マガジンのカバー画像

映画感想

13
運営しているクリエイター

記事一覧

「風の谷のナウシカ」と呆然と生きることについて

「風の谷のナウシカ」と呆然と生きることについて

「風の谷のナウシカ」を映画館で観た。1984年ぶり?って何年ぶりだ。練馬文化センターで観たのかな。というかもう俺はそんなに長いこと生きてきたのか参ったな。

当時巨神兵が怖すぎたのをよく覚えている。最後に腐って崩れる方じゃなくて、言い伝えの中に出てくる「火の七日間」で並んで光の槍みたいなものを持って行進してくる姿が怖すぎた。なんてものを見せるのか、と憤りと怒りと恐れが一緒くたになって記憶に残ったけ

もっとみる
「すずしい木陰」

「すずしい木陰」

「すずしい木陰」という映画を観た。コロナ前に公開されたけれど映画館が閉まり、コロナ中にSNSで話題になっているのをうっすら観ていて気になっていた。映画館が再開したので再開後1本目をこの映画にしてみた。とんでもないものを観てしまった。

まず何より、映画の内容の前に、暗闇の中で大きな画面に映像が映り、スクリーンから音が出てきただけで「すごい」と思って感動した。映画すごい。そんな原初的な気持ちで映画を

もっとみる

「男はつらいよ」極私的ランキングとメモ(更新中)

1 「続・男はつらいよ」(1969)
  ミヤコ蝶々 山崎努
  圧倒的な面白さ 最高の第2作

2 「男はつらいよ」(1969)
  志村喬
  結婚式すごい第1作

3 「男はつらいよ 純情編」(1971)
  宮本信子 若尾文子 森繁久弥
  コメディ色強いが切なさも強い
  さくらとの別れのシーン
  バランスの取れた1作

4「男はつらいよ 望郷編」(1970)
  井川比佐志 機関士

もっとみる
「男はつらいよ」#1

「男はつらいよ」#1

映画館に行かれない日がやってくるなんて想像だにしてこなかったわけだけれど、今それが現実に起こっている。

ミニシアターを救うプロジェクトが2億5千万以上お金を集め、配信サービスは短期間で大量に会員数を増やし、無料で提供される有名アーティストのライブ映像をYouTubeで見ながら自宅で酒を飲んでいる。なんだ?この特殊な時間は。

せっかくなのだから海外ドラマをまとめてみたり、観たかった、もしくは観る

もっとみる

よくわからないものを観て

よくわからないものを観て、というか
とてつもなくつまらない芝居を観てしまい
あまりの動揺に一人酒を飲みに吉祥寺いせやに来てしまった。

昨日は絶賛されている映画を、大変大きな期待を持って観に行き、これまた「そんな傑作か?これは」と動揺してしまっている。

人が絶賛したり、命を燃やしながら作っている(燃やさずに作るものはもちろんあるはずだけど、きっと今日の芝居だって片手間にはできないはずで沢山のスタ

もっとみる
映画「ホット・サマー・ナイツ」

映画「ホット・サマー・ナイツ」

気になっていた洋画。A24作品とは知らなかった。

宣伝文句は「忘れられない夏がくる」。主人公カップルのアップがビジュアルで、てっきりラブロマンスかと思いきや(たぶんそう売りたかったんだね)、思いの外、ドラッグ売買が話の中心モチーフにあるハードな側面もある映画だった。

小さめなアメリカ映画の「イマドキ」だと僕が勝手に思う、クローズアップ多目、カット短めテンポ早め、カメラ目線カット多目の感じは嫌い

もっとみる
映画「工作 黒金星と呼ばれた男」

映画「工作 黒金星と呼ばれた男」

観た人からは絶賛しか聞かなかった韓国映画。噂に違わぬ作品だった。

90年代に北朝鮮に核軍事情報を探るスパイとして送り込まれた工作員のサスペンスだが、頭からラストまでここまで緊張感の途切れないのは凄まじい。史実に基づいた題材、未だ緊張感の続く現実背景、優れた脚本と演出、キャストや技術美術に支えられた傑作。

幸せなことに、ひとまず言ってみるけれど、今の日本にはここまで緊張感のある政治や社会状況を国

もっとみる
映画「狼煙が呼ぶ」

映画「狼煙が呼ぶ」

「青い春」「アンチェイン」「ポルノスター」の豊田利晃監督の最新短編。

20分弱だけどネットではなく、1900円のチケットで映画館でというのは珍しいし、スクリーンで観るべきものだという気もして劇場へ。でも残念ながら期待したものと違う中身だった。

侍と拳銃、かつ銃刀法違反で逮捕された監督自身の経験がベースにあるというけれど、僕にはよくその意図と中身がわからなかった。

ヒリヒリするような青春を、目

もっとみる
映画「アス」

映画「アス」

コンスタントに年間100本以上は映画を観ている若い友人が、「アス」が見たい見たいと言っていて、ふむそんな映画があるのかと思い気にしていたらあれよという間に公開されたので行ってきた。

ちなみにその友人は「観た。途中から爆笑だったし、最高だった」と言っていたし、また別の知り合いは「今年ナンバーワンでサントラも買った」と言っていたし、別の友人は「あんなクソつまんない映画のどこがいいんだお前らは」と言っ

もっとみる
映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」

映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」

タランティーノ最後の作品?と言われている最新作。

映画好きの間では熱狂的に、熱烈にこの作品を愛している様が漏れ聞こえてくる。タランティーノの映画愛に胸を打たれているようだ。その様がまた、その横にいる者の胸を打つ。何かを熱烈に、異様に好きな人のことを、普通は人は好きなものだ。大して音楽が好きでもないが友達に誘われて、もしくはノリで夏フェスに行った時、自分が熱烈に好きなバンドもアーティストもいないの

もっとみる
映画「スタートアップ・ガールズ」

映画「スタートアップ・ガールズ」

上白石萌音と山崎紘菜の出演している新作映画。

スタートアップがそもそもわからない、なんとなくしかわからない。のだが観てみた。平日の昼間の日比谷の劇場はなぜかソロのシニア男性が多い。なぜだ。彼女たちのファンなのか。スタートアップする年ではない。なぜだ。まぁいい。

冒頭、上白石萌音がやってきて初めて二人が会うシーンの設定がわからない(そもそもセリフがよく聞こえない)のでつまづいたが、いざ物語が始め

もっとみる
映画「記憶にございません!」

映画「記憶にございません!」

三谷幸喜の新作映画を観た。

三谷幸喜のドラマが好きだが映画は好きではない、敢えて言えば「ラヂオの時間」だけ好きだという人にこれまで何人にもあったし、私もその一人だ。けれどもこの新作は好きだった。なんでか。実はよくわからない。

中井貴一が良かったからに1票。中井貴一から目が離せないに1票。中井貴一がいい具合にギトギトしているに1票。中井貴一をずっと観ていたいに1票。

映画は主役のものだし、スタ

もっとみる