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和食の知恵

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祖先から伝わる和食の知恵。作りかたや調理方法、食べかたの記事を集めています。
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記事一覧

昆布締めという魔法

今までにない昆布締め商品をつくるという挑戦は、水揚げから加工、製品化までのスピードの早さと変化のない定温での保管が必要条件だ。真面目にそして熱心に取り組む産地の努力が新商品を生み出す。 文・撮影/長尾謙一  料理/横田渉  ナチュラルシー 昆布締めシリーズ 冷凍(全9種) ・クロガレイ昆布締め ・オヒョウ昆布締め ・アブラガレイ昆布締め ・天然サクラマス昆布締め ・真鱈昆布締め ・あんこう昆布締め ・平目昆布締め ・金華さば昆布締め ・天然真鯛昆布締め (素材のちから第4

1年中使える「実山椒の下処理」と「ちりめん山椒」の作り方

5月下旬から6月に採れる山椒の実。この時期に入手して1年間つかいます。 今回は、さゆり農園さんの朝倉山椒を入手しました。 この時期になると山椒を下処理して、色んな方法で保存しています。 まずは基本の下処理から (作り方) ①実に付いている枝と軸を取り除きます。軸は少し残っていても大丈夫 ②鍋に水と塩、実山椒を入れ火にかけます。沸騰したら弱火にし、4分煮ます。 ③柔らかくなったらザルにあげ、冷水にさらします。 ④そのまま1時間以上アク抜きをしたのち、キッチンペーパーで

手間をかけた出汁はうまい? 昆布出汁の抽出方法による味の違いを分析しました。

和食に欠かせない「出汁」。だしパックや粉末出汁など手軽な出汁も多くありますが、ひと手間かけた出汁は、ひと味違うのか?実際に検証してみます。 出汁にもいろいろありますが、今回は昆布出汁で実験します。 昆布出汁を取る方法は ・水出し ・煮出し ・60℃を保持する …などがあります。 一定温度を保持する方法は手間がかかるため、従来の一般家庭では難しいやり方でした。最近では家庭用の低温調理器なども普及し、おうちで試せるという方もいるのではないでしょうか。 今回は利尻昆布・羅臼昆布

出汁のとり方、もう一度復習〜昆布編〜

基本のレシピ、出汁のとり方を復習します。出汁とは「水溶性の旨みや香り成分を水分に抽出したもの」です。様々な食材から出汁は抽出できますが、現在の和食で用いる一般的な素材は昆布と鰹節です。 昆布の種類によって味わいが異なる まずは昆布の話から。水1リットルに対して昆布の量は10g(1%)が家庭的な量とされていますが、昆布の種類によって旨み成分の量は大きく変わってきます。 (うま味インフォメーションセンター webページより引用) 単純にグルタミン酸ナトリウム量でいえば関西で

かつお節と削り節の味わい深い関係

日本料理の出汁にかつお節は欠かせません。 かつお節を作るには、まず生のかつおの身を三枚におろします。 血合いのところから背と腹の部分に分けます。 背の方を「雄節」、腹の方を「雌節」といいます。 つまり一尾のかつおから四本のかつお節ができます。 釜で煮た後に骨を抜き取って身をきれいにします。 この段階では「なまり節」といいます。 水分を抜いて香りをつけるために薪を炊いて煙でいぶします。 何度もいぶしていくうちに堅いかつお節ができます。 これを「荒節」といいます。 さら

かつおと昆布と出汁の地域性の話 Vol.2【好まれるかつお節の違い】

Vol.1では【好まれる昆布の違い】について書きました。(こちら) 昆布は北前船の発達により、一気に昆布が広まっていきました。 その時に、地域によって好んで使われる昆布に違いが生まれました。 ではかつお節は? いつから使われるようになったのか。 どの地域でどのようなものが好まれているのか。 そして、かつお節問屋であるうちでは、どのようにしてお客様に提供しているのかについて書いていきます。 1. 好まれるかつお節と出汁前回の昆布と同じように、『大阪』『京都』『東京』と3つに

上質な出汁とは? -基本を知ることの重要性-

先日、弊社も所属してる某食品の団体で、新商品を認定いただくための官能検査部会が実施されました。 その時に、他社商品とブラインドで比較を行い、果たして弊社の商品が質の良いものであるのかどうかという試験を行います。 そこで、一つの問題点が浮かび上がりました。 弊社そして私自身は、『最上質のかつお節を届ける』ということを目標としているかつお節屋であるために、かつお節の質というものを追求し続けていました。そのため、『良い出汁とは何か?』ということを考え続けています。 以前、美味

