映画レビュー:23年4月の5本
・エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス
(2022年/アメリカ/ダン・クワン&ダニエル・シャイナート監督)
貸切だった!!(驚)ので、立ったり座ったり、声あげながら観た。「退屈すぎて全てベーグルに乗せてみた」という劇中のセリフが示すように、全てベーグルにテンコ盛りしたようなメガ盛りムービー。中盤の静寂シーンも「静寂」というコンテンツとして処理されていて、トータル、ずっとガチャガチャしてる。その中で「ほんの小さな決断で人生は大きく分岐する」とか「突飛な行動がジャンプ台になる」とかメチャ自己啓発してくる。ここまで too mach でオスカー獲るのかぁ、大量消費大量廃棄の成れの果てって感じでツライ。日本劇場公開を心待ちにしていた1人だけれど、むーん日本で流行らなさそうだな。。
・ビリー・ホリデイ物語
(2016年/アメリカ/ロニー・プライス監督)
銀座の松竹お抱えの東劇で鑑賞。435席の上質設計の空間に観客ポツンとたったの4名という、完全に採算取れなそうな上映。収益は他で上げてるから、単体では赤字でもちゃんとかけるべき作品はかける、というその姿勢、有難いよー。でも当日鑑賞料金3,000円均一はちょっと躊躇したよー。とはいえ先日4月14日(金)にオープンした坂本龍一さん音響監修の「109シネマズプレミアム新宿」の価格設定が4500円と6500円なワケだから、劇場料金考えさせられちゃう。
映画の内容はまぁ、ビリー・ホリデイを見てるんだかオードラ・マクドナルドさんを見てるんだか、なんかもう境界なく、ショー1本に滲み出るその人物の悲哀みたいなものが終始濃厚で、あてられすぎて途中寝オチしました。
・ツィゴイネルワイゼン
(1980年/日本/鈴木清順監督)
怪談。
・ガタカ
(1997年/アメリカ/アンドリュー・ニコル監督)
目黒シネマ満席御礼で補助席で鑑賞。初見のつもりが、冒頭で「アレッ?前観たことあるわ」と苦笑。遺伝子操作が当たり前になった近未来が舞台で「血に国籍はない」とか「今や差別は科学の領域だ」とか、あらためて観ても今っぽい問い直しが沢山。欠点探しばかりする同僚に「欠点を探すのに必死で気づかなかっただろう?可能なんだ。」と、「僕に何ができるか(データ見ただけで)決め付けるな!」とわき目も振らず邁進していく主人公。遠泳で勝負する際には「戻ることは考えず、全力で泳いだ」といって打ち勝っていく。いいねぇシビレル。恋が叶った初夜はスクリーンの上下が反転して夢心地・重力無視のフワフワ映像で、宇宙モノのSFだけに巧い描写。
・AIR/エア
(2023年/アメリカ/ベン・アフレック監督)
単純にメチャおもれーおかわりしたい。ビジネス成功モノで万人が知っている会社だからポップで完全に観やすい。ストリートとメジャーの塩梅もちょうど良い。小ネタやうんちくが随所に散りばめられているし、ちゃんと黒人差別問題も押さえてるし(黒人はジョギングしない。走っていたら警官に追われるからだ、というセリフとかとか)、こりゃあ広義のナイキのプロモーションビデオっす。こういう映画観ると、ホントに人の嗜好や傾向ってのはメディアに大きく扇動されているなぁと自覚的になるけれど、児童労働の問題等もあるけれど、やっぱりスニーカーはアディダスよりナイキが好き。
今月アメリカ映画ばっかりだったな。
<了>
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