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記事一覧

書評 - ニュータイプの時代

書評 - ニュータイプの時代

山口周氏の著作が面白いというのを聞きかじったので本屋で見つけたこれを買ってみた。

パーパス経営だとか、ビジョンが大事だとかそういう「最近っぽい」ビジネス系の話題が、論理と過去の研究に基づいて解説されているという印象だった。

新しい考え方を「ニュータイプ」、古い考え方を「オールドタイプ」と名付けて、それぞれ対比する形で解説している。
たとえば、
オールドタイプは「正解を見つける力」がとても大事だ

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書評 - 中小企業の管理会計活用術

書評 - 中小企業の管理会計活用術

管理会計をもうちょっとすぐにご利益が得られる形で学んでみたいと思って、この書籍を買ってみたところ当たりだった。

基本的には、「細かいところは人数も少ないんだから、最小の手間で最大の効果があるところをやろうぜ」という思想で、実践的でよい。

ところで管理会計とは?

管理会計とは事業をすすめるための会計のこと。税務申告のための決算書をつくる財務会計と違って、法的なルールが無く、事業の状況が把握でき

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書評 - ウクライナ戦争

書評 - ウクライナ戦争

2022年9月時点までのウクライナ戦争(書籍内の表現では第二次ロシア・ウクライナ戦争)に関する内容について、その歴史から戦況の変遷までを解説した書籍。

基本的には著者の小泉氏が前から言っている「これは新しい技術が使われている戦争だが、戦争自体は古い戦争である」という論旨のままではある。

第二次ミンスク合意や (p45)、プーチン論文 (p66) 、この戦争の最初のロシア側の作戦であった「斬首作

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書評-陰謀論

書評-陰謀論

本屋で見つけた陰謀論に関する社会調査を行った本。

陰謀論を過去の研究などを踏まえながら「重要な出来事の裏では、一般人には見えない力がうごめいている」 (p6) と明確に定義しているあたりから始まるのが、ちゃんとした学術書だなという印象を与えている。

特に、アンケートとその統計的な調査を比較的厳密に書いているので、実際に使っているサンプルという意味で統計調査の勉強にもなった。統計分析とか因子分析

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書評 - 夜間飛行

書評 - 夜間飛行

アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ, 『夜間飛行』, 1931
今回読んだのは、光文社の古典新訳シリーズ

郵便機という、郵便物を飛行機で運搬する事業が始まった黎明期の話。当時は鉄道や船と速度を競っていたので、たとえ飛行機が早くても夜に止まっていると追いつかれてしまう。したがって、郵便機というのは死と隣り合わせの危険な仕事であった。サン・テグジュペリ自身も郵便機パイロットだったからか描写が緻密で

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書評 - THINK EDIT

書評 - THINK EDIT

野口 孝仁, "THINK EDIT", 日経BP, 2019

編集思考とは:雑誌編集の方法で新しい事業やブランドを編みだす方法。

編集思考のプロセス
編集思考の具体的な方法が考え方が説明されている。ここにまとめるのは雑誌の場合で、本書の中には、具体的な事業やブランドを考える例も示されているのでイメージしやすい。
[1] 大まかなテーマを設定
 --> ターゲットのセグメントをする。
[2]

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偉大な組織の最小抵抗経路

ロバート・フリッツ, "偉大な組織の最小抵抗経路", Evolving, 2019

目次の感じから、The Path of Least Resistance for Managers (2011) https://amzn.to/343O06y の翻訳だと思う。

これは OKR の別の言い方みたいな書籍であると思った。読みながら「これはOKRの元ネタやな」と思っていたが、Wikipeida

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[ネタバレ] ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン

最終巻自体は買っていたが、やっと読み終わった。2012年から始まったということなので、もう7年ごしか。主人公たちが活躍する戦記物かと思ったら全然そうでもなくて、かなり重厚だった。

物語も壮大だし、どんな人にもストーリーがあることを描いていた。
ヤトリが死ぬのはほんとうに「マジでそうするのか」と思って結構沈んだ。長い間イチオシで、出るたびにすぐ買っていたが、ここしばらく読めていなかった。明らかにジ

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時間は存在しない

カルロ・ロヴェッリ, "時間は存在しない", NHK出版, 2019.

物理と物語が織り交ぜられた、理論物理学者の書いた時間に関するエッセイ。量子力学の理論的な解説と、過去の物理学者や哲学者の物語が細かく重ねられながら、時間にまつわる解説が続く。そんなにやさしい話ではない。

この本は第3部から構成されていて、第1部では"直感的な"時間の特徴
1. 時間の流れは変化しないこと
2. 時間は過去か

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生き物の死にざま

稲垣栄洋『生き物の死にざま』草思社 2019

仕事ででかけた先でちょっと時間があったので、軽い読み物として買ってみた。

いろいろな生き物が死ぬ場面に着目して書かれたショートショートのようなエッセイのような短編がたくさん集められている。一つずつの物語はとても短いのですぐ読める。

単純に死ぬ場面を描いているのかと思ったら、主人公の生き物を擬人化して感情移入させるような描き方がされていて読んでいて

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はじめてのリーダーのための 実践! フィードバック 耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す「全技術」

中原 淳, "はじめてのリーダーのための 実践! フィードバック 耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す「全技術」", PHP研究所, 2017.

部下やチームメンバーに、どうやって「耳の痛い話」をして改善してもらうかということを、理屈から実際の Dos and Don'ts をあわせて説明した本。非常に具体的で、フィードバックするためにはどういう情報収集を日々しないと行けないかということが

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「こころ」はいかにして生まれるのか

櫻井 武 "「こころ」はいかにして生まれるのか", ブルーバックス, 2018

脳科学の知見を元に「こころ」に関係する脳の要素を解説した本。大脳辺縁系が主役となる情動や、報酬系が主役となる行動の選択や志向を、脳科学の用語を多用しながら解説している。

脳や臓器からでる物質が人の感情に影響を強く与えている(支配している?)という話で、通読しただけだが、ちゃんとまとめながら読むと脳科学の本を読む入門

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Political Science

A. C. Danker, "Political Science", Research and Education Association, 1998.

アメリカに行った時に本屋で安く売っていたのでちょっと買ってみた。本の80ページぐらいだが、アメリカの政治の歴史や仕組みがだいぶコンパクトにまとまっていて、とてもおもしろかった。

第1章 政治学の基礎
第2章 政治理論
第3章 アメリカの政府

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禅マインド ビギナーズ・マインド

鈴木俊隆『禅マインド ビギナーズ・マインド』サンガ新書, 2012

瞑想の入門書。日本人が書いた洋書の日本語訳。極めて完結に解説が書かれているので、基本的には読んでその通りやると瞑想がはじめられる。瞑想の本は抽象的な表現が結構多いが、この本は翻訳調で率直に書かれているため、むしろ読みやすかった。

坐禅中の姿勢や、その時に起こる考えをどう捉えるか、なぜ続けるとよいのか、といった How To か

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