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八十八夜はなぜ八十八日ではないのか

文部省唱歌「茶摘み」にも歌われている八十八夜は、
立春から数えて八十八日目に当たる日です。

昔から新茶摘みが最盛期を迎える季節とされています。
この日に摘んだ新茶を飲むと長生きするとも言われます。

例年、5月1日か2日に当たりますが、
立春を起算点にするのは理由があります。

太陰暦を基にした日本の旧暦には閏月があるために
暦日と本当の季節がずれてしまうからです。

立春から数えるとずれることはありません。
毎年同じ時期に農作業ができます。

八十八夜と同じく、二百十日という雑節もあります。
文字通り、立春から数えて二百十日目の日です。

例年、9月1日か2日に当たりますが、
激しい嵐がやって来る日とされています。

夏の間に成長した農作物が被害に遭わないように
農家が嵐を警戒する日です。

ちなみに、夏目漱石の小説にも「二百十日」があります。
他の有名な作品ほど知られていませんが。

二人の青年が阿蘇山に登ろうとするのですが、
ちょうど二百十日の嵐に遭って引き返す話です。

しかし実際の台風シーズンはもう少し後になります。
そのため二百二十日という雑節もあります。

ところで、八十八夜はなぜ「夜」なのでしょうか。
なぜ「八十八日」と呼ばないのでしょうか。

それは、夜に霜が降りるからです。

「八十八夜の別れ霜」という言葉があるように
霜は八十八夜まで続くと言われています。

それ以降は、霜を心配せず本格的に農作業ができますが、
逆に、八十八夜までは霜に警戒しなければなりません。

美味しい新茶を楽しめるのも農家の努力のおかげです。


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