元書店員・はまさきのミステリー通信

書店員歴42年。定年退職を機に記事投稿を開始。ミステリー小説が大好きで、読後は必ず誰か…

元書店員・はまさきのミステリー通信

書店員歴42年。定年退職を機に記事投稿を開始。ミステリー小説が大好きで、読後は必ず誰かに話したくなるので、 面白いミステリー小説を紹介していきたいと思います。

最近の記事

異色の刑事小説!シリーズ第4作「愚者の決断 浜中刑事の杞憂」

大好きな警察小説「浜中刑事」シリーズ 第4作「愚者の決断 浜中刑事の杞憂」を 読んだ。 鄙びた田舎の駐在所でお巡りさん人生を 夢見る、浜中康平。 それなのにある日からとんでもない 「強運」に恵まれ、巡査でありながら 次々と手柄をあげ、とうとう捜査一課に 呼ばれてしまった。 あまりにも田舎のお巡りさんを夢見て 仕事中に妄想に浸ってしまい、相棒の夏木刑事に 「おい、また妄想か」と突っ込まれる日々だ。 事件が起きると班長の美田園は、浜中の「強運」 という武器を最大限に活かす

    • 笑いが止まらない笑劇展開!「お梅は呪いたい」

      藤崎翔さんは元お笑い芸人、「神様の裏の顔」 (角川文庫)で第34回横溝正史ミステリ大賞を受賞。 このデビュー作が面白過ぎて、以降藤崎さんの 作品はほぼ読んでいる。 最近の話題作は「逆転美人」(双葉文庫) 藤崎さんの作品は、元お笑い芸人ということもあり、 ユーモアと謎解きの絶妙なバランスはお見事! 「お梅は呪いたい」は、500年の眠りから覚めた 呪いの人形・お梅の物語。 古民家の解体中に発見されたのは、不気味な日本人形だった。 自称ユーチューバーを名乗る男性に興味本位で引

      • 異色の刑事小説!シリーズ第2作「浜中刑事の迷走と幸運」

        小島正樹さんの人気警察小説 「浜中刑事」シリーズ第2作 「浜中刑事の迷走と幸運」を読んだ。 大好きなシリーズだ。 浜中刑事は捜査一課に呼ばれたことを とても残念に思っている。 浜中刑事の夢は、田舎の派出署の お巡りさんになって、田舎で 起きる何気ない小さな事件や、住民の 困りごとを解決して、あわよくば 地元の可愛い女の子と結婚して平凡な お巡りさん人生を貫くことだ。 それなのにある日からとんでもない 「強運」に恵まれ、巡査でありながら 次々と手柄をあげ、とうとう捜査一課

        • 戦慄の展開!「最恐の幽霊屋敷」

          最近、大島清昭さんのホラー小説にはまっている。 きっかけは、タイトルにひかれて手に取った 「地羊鬼の孤独」(光文社)を読んでからだ。 市内で全裸遺体の入った棺が次々と発見された。 その遺体は内臓が模型に変えられるという 無惨なものだった・・・。 本格的警察小説にホラー・ミステリーをミックス。 そしてロジックを駆使した推理とどんでん返し、 二重三重の謎解き!ホラーミステリーの恐ろしさ・面白さを 全て詰め込み、まさかのラストに「ありえない!」と 思わず叫んでしまう!鳥肌物の凄い作

        異色の刑事小説!シリーズ第4作「愚者の決断 浜中刑事の杞憂」

          苦悩する子供たちの心を救う仲田刑事を描く連作集『少女が最後に見た蛍』

          犯罪に巻き込まれ、心に傷を持った子供たちの 心に寄り添う仲田蛍刑事。 仲田蛍刑事が登場する警察小説シリーズは 現代日本社会の歪みを浮き彫りにし、 心に強く残る。 同級生の女子を殺害した容疑で逮捕された 少女に向き合う物語「希望が死んだ夜に」 児童虐待の少女を救う「あの子の殺人計画」 友人をかばう少女に寄り添う「陽だまりに至る病」 いずれの作品も現代の格差社会の犠牲者・ 子どもたちが事件の当事者になったり、 事件に巻き込まれたりするミステリー小説。 どの作品でも仲田刑事は

          苦悩する子供たちの心を救う仲田刑事を描く連作集『少女が最後に見た蛍』

          アイスランドの本格的な警察小説「湿地」

          英米ミステリー小説も面白いけれど、 今、北欧のミステリー小説の勢いがすさまじい。 デンマークのコペンハーゲンを舞台にした 「特捜部Q」シリーズや、スウェーデンが 舞台の大ヒット作「ミレニアム」などがその代表作だが、 アイスランドから凄い警察小説が登場した。 私が面白いと思った作品は、アイスランド の作家、アーナルデュル・インドリダソンが描く 「犯罪捜査官・エーレンデュル」シリーズだ。 「湿地」はこのシリーズ第1作目にあたる。 舞台は、アイスランドのレイキャビック。 物語は

