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マイクロノベル集 319「救われたり、ただの常識だったり」

No.1746
「お前の魂を救ってやろう」むむっ、なんと愛らしいぬいぐるみだ。こりゃたまらん。ぼくはぬいぐるみを連れ帰り、部屋の一角に飾る。う~ん、癒やされる。「だろ? 偉大な我々をもっと崇めてもよいぞ」そろそろ虫干しをしなきゃ。「逆さ張り付けはやめて!」


No.1747
「あなたの魂を救ってご覧にいれましょう」丸い生物が宣言した。そんなことよりカップから出て行って。せっかく淹れたコーヒーがぬるくなっちゃう。「むむっ、熱湯をかけられてはたまらん」黒猫だったのか。悪いことしたな。僕はカップにアイスコーヒーを注ぐ。


No.1748
常識を忘れてはなりません。ぼくはお母さんからそう教えられた。だから。「平均時速四十キロで二時間走ると、何キロ移動できますか?」信号待ちの時間が気になっちゃうの。「信号はありません」トイレ休憩はありますか? 「十五分あります」七十キロ。


No.1749
「常識的に考えれば、犯人は電柱に変装していたのだ。犯行時も、鑑識中もね」常識を疑う話なのだが、本当に犯人の手がかりが発見された。「真実は常に常識」ぼくはこの名探偵の助手。「常識人には、非常識な考えを持つ助手が必要なのだよ」納得いかねぇ。


※noteだけで読める、このマイクロノベル集の続きはこちら。




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