京都大学の研究をベースに出汁を引いて味噌汁作りました。

「出汁でコケたらその日の味全部コケる」 という事を修行していた日本料理屋で大将が煮方の人に言っていたのをふと思い出しました。 こんにちは、ゆーたろー です。 というわけで今回は「コケたら(失敗したら)終わり」の出汁を、昔見た京都の大学と料理人さんが作った研究データをベースに温度と量を測りながら作る方法について紹介していこうと思います。 初めに用意する食材はこちら。 ・水 500ml ・かつお節 15g ・昆布 5g ・味噌 適量 ・万能ネギ 適量 注意点としまして

美味しい出汁、とはなにか

師走に突入し、今年も残すところ半月となりました。 かつお節屋は年末年始が一番の書き入れ時で、この時期は会社によっても違うのですが、12月は平月のと比べて2倍以上の売り上げを記録するところが多いようです。(さすがに今年は例年通りとはいかない事が多いですが…) それだけ、年末年始という「ハレノヒ」は、今でもきちんとお出汁を引いてくださっている方が多いのだと実感します。 普段はダシパックや顆粒、またはめんつゆで済ませているけど、ハレノヒだけはきちんと出汁を引いて、年越しそばとおせ

”だし”を理解する-1

紡希は和食料理の心臓部分といわれる”だし”に力を入れています。 だしについて詳しく何回かに分けて話をしていきます! 一番だしはお店の顔なのでこだわりがあるお店も多いと思います。 だしの素材とひき方の条件をリストアップ1昆布の種類 2節の種類(カツオ節、マグロ節等) 3昆布と節の量及び水の量 4加熱時間と温度(昆布と節) 1昆布の種類主に飲食店で使われている昆布は、利尻昆布、真昆布、羅臼昆布が主に使用されています。 うま味成分としてのグルタミン酸が多い順は、 羅臼昆布>

出汁を取ることから始めてみよう そうめんつゆの作り方

そうめんつゆ、ポン酢、味噌汁、お浸し、天つゆ。 全て同じ「出汁」をもとに作っており顆粒だしやだしパックなどにあたるものが「出汁」となります。 そもそも出汁を取るって難しそうで面倒、コストも時間もかかるし…というイメージだと思います。言ってしまえば概ねその通り。 否定することがあるとするとコストはそんなに変わらないかな。めちゃくちゃ良い昆布や鰹節を使うとなればもちろん話は別ですが、スーパーで売ってるもので十分美味しい出汁は取れます。 なぜそんなに出汁推しするのか 味噌汁を一

基本のお出汁レシピ

お店の看板商品であるお出汁。200円。 たけーよ! いやいや、これ儲け無いんです。 これを今日はお教えします。 出汁のレシピ・お水6リットル ・鰹節150g ・昆布90g 使う材料はいたってシンプルです。 だからこそ、そもそも美味しい素材を用意しなければなりません。そもそもです。 昆布はこちら。利尻昆布使ってます。 鰹節はこちら。豊洲市場内の鰹節屋さんに削ってもらってます 和田久さんの2番を使用。上から2番目の品質という意味です。「ぬき」は、血合いを抜いてる

わかりにくいのがもったいない!昆布の種類の見分け方

鍋ばかりでなく出汁のベースになる昆布だけど、昆布ってスーパーの棚を見てもどれを買えば自分に合うのかわからない。それってもったいないなと思っていて、この記事を書くことにしました。 食べる昆布と出汁昆布があります。 食べる昆布は、見た目に細くてくしゃっとしています。白っぽく見えます。 袋には早煮とか、竿前って書いてあります。15分くらい水につけてさっと洗ってから使います。私は洗ったら絞って使いやすい量ずつラップで包んで冷凍します。水にさっと濡らして半解凍状態をハサミで切って

ブロークンかつおだしのとりかた

味噌汁、煮物と、万能に使えるかつおだし。今日は家庭で気負わずできて、日常使いにちょうど良いかつおだしのとりかたです。 まず、一般的なかつおだしのとりかたいろいろなレシピでかつおだしのとりかたを調べると、もっとも多い配合は水800mL~1Lに対してかつお節10~20g。 ①鍋で湯をわかす ②火を止めてかつお節を加え、30秒ほど待つ ③こし器や布を使って絞らないよう自然にこす というものです。 水を昆布だしに変えれば、昆布とかつおの合わせだしとなります。 通常のだしの場合、か