長島芳明 小説家のようです

小説家です。隼や疾風を設計した小山悌を主役にした「銀翼のアルチザン」を出版。知久平さん…

長島芳明 小説家のようです

小説家です。隼や疾風を設計した小山悌を主役にした「銀翼のアルチザン」を出版。知久平さんの本が完成し、今はデビスカップの熊谷一弥と清水善造が完成しています。各種依頼は ブログのメールファームで。http://blog.livedoor.jp/nagasimayosiaki/

マガジン

  • 中島知久平の「必勝戦策」

    中島知久平が死去して70年が過ぎたので、著作権フリーのパブリックドメインになりました。そこで、巨大爆撃機「富嶽」を生産して運用する論文、「必勝戦策」を公開し、長島が取材で得た知識を加えながら論文の解説をします。

  • 群馬各地を回って気づいたこと

    勝手気ままに群馬の観光地やスポットを回って気づいたことを、長島の視点で書く散文記録です。

最近の記事

中島知久平の必勝戦策。 二、 日、獨、米、英、四國提携策 

 では次の案です。ネタバレするわけではないですが、ほんと、「ウクライナはロシアと和平交渉しろ」と言っている人(最近は見かけないかな?)に、言い聞かしてやりたい内容になっています。 二、日、獨、米、英、四國提携策  日、獨、米、英、の四國提携策は、日、獨の承認する條件に依っては成立する可能性はある、そして、結局世界戦争は一先ず終局して、平和会議に成ると思われます。  然し、敵の勝勢盛にして、味方に不利の戦勢に於て休戦することは、 要するに、窮して敵の懐に投ずることと撰ぶ所

    • 中島知久平の「必勝戦策」。第二、皇國保全の方(妄)策 一、日、獨、ソ、三國提携策

       では、このまま戦略を変えなければ日本は大打撃を食らうと予測し、武力解決ではなく、外交での落とし所を知久平さんは考察しますが、「(妄)策」と断りを入れて説明をしています。  で、先に断りを入れますが、「この項目は長いが、勢いで読んだほうが伝わりやすい」と判断し、今回は長めです。  近時、皇国保全の策は、外交方略に依る外に道はなしとの議が、一再に掲って居てる、其の一つは、日、独、ソ、三国提携策であり、他の一つは、日、独、米、英、四国提携策であります。  一、日、独、ソ、三

      • 中島知久平の「必勝戦策」。三、の終りまで

         ではいつものように原本を上げて打ち込みます。  ドイツは全面的に戦力を喪失し、全線に亘って手を挙げざるに立ち至る危険が予見せらるのであります。  而して、ドイツの危機は即ち日本の危機である、茲に欧州戦局の危機が国防態勢の上に、避け難き重大なる危機を招来する原因をなすものであると思うのであります。  斯くの如く、以上の三つの中、どれ一つを以てしても日本の国防態勢に重大なる危険を予想せられるのであります。  而も此の三つは、同時に日本に覆い被さって来る現実の問題であって

        • 中島知久平の「必勝戦策」。29ページまで

           個人的事情の余談から入りますが、打ち込み作業はそれほど苦ではないです。「銀翼のアルチザン」で引用再構築を何度もしたので、今更ながら「引用打ち込みは得意作業になっているなー」と独り言ち。  とはいえ、読めない旧仮名遣いや、何度もググらないと出てこない旧仮名に出くわすたびに、気分が折れます(意味を知ると「こんな日本語があるのか」とテンションが上りますが)。  そして何度も読み返して区切りの良い箇所を探していますが、難しい。 「必勝戦策は98ページあるから、毎日1ページ更新

        中島知久平の必勝戦策。 二、 日、獨、米、英、四國提携策 

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        • 中島知久平の「必勝戦策」
          18本
        • 群馬各地を回って気づいたこと
          4本

        記事

          中島知久平の「必勝戦策」。28ページまで

          ページを上げて打ち込みまーす。  そこで、独ソ戦の将来は、果してどうなるかと云う問題になるのでありますが、率直に申し上げて独逸の将来は決して楽観は許されないと思います。  独逸は既にに動員の能力は絶頂に達し、又、軍需生産能力も絶頂を突いて居る、然るに近来、大規模の連続爆撃により、重要生産機関を次々と爆破せられ、生産力は漸次下り坂となりつつある、殊に、昭和20年、米国の六発爆撃機の活躍する至れば、急激に生産力を喪失するに至れる恐れがあるのであります。  然るに一方、米国に

