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飲酒は心房細動のリスク

飲酒は心房細動のリスク

心房細動は読売ジャイアンツの長嶋監督や、サッカー日本代表監督のオシム監督も罹患され、脳梗塞や心不全などのリスクがある疾患です。

アルコール過剰摂取は心房細動リスクの増加と関連していることが以前の研究で示されています。

しかし軽度から中等度のアルコール摂取と心房細動の関係を示した研究は少ないです。

この研究では、アルコール摂取と心房細動との関連を調査した研究のメタアナリシスを実施し、軽度から中

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FFR vs OCT

FFR vs OCT

この研究では、血管造影で中間的な冠動脈病変(AICL: angiographically intermediate coronary lesions)を有する患者を対象に、OCTガイドとFFRガイドでの治療を比較しました。



方法AICLを有する患者をFFR群とOCT群に無作為に割り付けました。
FFR群ではFFRが0.80以下の場合にPCIを実施しました。
OCT群では、狭窄率が75%以上

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新型コロナへのレムデシビルの効果

新型コロナへのレムデシビルの効果

Covid-19の治療のためにいくつかの治療薬が評価されていますが、有効性が示されている抗ウイルス薬はまだありません。

この研究ではCovid-19 で入院し、下気道感染を認めた成人を対象に、レムデシビル静注の二重盲検無作為化プラセボ試験を実施しました。

対象者は、レムデシビル(1日目200mgローディング用量を投与し、その後100mgを1日1回、最大9日間投与)またはプラセボを10日間投与す

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SGLT2阻害薬の下肢切断65歳以上の心血管疾患患者でリスク

SGLT2阻害薬の下肢切断65歳以上の心血管疾患患者でリスク

SGLT2阻害薬は、血漿中のグルコースが近位尿細管で再吸収されるのを阻害し、グルコース排泄することで血漿中のグルコースを減少させます。

しかし、SGLT2阻害薬は下肢切断や糖尿病性ケトアシドーシス、尿路感染症などの重要な有害事象のリスクの増加に関連することが指摘されています。

これまでの観察研究でカナグリフロジンによる下肢切断率の上昇は認められませんでした。

年齢と心血管疾患は成人糖尿病患者

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SGLT2阻害薬はDPP-4阻害薬よりMACE低下

SGLT2阻害薬はDPP-4阻害薬よりMACE低下

これまでSGLT2阻害剤は、2型糖尿病と心血管疾患がある患者で主要心血管イベント(MACE)の発生率を低下させることが示されています。

この研究では、2型糖尿病患者におけるSGLT2阻害薬とDPP-4阻害薬の比較により、MACE、その構成要素、全死因死亡、心不全のリスクを比較しました。

SGLT2阻害薬の新規使用者209,867人とDPP-4阻害薬の新規使用者209,867人を傾向スコアでマッ

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高齢者への低用量エドキサバンの有効性

高齢者への低用量エドキサバンの有効性

低用量のエドキサバンは出血イベントを著明に増悪せず塞栓症を有意に抑制した

超高齢者の心房細動患者における脳卒中予防のための適切な経口抗凝固薬治療の実施は、出血の懸念から困難であると考えられるケースがあります。

標準用量の経口抗凝固薬投与が適切でないと考えられる、非弁膜症性心房細動の日本人超高齢患者において、1日15mgのエドキサバンは、脳卒中または全身性塞栓症の予防効果がプラセボより優れていま

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AFの早期リズムコントロール心血管合併症減少

AFの早期リズムコントロール心血管合併症減少

心房細動への早期のリズムコントロールで心血管合併症リスク減少

心房細動の管理が改善されてきていますが、心血管合併症のリスクは依然として高いです。

早期のリズムコントロールでこのリスクを軽減できるかどうかは不明です。

国際共同研究で、初期の心房細動(登録の1年前までに診断)と心血管系疾患を有する患者を対象に、早期のリズムコントロールと通常治療のどちらかに無作為に割り付けました。

早期リズムコ

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イコサペントエチルは動脈硬化進行を抑制: EVAPORATE

