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漫画「風流江戸雀」杉浦日向子 ★4

どこか懐かしい江戸庶民の情緒と人情を、「柳多留やなぎだる」などの古川柳を題材にして、現代の浮世絵師・杉浦日向子が愛情を込めて描く。

1991年 杉浦日向子

序文「日向子浮世絵」田辺聖子
Ⅰ 風流江戸雀 12話
Ⅱ 古川柳つま楊枝 10話
Ⅲ 古川柳つま楊枝 10話
Ⅳ 古川柳つま楊枝 11話
あとがき 杉浦日向子(1987年5月吉日)
さくいん (86句)
解説 玉村豊男

本の感想
構成は、1話各4ページで2句の古川柳に合わせた漫画となっている。江戸時代の庶民の生活が、端的にあらわされてるようで、短いながらも、味わい深い。「風流江戸雀」では、雪見や花見、行水や花火など風流なネタを、1年12話。「古川柳つま楊枝」では、夫婦喧嘩や恋模様、吉原にスネかじりにおちゃっぴい、などなど。31話、多様な庶民のドラマがある。微笑ましかったり、切なかったり、色っぽかったり。情緒溢れる江戸の世界が身近に感じられて、ほっこり。。。

Ⅰ 風流江戸雀 12話
正月 夫婦、二日の夜。初湯。
如月きさらぎ 雪見、雪の風流わび、炬燵に湯豆腐に酒。
弥生やよい 娘、縁談。
卯月うづき 花見、松、足、大根。
皐月さつき 口、質草、鰹。
水無月みなづき 雨宿り、寺の鐘。
文月ふみづき 一人屁、蚊帳。
葉月はづき 行水、雷の真似、子供に腹がけ。
長月ながつき 花火、恋、女。
神無月かんなづき 紅葉見、吉原。
霜月しもつき 炬燵、間違い、母の手。
師走しわす 寒い時の河豚。

用語
おちゃっぴい→おしゃべり、はねっかえり、ませてたりする女。
粋筋→粋な方面。花柳界。男女の情事。色恋沙汰。
好事魔こうじま多し→良いことはとかく邪魔が入りやすいということ。
御免勧化ごめんかんげ→幕府の許可を得て、僧侶などが寄付を募ること。

Ⅱ 古川柳つま楊枝 10話
1,夫遅く帰る、妻寝てる、猫。
2,若旦那のスネかじり、女中くどく。
3,吉原朝帰り、女郎、細見、嫉妬。
4,朝寝、息子、猫。
5,夜そば切り、雪、寒参り。
6,いい女、狸猫たぬねこ、煙管。
7,かかり人、花の留守、大の字。
8,夫遅く帰る、妻ヤキモチ、ホトトギス、初鳴き、テッペンカケタカー。
9,馬子唄、デート、隠れる。
10,おちゃっぴい、へそ、鏡見る。

用語
細見さいけん→遊女名鑑。
寒参り→寒詣,裸参りとも。信心・祈願のために寒の30日間、毎夜参拝。
かかり人→居候。
馬子唄まごうた→馬子が馬をいて歩き移動する時の唄の総称。

Ⅲ 古川柳つま楊枝 10話
1,相傘、デート、手を握る。土弓、麦湯。
2,夏、男女、いちゃつく、暑気見舞来る、逃げる。
3,水茶屋、男女、煙草の煙。輪。
4,酔って草中で寝る、朝帰り、女怒り涙ぐむ。
5,女、隠れて文を出す、男来ず、枕に八つ当たり。
6,幼馴染の娘、男の服直し、怒って投げ返す。
7,冬、無心下手の男。
8,あやうい恋、樽ひろい。
9,おしゃべり女客、帰らない。
10,夫婦、妻の隠した文、怒る夫、が母の文。

用語
土弓どきゅう→弓で射る遊戯。
麦湯→江戸前期から庶民の飲み物だったよう。
樽ひろい→酒屋が得意先の空き樽を集めて歩くこと。 また、その小僧。

Ⅳ 古川柳つま楊枝 11話
1,好きな娘と話したいが、子供が離れない。来りや
2,女房の留守、吉原、朝帰り。
3,すさをむしりながら実話。不心得。
4,夕涼み、周りからやかましく言われる年の娘。
5,珍しい男来る、一人で寝ると気をもませ。
6,息子、吉原帰り、親に叱られる。耳は馬、面は蛙。
7,炬燵から首が生え、女を口説く。
8,夜そば売り、一人ボロ家に盗人来る。
9,藪医者の頼もしさ、結句うどんで引っかぶり。
10,艶書、おれももらったと、自惚れ仕合。
11,風呂上りに死にたい、昔の女、女でなし。

用語
すさ→土壁の中の藁など。
不心得→心掛けがよくないこと。
猪牙ちょき→吉原通いの小舟。
艶書えんしょ→恋文。

メモ
誹風柳多留はいふうやなぎだるとは、江戸時代中期から幕末まで、ほぼ毎年刊行されていた川柳の句集。単に「柳多留」と呼ぶこともある。柳樽とも。明和2年から天保11年(1765–1840)にかけて167編が刊行された。(Wiki)

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