          中島知久平の「必勝戦策」。28ページまで

          中島知久平の「必勝戦策」。三、歐州戦局ヨリ波及スル國防の危機

           続いて、知久平さんが説明する「三大敗戦要因(※私の造語です)」の3つ目である、「歐州戦局ヨリ波及スル國防の危機」を打ち込みます。 三、歐州戦局ヨリ波及スル國防の危機  日本の戦争は大東亜戦争である、大東亜戦争こそ勝ち抜かなければならないと、皆張り切って居りますが、欧州戦局に対しては多少他處事の様な感じを持っているものがないでもない様に思われるのであります。大観すれば、大東亜戦争と云うものが単独に存在すると云うことは有り得ない、要するに、大東亜戦争は世界戦争の一環に過ぎな

          中島知久平の「必勝戦策」。三、歐州戦局ヨリ波及スル國防の危機

          中島知久平の「必勝戦策」。二、の終りまで

           では続きをアップしまーす。  打ち込みまーす。 重大なる運命に逢着するのが憂が多分にあるのであります。  最近、ルーズベルト、は日本に対しては大型爆撃機を多数整備し、先づ日本の軍需生産機関を爆破し、日本の戦力を根底から掃滅して仕舞う、次に大陸及び占領地域から日本軍を追い払って仕舞う、それから日本本土を攻略して東京に於て米軍の行進を行い、日本を抹殺して、太平洋に於ける米国の脅威を永久に除去すると、豪語しているのであります。  是、一概に彼一流の人気取りのためにする駄法

          中島知久平の「必勝戦策」。二、の終りまで

          中島知久平の「必勝戦策」。第三圖 昭和二十年航空攻防戦状況 23ページまで

           それでは「第三圖」を頭に叩き込んで必勝戦策の続きを読んでみましょう。  次は昭和二十年でありますが、第三圖に示す如く此の年は實に容易ならざる年であります。  前述する通り、二十年の後半期には六発爆撃機が大規模にやって来ることは避けられません、此の爆撃機は、2000馬力乃至2500馬力六発、総馬力12000馬力乃至15000馬力、航続距離は15000キロメートル、速力は550キロメートル、爆弾積載量は距離によって異なりますが、6トン乃至20トンと云う偉大なる性能を有するも

          中島知久平の「必勝戦策」。第三圖 昭和二十年航空攻防戦状況 23ページまで

          中島知久平の「必勝戦策」。第二圖昭和十九年航空攻防戦状況

           前回、「第一圖」を出した時に、地図に「航空航防」と書かれていたので、「当時の航空用語や軍事用語だったのかな?」と思っていたら、どうやら「攻防」の誤字だった模様です。  はい。第二図は「航空攻防」と書かれています。知久平さんの焦りが窺い知れます。誤字脱字には修正の紙が貼ってありますので。  では上記の「第二図」を頭に叩き込んで本文を読んでみましょう。  次は昭和十九年の航空攻防情勢でありますが第二図に示す如くであります。  日本の防衛権及び敵の航空母艦機の攻撃圏は十八

          中島知久平の「必勝戦策」。第二圖昭和十九年航空攻防戦状況

          中島知久平の「必勝戦策」。第一圖 昭和十八年航空航防戦状況

           まずはページを上げまーす。  打ち込みまーす。  所で之等の飛行機に対し、如何に攻防戦を展開して来るかを図に表せば第一図、第二図の如くになります。  第一図は昭和18年、即ち本年に於ける航空攻防戦の情勢を表したものであります。日本の飛行機は現在双発爆撃機が最大でありまして、攻撃半径は一八〇〇キロメートルでありますから、各基地より防衛圏を畵けば赤線の如くなります。  アメリカの空の要塞は現有のものはボーイングB-17型が標準型でありまして、馬力は1200馬力4発、総馬

