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水辺の山羊と少女/遠い日の風景

 「僕の昭和スケッチ」86枚目

85村にはヤギが

<「黒野村の思い出」 画/もりおゆう© 水彩/ガッシュ サイズF5>

黒野村にミミズ川という綺麗な川があり、河辺には水車小屋がありました。
ミミズ川は、正しくは三水川と言うのですが、僕はミミズ川と思い込んでいて、「何て変わった名前の川だろう」と当時は思っていたものです。

その水車小屋の所に行くと、山羊とその山羊の世話をしている女の子がいました。

彼女は、僕より二つ三つ年上の無愛想な子で、僕の目にはいつも何か怒っているようさへに見えました。

けれど、今思うにきっとただ無口で人見知りな田舎の少女だったのです。

「山羊は紙なんか食わへんよ」

或る日、彼女が山羊を撫でながらいきなり誰にとも無くポツリと言ったその一言を何故か今でも覚えています。

遠い遠い昔の事です。


*調べた所、紙には繊維質が入っているために山羊が勘違いして食べる事もあるのですが、草や葉を充分に食べている山羊は好んで紙等食べないということです。おまけに現代の紙は、山羊の体にとって良くない様々な物質が含まれている事からあげない方が良いと言われています。

<この絵と文は著作権によって守られています>
(This picture and text are protected by copyright.)


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