かのまた まさお

児童文学や食に関するエッセイを書いています。"Snails never hu…

かのまた まさお

児童文学や食に関するエッセイを書いています。"Snails never hurry home."(カタツムリは家路を急がない)を人生の教訓と考えています。なぜ家路を急がないかって。それは家を背負っているからです。

最近の記事

半夏生に食べるものといえば

半夏生(はんげしょう)は七十二候の一つです。 夏至から数えて十一日目にあたります。 もともと「半夏」とは、漢方の生薬の名前であり、 「カラスビシャク」という薬草の漢名です。 半夏が生じる季節だから半夏生といわれます。 昔から農作業が一段落する時期とされていますが、 農家にとって大切な節目となる日です。 無事に田植えが済んだことを田の神様に感謝し、 しっかり休みを取って盛夏に備えます。 例年7月2日頃に当たりますが、 今年は7月1日だそうです。 地方によって、半夏生

    • 1000字で読む文学の話69「風と共に去りぬ」「雨月物語」「深夜の酒宴」

      第二百五話 「風と共に去りぬ」ミッチェル  小説において、主人公の性格がどのように設定されるかは重要です。

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      • 1000字で読む文学の話68「ダイヤモンドダスト」「野ばら」「動物農場」

        第二百二話 「ダイヤモンドダスト」南木佳士  「諦観(ていかん)」という言葉があります。

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        • 1000字で読む文学の話67「真鶴」「風姿花伝」「失われた時と求めて」

          第百九十九話 「真鶴」川上弘美  小説家の初期の作品には、その後の作風を暗示する兆候が隠れています。

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          1000字で読む文学の話66「外套」「冷静と情熱のあいだ」「恩讐の彼方に」

          第百九十六話 「外套」ゴーゴリ  ウクライナ生まれのロシア文学者、ゴーゴリほど荒唐無稽で奇想天外な物語を生み出す作家はいません。

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          1000字で読む文学の話65「風琴と魚の町」「わたしを離さないで」「伽倻子のために」

          第百九十三話 「風琴と魚の町」林芙美子  作家の生い立ちがその作風に大きな影響を与えることは珍しいことではありません。

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          水無月という名前の和菓子

          水無月(みなづき)とは陰暦の六月のことです。 現在の暦では六月下旬から八月初旬に当たります。 なぜ水の無い月と呼ばれるのか諸説があります。 梅雨が明けて河川の水量が減るからという説もあれば、 炎天下で水か枯れるからという説もあります。 逆に「水の月」が語源だともいわれています。 水田に十分に水か張る季節だからです。 いずれにしても水無月は盛夏です。 平安時代の宇多天皇は、水無月に雪景色を見たいとおっしゃって 宮中の従者たちを困らせたと伝えられています。 仕方なく、

          水無月という名前の和菓子

          1000字で読む文学の話64「ぞうさん」「赤毛のアン」「楢山節考」

          第百九十話 「ぞうさん」まど・みちお  童謡「ぞうさん」は、昭和二十六年(一九五一年)に発表されました。

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          1000字で読む文学の話63「ライ麦畑でつかまえて」「西の魔女が死んだ」「蟹工船」

          第百八十七話 「ライ麦畑でつかまえて」サリンジャー  エルヴィス・プレスリーとJ・D・サリンジャーにはいくつか共通点があります。

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          1000字で読む文学の話62「夫婦善哉」「かもめのジョナサン」「和泉式部日記」

          第百八十四話 「夫婦善哉」織田作之助  夫婦というのは、じつに不思議な人間関係です。

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          1000字で読む文学の話61「青い鳥」「生きるぼくら」「無常といつ事」

          第百八十一話 「青い鳥」メーテルリンク  幸せとは何でしょうか。

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          太宰治の命日はなぜ「桜桃忌」と呼ばれるのか

          太宰治の小説の愛読者にはよく知られていますが、 命日の6月19日は「桜桃忌」と呼ばれています。 桜桃とはサクランボのことです。 6月に旬を迎える果実です。 しかし6月に旬を迎えるのはサクランボだけではありません。 ヤマモモやビワやアンズも市場に出回る季節です。 なぜ桜桃忌なのでしょうか。 その理由は、太宰治の絶筆となった小説にあります。 最後の小説の題名が「桜桃」なのです。 太宰治の晩年の小説は、ほとんど自身がモデルです。 痛々しいほど自虐的であり、自嘲的です。

          太宰治の命日はなぜ「桜桃忌」と呼ばれるのか

          スヌーピーはピーナッツを食べないのになぜ漫画のタイトルがピーナッツなのか

          アメリカに「ピーナッツ」というタイトルの漫画があります。 スヌーピーやチャーリーブラウンが登場するあの漫画です。 しかし、スヌーピーがピーナッツを食べる場面は、 少なくとも私の知る限り、一度も描かれていません。 それがなぜ「ピーナッツ」というタイトルなのでしょうか。 作者のシュルツ氏もこのタイトルがあまり好きでなかったそうです。 編集者が勝手に名づけてしまったと伝えられています。 英語のピーナッツには「つまらないもの」の意味があります。 またナッツにも「愚かもの」の意

          スヌーピーはピーナッツを食べないのになぜ漫画のタイトルがピーナッツなのか

          ポパイのホウレンソウはなぜ生ではなく缶詰なのか

          ポパイは、アメリカのコミックでありアニメーションです。 日本では1950年代にテレビ放送が始まりました。 主人公のポパイがホウレンソウの缶詰を食べると、 超人的パワーを発揮して大活躍する物語です。 もちろんいつもホウレンソウを食べるわけではありません。 敵と戦って絶体絶命のピンチに陥ったときだけです。 戦う相手は、たいてい恋のライバルのブルートです。 いかついヒゲ面の大男で、典型的な悪役です。 ポパイの恋人のオリーブにブルートが強引に言い寄ると、 オリーブが「助けて、

          ポパイのホウレンソウはなぜ生ではなく缶詰なのか

          トムとジェリーのチーズにはなぜ穴が開いているのか

          トムとジェリーはアメリカのテレビアニメーション番組です。 日本では1960年代に放送が始まりました。 ネコのトムはお調子者で、いつもジェリーを追いかけ回します。 ネズミのジェリーは賢くて、簡単にトムには捕まりません。 ときにはトムがジェリーにやり込められることもありますが、 なぜか最後は円満に仲直りすることもあります。 トムはジェリーをおびき出すためにチーズを使います。 チーズはジェリーの大好物だからです。 番組で描かれているチーズにはいくつもの穴が空いています。 ス

          トムとジェリーのチーズにはなぜ穴が開いているのか

          八十八夜はなぜ八十八日ではないのか

          文部省唱歌「茶摘み」にも歌われている八十八夜は、 立春から数えて八十八日目に当たる日です。 昔から新茶摘みが最盛期を迎える季節とされています。 この日に摘んだ新茶を飲むと長生きするとも言われます。 例年、5月1日か2日に当たりますが、 立春を起算点にするのは理由があります。 太陰暦を基にした日本の旧暦には閏月があるために 暦日と本当の季節がずれてしまうからです。 立春から数えるとずれることはありません。 毎年同じ時期に農作業ができます。 八十八夜と同じく、二百十日と

          八十八夜はなぜ八十八日ではないのか