          中島知久平の「必勝戦策」。第一圖 昭和十八年航空航防戦状況

          中島知久平の「必勝戦策」。15ページまで

           前回、知久平さんがいう「空の要塞」はB-17型爆撃機のことです。  第二次世界大戦が始まる前に完成し、「空の要塞」として堂々とアメリカは公表していました。「軍事的威嚇」のシグナリングでしょう。ちなみに「B」は「Boeing」ではなく「Bomber」という意味です。P‐51の「P」は「Patrol」で「F-15」戦闘機の「F」は「Fighter」です。  会社の名前ではないんですよね。はい、また1つ勉強になりましたね。  では本文を打ち込みます。  所で、ボーイングB

          中島知久平の「必勝戦策」。15ページまで

          中島知久平の「必勝戦策」。二、大型飛行機に因る國防の危機

           はい。知久平さんが説明する「三つの敗因」の2つ目は、歴史や戦史に興味がない人でも「知ってます」と言えるぐらい、空襲の脅威の説明です。では打ち込みます。  古来戦策は兵器の進歩変遷に従って変革するものであることは、不変の鉄則であります、従って、兵器の進歩如何によっては、戦策は根本より変革を来たし、爲に現在絶対不敗の国防態勢と雖も根底から覆へり、危険の態勢となることがあります。  近時、飛行機の進歩の趨勢と、大馬力、大型機に向かって急速なる進展をなしつありますが、特に米国に

          中島知久平の「必勝戦策」。二、大型飛行機に因る國防の危機

          中島知久平の「必勝戦策」。第一、の、一まで

           ヘッダーの画像は中島飛行機の社章です。この社章は天皇陛下の行幸が決まり、社内公募で採用されました。中央が「中」で、それを囲むのは飛行機です。  と入力して気づいたら、低翼単葉機です。行幸が決まったころは戦闘機の主流が決まっていませんでした。時は流れ、WW2の戦闘機は低翼単葉が主流れになります。奇しくも中島飛行機は低翼単葉機をメインに生産していました。  ページを上げます。  斯くかる防衛態勢にあっては、假に日本が米国の十倍の軍需生産があったとしても、数理上国防の完璧を

          中島知久平の「必勝戦策」。第一、の、一まで

          中島知久平の「必勝戦策」。9ページまで

          「必勝戦策」の下部を書影に上げました。シミらしきものがありますね。「必勝戦策」以外にも、当時の紙資料が保管されている場所をいくつか知っています。  私はその手の資料に遭遇するたびに「市の文化財課に保存してみてはどうでしょうか」と提案しているのですが、「倉庫に眠るよりも、あなたのような変わり者のために保管しているんです」みたいな返答をよくもらいます。  市町村の「文化財課」は人の移動と物の移動が起きる時に、その時に失ってしまうの事がチラホラあるそうです。それが巡り巡って私の

          中島知久平の「必勝戦策」。9ページまで

          中島知久平の「必勝戦策」。7ページまで。謎の空白

           はい。まずは画像を上げます。ページの真ん中部分は見づらいですね。強引に折り目をつけるのは流石に……。  では、太字で本文を打ち込みます。  如何に生産増強に敢闘しても四圍の客観的情勢に帰納し、玆、一、ニ年の間に於いて、日本の生産力が米国に    し得るに至ることは思いもよらざる所である、輸送力其の他の関係より、生産絶対数量の差は、寧ろ更に擴大するの憂さへあるのであります。  故に、他に劃期的対策を講ぜず、只軍に生産増強のみに依って勝敗を決せんとするならば、勝敗を帰結は

          中島知久平の「必勝戦策」。7ページまで。謎の空白

          中島知久平の「必勝戦策」。一、生産戰ニ因ル國防ノ危機。 5ページまで

           ヘッダーの画像は、つい先日、ラジコン飛行機模型の大会、というか集まりに出場した富嶽です。 「こんなに大きな模型飛行機が飛ぶのか」  と思うぐらい、写真では伝わらない大きさです。中島飛行機があった頃では、1/1サイズの隼の実機が飛んでいたわけなので、 「現代の技術なら趣味でも飛ばせる」  であり、技術の発展を考えれば当たり前っちゃー当たり前なんですが、門外漢な私からすれば、何回飛んでいる姿を見ても驚くばかりです。 「必勝戦策」の要であるZ飛行機はまだまだ後の方です。

          中島知久平の「必勝戦策」。一、生産戰ニ因ル國防ノ危機。 5ページまで