【バルセロナ】3度好きになったら本物だ。迷宮のスペインへ日帰り旅行する、"夢の"ロンドン暮らしの日常。
3度好きになったら本物だ。異国の地を訪れて「街を好きになる」ときに起こる感情を、こう名付けることにした。
1度目は何もかも新鮮で楽しい、2度目は現実的な部分が見えてくる。
3度目に訪れる気持ちになれた場所こそ、”好き”なんじゃないか?
私は今日も音楽をするために街に出るーー。
さまざまな国で演奏するのは、ずっと小さい頃から決めていた夢でした。
出足は遅くなちゃったけれど、本当に本当に小さな一歩。
その事を思うとき、きっとロンドンの色や、ここの人達のくれた寛大なあったかさを原点に思い出すんだと思う。そうでありたい。
はいっ、前回までの記事。(※完全な私散文なので、情報とか求めてる方はご留意ください。)
飛び入り演奏をしながら生きるなんて体験をしてしまったものだから、しばらくの間、「ロンドンが好き」という熱に侵されていた。
行きたい暮らしたい演奏したいが、毎日頭の中から離れない。
帰国後は日本で小さな幸せを求める一方で、
自分の身を滅ぼすほど胸を弾ませてしまう。共依存の恋の病かよ。
当時の恋人と喧嘩した時、「じゃあこれを機にロンドンに暮らすねー!」と張り切っているわたしを見て、彼は何を思ったのだろう。
4つの国のたいへんな魅力
旅行の安全は「お金で買える」部分が少なくない。
一方で留学や仕事で海外に住むことになった場合、ビザの取得や銀行口座の開設、日本で現在暮らす地域の社会保険や年金、住民票の手続き…あれこれが必要。しかも「会社員」以外の立場があまり考慮されていない。
じゃあ中間を取って「暮らすように旅をする」って、どのような感じなんだろうか?
ふんわりとした期待でイギリスの滞在情報を調べてみると、観光目的の旅であれば、通常は6ヵ月以内の滞在についてビザは不要と書いてある。
妹分をそそのかす。
わたしとロンドン行かない?できれば数ヶ月。←なんでだよ。
エッジーな土地よりは静かな場所で、できれば大家さんは日本人で。
トイレ、バス、キッチンは共同で構わないし、リビングルームのシェアも構わない。
希望する条件で、ゾーン3のフラットシェア物件を3ヶ月借りた。
だいたい4〜5人ぐらいで一つの家を借りていて、1人£400(約6万円)~£500(約7万5千円)が平均的な値段。
食事は妹分が担当することに決まった。
トランクに米とデッカいペットボトルを入れて日本を出発した妹分は、おばあちゃんみたいな折り紙の皿を作ってお菓子をザラザラと入れた。出来る子だね!
移動はわたしが調べて手配する。
図書館はあの道を右手だね。地下鉄の券売機はこう。口座から出金するにはこのボタン。
私たちはロンドンを拠点に、4つの国を移動した。
① デンマーク
② スウェーデン
③ スコットランド
④ スペイン
閉所恐怖症なので、エアバスでの移動に最初は怯んで妹分にしがみついたが、回数を重ねてくるともうなんでもない。
絵葉書のような景色のニューハウン(デンマーク)
春の終わりの危うい夢
ーー食事がスコーンだけでも、無料の美術館を中心に観て回っても、とにかく幸せだった。
それは旅行までの場合。
郊外で過ごす日常は何も起こらない。
食料を調達して、洗濯する。
世界のどこかに場所を移しても、やることって変わらない。
ずっと恋焦がれてたはずなのに。日々の生活はループ。
家賃を払うために節約をしなければ。
なんだか暗い影を落としていく。
サンドイッチを作って、パークで食べる(イギリス)
ブライトンの海岸の石がエリンギみたいで遊ぶ(イギリス)
地上を走る地下鉄の中も面白い(イギリス)
妹分は行く先々で、ずっと日本での仕事の話しをしている。
あらためて感心しながらも、それは少しだけ私の心に苛立ちの波風を立てた。
春の終わりに差し掛かる季節に、スーパーマーケットに向かう私の心は晴れない。
ただ郊外での暮らしを慣らしているだけ。
演奏活動には思うように参加できていない。
友人の野外演奏を横目に…(イギリス)
焦りは、ブラックホールのように膨張していく。
ねぇねぇ、もう置いてくよ?
