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蔑視と崇拝の呪縛…「魔女と聖女 ヨーロッパ中・近世の女たち」池上俊一 ★3,5

イヴとマリアの間を揺れる西洋中世の女性像イヴに始まる魔女の系譜。マリアに始まる聖女の系譜。女嫌いと女性礼讃の間で、女性たちはどう生きたか。魔女と聖女をモチ-フに、西洋中世の女性像に迫る。https://amzn.to/3ib5MgR

1992年 池上俊一

イヴ=魔女、マリア=聖女。
蔑視と崇拝の呪縛の中で女はどう生きたか。
「魔性」と「聖性」をキーワードに、中・近世を読み解く。                                  本書は、男の女に対する偏見の歴史であり、
その偏見に対して女がどう生き、振る舞ったのかの歴史である。

魔女と聖女、そして、その狭間の女性たち、その歴史や性質、文化などの具体的な事柄が語られる、ヨーロッパ中近世の女性史。

そもそも、キリスト教の影響が大きいのか。原罪の原因、イヴ。やはり昔は男中心社会であって、女はよくわからない存在で、恐怖感や嫌悪感があった。権力者は社会秩序を守るため、秩序を脅かす不穏分子として、何の罪もない女性が、魔女に仕立て上げられ、残酷な取り調べや拷問をされ、殺されていった。魔女にされた多くは、社会的弱者の女性たちだったらしい。ペストなどによって社会不安が高まった時は、民衆を抑圧するために、裁判を利用し、もてる民衆ともたざる民衆を対立させたりしていた。16世紀以降、魔女狩りが大展開し、17世紀末になくなった。ヨーロッパ随一の魔女狩りの国ドイツでは、1500~1749年に三万人以上が犠牲なったらしい。欧州全土ではどれくらいになるのか。中には、1~2割、魔男もいたと。魔男も気になるな。

聖女と魔女は裏返しの関係で、魔女が増えると聖女も増える。当然、見分けがつかないことも。確固とした判断基準があったにしても、紙一重だな。例えばジャンヌ・ダルクとか。聖女から魔女へ? 権力者や、その時の社会状況しだいか。聖女は時代によって様々なタイプがあったようだが、基本、世俗を離れ、神に一生を捧げ、奇跡を起こし、人を救う。先と同様、17世紀末ごろには、聖女もなりをひそめる。「女性は人間ではない、天使か悪魔のどちらか」すごい言葉だ笑 それ故に、男たちはビビる。今ではありえないほどの女性恐怖・嫌悪があったんだな。(まあ今でも恐ろしいし不可解笑?)男と女は分かり合えないか? 「神は男と女を、異なった職務で神に仕えるように命じ、また互いを助けるようにと命じた。両性には、それぞれ適当な固有の本性と傾向がある」そうだね。

ちなみに、プロローグにあった「魔女の槌」ていう本気になる。今でも手に入るのかな。当時大ベストセラーになって、17世紀にいたるまで魔女狩りの基本的なマニュアルになったと。ヨーロッパで、魔女狩りを正当化し、以降の大々的な魔女狩りをもたらした記念碑的書物らしい。でも今呼んでもあれかな。いまいちかな。

本書の中にいろいろと気になる女性が出てきたから、この人たちをもっと調べたいな。

クリスチーヌ・ド・ピザン(15世紀、詩人)
ベアトリス(・デ・ポルトゥガル ?14世紀、王妃)
カトリーヌ・ド・メディシス(仏、16世紀、王妃)
ルクレツィア・ボルジア(教皇の娘?伊、16世紀)
マティルデ・ディ・カノッサ(伊、12世紀、女伯)
エレアノール・ダキテーヌ(仏、12世紀、王妃)
ヒルデガルト・フォン・ビンゲン(独、12世紀、預言者)
ジャンヌ・ダルク(仏、15世紀)
伝説的な女教皇ジャンヌ(ヨハンナ?9世紀)
などなど。

本書では、挿絵、関連のある絵などの資料がけっこう豊富で、なんか嬉しい。満足。欲を言えば、年表なんかあると、より理解できたかも。でも思った以上に勉強になりました。

関係ないけど、今デジャヴュ感じた。気のせいか。。。


(^^)/


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