イコサペントエチルは動脈硬化進行を抑制: EVAPORATE

EPA製剤はCTの評価で冠動脈プラークの増悪を遅らせた

スタチンは心血管疾患リスクを下げますが、最大量のスタチンでも依然としてそのリスクは残存しています。

REDUCE-ITではEPA製剤の心血管イベントを抑制したことが示されましたが、そのメカニズムは十分に解明されていません。

EPA製剤であるイコサペントエチル(IPE)は脂質の酸化や炎症、プラーク量、血管内膜の改善などの多くの効果が想定さ

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末梢静脈カテーテルからの昇圧剤投与: EMA

末梢静脈カテーテルからの昇圧剤投与: EMA

血管収縮薬は、主に昇圧剤の血管外漏出の懸念から、中心静脈カテーテル(CVC)を介して投与されてきました。

末梢静脈カテーテル(PiVC)を介した昇圧剤の投与が、実行可能で安全な代替手段である可能性が示唆されてきました。

このレビューでは、PiVCを介した血管収縮薬投与の安全性が評価されました。

成人における昇圧剤投与に関する前向きおよびレトロスペクティブ研究の文献検索が行われました。

少な

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EPAによる冠動脈プラークの安定化: Clinical Cardiology

EPAによる冠動脈プラークの安定化: Clinical Cardiology

OFDIを用いたEPA製剤による冠動脈プラークの安定化は詳細な評価はされていませんでした。

この研究ではEPAはOFDIを用いてPCIを行われた患者のプラークの安定化に寄与するか検討されました。

2015年10月から2018年7月までにPCIが行われた121症例の冠動脈プラークに関するデータ をレトロスペクティブに解析しました。

109人が無EPA群、12人がEPA群でした。

各プラークの

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CPA後低体温療法患者の抗菌薬投与による早期VAP予防: NEJM

CPA後低体温療法患者の抗菌薬投与による早期VAP予防: NEJM

ショック可能な院外心停止後に低体温療法を行った患者は、人工呼吸器関連肺炎のリスクが高くなります。

しかしながら予防的な抗菌薬治療の有用性は示されていません。

この研究では心停止後低体温療法中の患者で抗菌薬投与がVAPを予防するか検討されました。

ショック可能な院外心停止後、人工呼吸器管理を行っているICUの成人患者(18 歳以上)を対象に、多施設共同、二重盲検、無作為化、プラセボ対照試験が実

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TAVI後の抗凝固療法 vs. クロピドグレル併用の出血リスク: NEJM

TAVI後の抗凝固療法 vs. クロピドグレル併用の出血リスク: NEJM

経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)後の抗凝固療法単独または抗血小板剤投与の役割については十分に検討されていませんでした。

この研究では経口抗凝固療法を受けているTAVIを受けた患者を対象に、クロピドグレル併用の無作為化試験が行われました。

TAVI前にクロピドグレルを投与しない群と3ヶ月間クロピドグレルを併用する群に1:1の割合で割り付けました。

主要アウトカムは、12ヶ月間の重篤な出血

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スタチンによるプラーク安定化のメカニズム:JACC

スタチンによるプラーク安定化のメカニズム:JACC

スタチンは冠動脈疾患再発抑制に重要な薬剤となっていますが、プラーク安定化の詳細なメカニズムは十分に解明されていませんでした。

この研究では、OCTを用いて、冠動脈動脈硬化性プラークの線維性被膜に対するアトルバスタチン20mg/日投与とアトルバスタチン5mg/日投与の脂質低下療法の効果が評価されました。

不安定狭心症で未治療の脂質異常症がある70症例をアトルバスタチン20mg/日またはアトルバス

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TAVI術後せん妄のリスク因子

TAVI術後せん妄のリスク因子

経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)後の術後せん妄の危険因子およびせん妄が死亡率および罹患率に及ぼす影響が検討されました。

多施設共同研究で2012年から2013年にTAVIを受けた患者のデータベースを用いて、TAVI後のせん妄の独立した危険因子を同定するため、術前および術後の危険因子が統計的に解析されました。

結果2012から2013年に7,566人の患者がTAVIを受けました。

TAV

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