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マイクロノベルちょいす 066「天使と悪魔の相互理解」

No.1311
『天使よ。悪魔である俺と自分の魂を入れ替えてどんな悪事を企んでいるのだ? お前は間違っているぞ。あと、モサモサした羽根が、あーもう邪魔だなあ!』大きなお世話だ。まあ、お前が設置した空気清浄機はいい働きをするから、これからも使ってやる。


No.1312
やれやれ。天使に体を乗っ取られていたなんて、不気味でムズムズする。落書きなんかしてないだろうな? 銭湯の大きな鏡で確認だ。「よう、悪魔のダンナ。ここ三日ほど見なかったけど、風邪でもひいたか?」天使のやつ、三日も風呂に入らなかったのか!?


No.1316
「悪魔になりたいの?」幼き者よ、誤解です。天使は人々を見守り、悪を滅して……つまんない、みたいな顔すんな。「おーい、みかんをたくさんもらったから、お前も食うか」悪魔がどんな理由で天使に施しをするか! 「ビタミン不足はイライラの原因らしいぞ」


No.1319
理解さえすれば、天使が悪魔を滅するなどたやすいこと。奴らの醜い心をAIで再現してやりましたよ。なになに、地球を滅ぼす百の方法? なぜそんな怖ろしいことを!! 「天使よ。これはゴミを安全に拾うためのマニュアルと、長ゴム厚手手袋だ」マメだな、悪魔は。


No.1323
下界で天使として活動し、光熱費がかかると知った。あとコンビニデザートが美味しい。そして――。「下界には家賃というものがあるのです」大天使様、悪魔のアパートはないそうです。「悪魔の言葉に惑わされてはいけません」この反応……本当にタダなんだ。



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