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結局のところ自分には

週末はSNSデトックスでもしないとやってられない。

オンライン上のコミュニケーションがますます活発になっている反面、ディストラクションも多い。暗いニュース、人々の様々な意見に振り回されるより、今は自分の世界にとことん篭る。

先日からようやく夜型の負のループから抜け出した私は、早起きをして洗濯機を回して朝食を作りコーヒーを淹れる。

最近ハンドメイド雑貨を作り始めた。
永遠にPCを目の前にする生活に疲れてしまって、他に没頭できることを探していた。
キーボード以外の手触り。これが結構最高だ。
慣れてくると、手元さえ動かしていれば「ながら〇〇」も容易にできるので、観れずに溜まっていた映画やドラマ、昼下がりに合うプレイリストを流しながら黙々と作業をする。

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創作意欲を掻き立てたのは、Netflixで配信中の『She's Gotta Have It』。
主人公の生き方に共感するもしないも、その生々しい描写は、表現者やマイノリティとして生きている人にとっては感じるものが大きいだろう。
また、ソウル・R&B好きにはたまらない。

1986年の同タイトルの映画に基づいて現代版リメイクされているのだが、当時と変わらない人間の性、有色人種そして女性として生きること、政治、貧富の格差などのテーマが浮き彫りになり、まるでドキュメンタリーのような作品だ。

主人公はNY・ブルックリンに住む、常にお金に余裕のない芸術家で、毎月のように家賃を滞納させてしまう。
油絵の技術は素晴らしいが、いまいち込められたメッセージが伝わってこない。ある日、心に深く傷が残る経験をした彼女は、その怒りをアートにぶつける。そこから芸術家としての花が開いていくのだが、そんな彼女を取り巻く人々や環境を多角的に見ることができる。

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主人公であるNola Darlingが描くアートの裏には、実際のアーティストがいる。

Tatyana Fazlalizadeh は、Nola Darlingが描くポートレイト絵画の実際の作者であるだけでなく、ドラマ中の『#My Name Isn't』キャンペーンさながらに、『Stop Telling Women to Smile』というプロジェクトを2012年より開始している。

人種差別、女性蔑視、黒人女性蔑視、同性愛嫌悪、トランスジェンダー嫌悪などに対しアートをもって声を上げる、リアル版Nola Darlingだ。

私たちは生きていると様々なバックグラウンドを持つ人と出会う。皆それぞれ、生きてきた人生や生まれた環境によって、大切に思うことや好きだと思う対象は全く違う。

最近思うのは、人のことより自分のことに集中した方がいいということだ。
誰かのことを嫌いであることの前に、まず自分自身を愛することから始めた方が良い。
大抵、自分を他人と比べたり、妬んだり嫌ったり、他人の言動や行動が気になるときは、自分がうまくいっていなかったり目標を見失っていたりするときだ。

やるべきことがわかっていて、好きなことがわかっている人は、それに自身を没入させているので、良い意味で周りのことが目に入ってこない。それ以外は雑音にしか聞こえないだろう。

これが究極的に理想であると私自身は思う。
もちろん、誰しも一人では生きていけないが、自分を好きでいてくれる人だけを周りに置いて大切にし、あとは自分自身と闘い、生きたい人生を極めていくのが、ベストな生き方なのではないか。

今、世界には孤独な人がたくさんいると思う。
私自身も、一人暮らしで家族にも会えず、孤独感に苛まれる時もある。仕事やお金のことだって、どうなるかなんて本当にわからない。
でも、これは自分だけを見つめることができる、またとない機会なのだ。

何が好き?
何をしている時が一番幸せ?
どうやって生きていきたい?
誰に会いたい?
何でも叶えられるとしたら、何がしたい?

今からでも答えを見いだせる問いだ。

誰も、これから先のことを決めてくれる人はいない。
結局のところ自分には、自分自身しかいない。自分に忠実でいられるのは、自分しかいない。

そう言い聞かせながら物思いに耽り、NYブルックリンの昼下がりの、日陰に吹く涼しい風を感じながら、今日も創る。



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