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小説家になりたい人へ 著作権エージェント夢野律子がお手伝いします 

あらすじ

 著作権エージェント「ドリーム・エージェント」で働く夢野律子はトップ代理人であった。彼女は自社が運営するサイトの宣伝や、売れっ子作家を担当し、新人を指導しながらテキパキ仕事をしていた。

 そんなある日、面倒を見ている新人から「友達が書いた作品を読んでほしい」と頼まれた。原稿に目を通したら長年の勘でベストセラー作品になると確信し、作家本人にあった。女優のような美人だったので、美貌を活かして本を売り出した。

 しかし美人作家の正体は、律子が担当している売れっ子作家のゴーストライターだった。スキャンダルが明るみになる前に会社は素早く解散し、律子は次の職業を探していたら美人作家からマネージャーを頼まれた。

(あらすじ文字数297文字)

『プロローグ』

【ハリーポッターの作者もエージェント契約をしています】

初めまして。著作権代理業「ドリーム・エージェント」にようこそ。私はあなたを指導する夢野律子(ゆめのりつこ)。あなたの名前は玉城直美(たましろなおみ)ちゃんね。もしかして沖縄の人?

 ああ。やっぱり。で、私より10歳年下の24歳ね。そんなに若いってことは、あなたも社長にヘッドハンティングされたようね。私もよ。

 著作権エージェントってどういうビジネスか知っている? 何も知らないって顔ね。気にしないで。私も入社してから知った口。


 平たく言ってしまえばピンハネビジネスよ。出版社に作家や小説家を紹介して手数料を取るビジネスよ。成功手数料みたいなものかしら?


 日本で小説を出すには、出版社が主催する賞レースに応募してデビューするのが定番だけど、欧米は志望者がエージェントに依頼して出版に結びつけるのが主流なのよ。


 エージェントは成功報酬欲しさに簡単に諦めないから、いくつもの出版社を回るの。ハリー・ポッターも十社以上に断られたけど、児童書に強い出版社に作品を紹介したら世に出たのよ。


 エージェント業は小説家志望者と出版社を結びつける結婚の仲人さんみたいなものをイメージして。


 それとね、今はネットで小説を公開して出版するのも増えて来たのよ。老舗や大手の出版社はネット発の小説を小馬鹿にしていたけど、結局ヒットすれば掌返し。今じゃ運営する側に回っている始末。

 ネット小説の利点は無料で読めて無料で投稿できるとこかしら。無料だからゴミのような作品しか集まらないけど、泥中の蓮のようにたまに大ヒット作品が誕生するの。


 だから出版社は囲い込みをするために運営側に回ったのよ。


 うちもエージェント業の傍ら、ネット小説を運営しているの。


 でね。この仕事は資格を必要としない職種。全ては己のスキルよ。いろいろ教えるけど、奥義的なことは口で説明できないから見て覚えといて。自分で考えて実行しといて。


 そして大切なことを知ってほしいの。小説家の多くはイカれた人種だけど、小説家志望者はもっとイカれているから。


 一言でいうと、クソ。


 そのクソを流すか肥料にするかはあなた次第ってこと。では一緒に頑張りましょう。エージェントの世界にようこそ。


#創作大賞2024  #お仕事小説部門

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