまでは糸に「あなたの場所はここですよ」と伝えていた感じ。今度は「好きに動いていいよ」という感じです。感覚的過ぎますが、表現しようがなくて。

これでいいかな、と感じたらたっぷりめのお湯に入れます。お疲れさま、ちょっと休んでてね、という気持ちです。糸たちはきっと「は~、やれやれ」と思っていることでしょう。私もお昼休みをとります。ここまでで、だいたい1〜2時間の作業です。


さて後半。前半よりも、さらにきっちり畳んで、踏みます。お湯をかけながら、経糸と緯糸をそろえて、できるだけゆがみがでないように。踏み始めのころと随分感触が変わってきています。弾力が出てきている気配。

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そして最後のお湯しごと。箱に熱いお湯を張って勢いよく前後に動かします。手元の塩ビ管を廻して、布がお湯にあたる場所を変えながら、端から端までばしゃばしゃと、布が水面を、しゅっ!っとなでるような気持ちで勢いよく動かします。この作業をすると少し毛羽立って、厚みが出るように感じます。

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このみずたまが踊る景色が好き。

終わったら、ぬれたまま太い管にかけて乾かします。下から水がたれるけれど、そのままに。しわにならずに仕上がります。

この工程は、とにかく感覚が頼り。糸紡ぎだって感覚だし、織りもそうといえばそうだけれど、この縮絨は私にとって掴みどころがわかりづらいのです。このまま進んでいいのかな、でもさっきとは違うからいいかな、とどこか遠慮がちになってしまう。この工程の楽しさを捉えられたら楽しいだろうなぁ!

次が最終回です!

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