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落ち込んでいる人へのアドバイス "考えないようにしろ" は不親切すぎる

つらい時に、"考えないようにしろ"と言われたことがある人も多いだろう。しかし、そのアドバイスはあまりに不親切である。考えないようにするなんて無理だからだ。逆にどうすればいいのか教えてくれ。心理学的にもこのアドバイスが効果的でないことが証明されている。"シロクマの実験"という言葉を聞いたことがあるかもしれない。この実験では、"シロクマを考えないようにしろ"と指示された人々が、逆にシロクマのことばかり考えてしまうという結果が得られた。つまり、何かを考えないようにしようとすると、そのことが余計に意識されてしまうのである。つらさが心の奥に根付いている場合、それを無視することは難しいし、むしろストレスを増やしてしまうこともある。

そこで、つらいことを完全に消し去る方法はないという前提のもと、少しでもそのつらさを和らげ、できる限り考えないようにするための具体的な方法を紹介する。

"別のことに集中しろ"の無責任さ

"別のことに集中しろ"ってだけ言って、アドバイスした気になる輩に対して何度いらだったことか。たしかに、その言葉を放った人は、自分のことを愛をもって、気を遣って言ってくれたというのは理解できる。しかし、そのアドバイスを軽く投げかけるだけでは、正しい意味で受けては理解できないし、最悪の場合、誤って伝わることがある。

例えば、好きな人に振られた時や仕事で大きな失敗をした時に、ただ"別のことに集中しろ"と言われても、気持ちを切り替えるのは簡単ではない。深い失望や悲しみは、表面上の気晴らしでは消えないからである。実際、別のことに集中しようとしても、結局その問題が頭の中から消えず、余計にストレスがたまることもある。

1. 上達プロセスについて考える

別のことに集中する際には、具体的にどうそれを行うかを考える必要がある。例えば、ゲームにハマるなら、ただ無目的に遊ぶのではなく、"どうやったらもっと上手くなれるか"を考えながら取り組む。格闘ゲームであれば、相手がこの位置にいるときに、取りうる行動は何か、それを踏まえたうえで自分はどの技を振るのが最適解か、を考える。それがゴルフでも音楽でも、スキルアップを目指して具体的な目標を設定し、それに集中することが重要である。論理的思考が働いている間は、感情に構っていられないからだ。ただ、完全に感情的な呪縛からは抜けられないことは前述のとおり。それでも、つらい時間は減らせるだろう。

つらい状況にいるときに、"別のことに集中しろ"というアドバイスを受けただけでは、本人が感じている深い悩みや苦しみを理解してもらえたとは感じられないかもしれない。だからこそ、本気でアドバイスを伝えるときには、そんな一言で済ませてはいけない。あまりにも無責任すぎる。本気で大事にしている友人にその言葉を投げかけたのであれば、あなたは実力不足だ。相手に正しく理解させる。そこまでが話し手の責任である。それがないと、単に"やり過ごせ"と言われたように感じ、さらに孤独感が強まることもある。

2. 他の人の苦しみを知る

また、自分がどれだけつらくても、もっと厳しい状況にいる人がいることを知ることで、つらさを少しでも和らげることができる。また、他の人々の苦しみを知ることで、自分のつらさを再評価できる場合もある。他人を見下すわけではないが、自分の苦しみが相対的に小さく感じられることで、精神的にバランスを取ることができる。

例えば、妻や子供を事故で一度に失った人や、重度の障害や病気を抱えて、自分のやりたいことができない人たちの話を聞くことで、今自分が抱えている問題の大きさを再評価できる。長年付き合ってきたパートナーとの別れなど、つらい経験をしている人は多いが、そうした人々がどのようにしてその困難を乗り越えているかを知ることも、自分のつらさを少し軽くする助けになるだろう。

そんな非人道的な、と思うかもしれない。日常的にこういったことをしているなら、その通りだろう。だが、精神的に追い込まれた人は、それどころではない。自分が生きるか死ぬかの瀬戸際なのだ。不謹慎狩り、コロナ自警団のように、歪んだ正義感を掲げて承認欲求をみなす方々には、津波がすぐそこまで来ている場面で、運転席のドアが開いた鍵の刺さった車を発見しても、自分の走って逃げていただきたい。自分が倒れてしまっては、大切な人を守れな。本末転倒な結果を避けるために、本当につらいときは、有効な手段の一つだろう。

4. 結論

つらい時期を乗り越えるためには、ただ考えないようにするだけではなく、別のことに集中しつつ、その上で具体的な上達や目標を設定する。そして、周囲の人々から無責任なアドバイスを受けるのではなく、現実的で実践可能な行動を選択することが大切である。自分自身のつらさに対処するための具体的な手段と、他者の苦しみから学ぶことが、少しでも前向きに進むための鍵となるだろう。あなたが周りの人に正しい意味で力になれることを検討する。

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