気持ちが塞ぎ込んでいった頃(イギリス)
エルプラット 空港泊作戦
二度目のスペイン旅行に突入した。
バルセロナほど、迷路みたいに感じる都市もなかなかない。
しかも今回は日帰りだ。
スリ被害にでも遭ったら当日中にはロンドンに戻れないな、と緊張した。
ま、とにかく足の向くまま巡ってみよう。
バルセロナ(スペイン)
アートで迷路のような街並み。世界中の人々から絶大な支持を集めるのもうなずける。
去ってしまうのが惜しい気がした。。
サグラダファミリアの天井すげえ(スペイン)
地下鉄。電車に揺られて寝ついてしまうところが日本人の平和さだと実感(スペイン)
留学でも仕事でもない私たちは、根本的に語学ができないので、小さなことすら躓く。
日々の生活感の中にむなしく渦巻く「何もない無力感」は、旅行中でも苛立ちを忘れさせてはくれない。
こういう場合は、大抵凡ミスが起こる。
中心部からエルプラット空港までの地下鉄を乗り間違えた。方向が分からなくなったのだ。
飛行機に間に合わない。
バルセロナ・エルプラット国際空港は広い。
妹分のほうが足が速い。
くっ、、体力が無い。先に、、、行って!!
搭乗口までの道のりは、
観測不能。
詰んだ。
飛行機に置いて行かれた。
妹分「節約したいから、ここに泊まれないかな?」
私「・・・バルセロナの空港のベンチでってことだよね。」
心の中がつぶれたり縮んだりして渦巻く。
違う土地でも生活のためのルーティンは同じで、
夢の海外で自分は演奏活動ができずダサくて、置いてあるピアノは全然真新しくないYAMAHAで、
妹分は地元の仕事の現実話ばっかりしていて、、、
何もできなくて苛立ってるのは、
自分自身になのに。
私「今回は、命!お金で買って!!」
声を荒げてしまった。
これまでのひとり旅で空港泊ぐらい厭わなかったのに・・・。
大切な存在があるだけで、こんなにも弱くなってしまうのだろうか。
なんでアナタはアナタの事を大事にしないの!?
その時、思った。「暮らすように旅をする」ことは、
ただの 旅行 だったのだと。
—
ねえ見て。大きなネギ。
なんの野菜か分からないね!
ロンドンのアパートメントのキッチンで、妹分が肉じゃがをこしらえてくれている。
結局 バルセロナで飛行機に乗り遅れた私たちは、
サンツ駅のホテルで日本語の使えるスタッフを捕まえて、しっかり次の日の航空券を買い直した。
ヨーロッパ内の移動はバスのような価格で二千円、フライトは2時間半。
安全はお札2枚でお釣りがきた。
予定通り妹分のほうが先に日本に帰国。
その後わたしは、精神を患ったガタイのいい男に、部屋のドアを毎日のように叩かれて言い合いになり、
ロクでもねえなと思った。
逃げ回っているうちにパリでの演奏予定もフイにする。
観光ではない日常を営む(イギリス)
あは。
1人じゃ こわくて 寂しくて、なんも出来なかった。
前回の冒険は、現地の知り合いがいたから入り込めたのだ。
スーパーマーケットに行って、洗濯をして、眠る場所を探す。
日々の生活を作らなくては成り立たない。
愚かな私は知ったのだ。
痛い経験だったけれど、痛々しい経験にはならなかったから、まあいいか。
サンツ駅(スペイン)
□ ライター 前田 紗希
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