          アイスランドの本格的な警察小説「湿地」

          警察ミステリーの一級品 最新作「一夜 隠蔽捜査10」

          今野敏先生の大人気のシリーズ「隠蔽捜査」の 長編第10作目を読んだ。 今回は作家の誘拐事件に、なんと民間人が 出張ってきた。 しかし、その民家人は竜崎にとって 事件解決には必須の人物だった! いったい誰・・・? 神奈川県警刑事部長となった竜崎伸也は、 小田原で誘拐事件が起こったとして、 呼び出された。 それより少し前に著名な作家・北上の 行方不明届が出されており、 北山のファンだと言う佐藤本部長から 特異行方不明者捜索として「特殊班」 を出動させるべきか内々で竜崎に相談

          警察ミステリーの一級品 最新作「一夜 隠蔽捜査10」

          異色の刑事小説!「浜中刑事の妄想と檄運」

          小島正樹さんの「浜中刑事~」はシリーズもので 「浜中刑事の妄想と檄運」の他に4作品出版されている。 私は小島正樹さんの作品の中でも、 この浜中刑事シリーズが大好きだ。 とにかく浜中刑事が面白い。 警察官になれば、誰だって本部の花形、 捜査一課の刑事に憧れ、何とか手柄を あげて上司の覚えめでたく、捜査一課に 推薦してもらおうと頑張る。 しかし、この浜中刑事の夢は、田舎の 派出署のお巡りさんになって、田舎で 起きる何気ない小さな事件や、住民の 困りごとを解決して、あわよく

          異色の刑事小説!「浜中刑事の妄想と檄運」

          平凡な日常が脅かされる!?「隣人を疑うなかれ」

          アパートに住んで結構な年月が経過した。 しかし、懇意になった人はいない。 すれ違って日常の挨拶を交わすだけ。 皆、そんなものではないだろうか? 隣人がどんな人なのか?ほとんど知らないと思う。 でも、もしマンションの住人が連続殺人犯だったら!? 小崎涼太は、事件ライターだ。 最近、小崎の住む周辺で若い女性が 殺されるという、連続殺人事件が起きていた。 ある日、小崎のアパートの隣人で、 漫画家のアシスタントをしている、 土屋という女性と懇意になった。 小崎が住むアパートの

          平凡な日常が脅かされる!?「隣人を疑うなかれ」

          衝撃度NO1のサスペンス!「火の粉」

          もし、隣に過去に因縁のある相手が引っ越して きたら、まず「なぜかな?」と思う。 偶然ではない、何か意図があって越してきたのでは 疑ってしまうだろう。 それは、「ちょっと嫌だな」と思うのか? それとも「ちょっと怖い」と思って警戒するのか? ざわざわとした不安感が募ってゆくだろう。 しかし、案に相違してその相手がとても 良い人だったら・・・? その不安感は払拭されるだろうか? 雫井脩介さんの「火の粉」(幻冬舎文庫)は、 そんな不安を持ちながらも、のっぴきならない 状況に巻き込

          衝撃度NO1のサスペンス!「火の粉」

          ミステリーの最高傑作!『火車』

          宮部みゆきさんの『火車』は、私が日本の ミステリー小説にはまるきっかけとなった作品。 1992年7月刊行(双葉社)、1998年1月新潮社で文庫化。 第108回直木賞候補、第6回山本周五郎賞を受賞。 「このミステリーがすごい!ベストオブベスト」第1位に 輝く。(賞創設から過去20年間で) 令和になった今でもこの作品の驚異的な面白さは変わらない・・・。 事故で休職中の本間刑事は、銀行に勤める遠縁の男性から 懇願され失踪した男性の婚約者・彰子を探すことになった。 本間は男性

          ミステリーの最高傑作!『火車』

          懐かしい記憶が甦る、夜のピクニック 

          「夜のピクニック」とは、「歩行祭」という 80㎞の道のりを2日間かけて歩きとおす学校の行事を いかに楽しんで歩き続けるか? それは、苦行としか言いようがないのに、「ピクニック」と 表現したところがとても素敵だなと感じた。 そのピクニックの中で次々とドラマが展開される。 クラスメート二人の謎めいた関係は、物語が終わるまでの根幹であり、 その謎に友人たちの恋の話や、噂話が交差する。 たわいもない高校生たちの会話の中にキラキラと宝石のように 輝く言葉が詰まっている

          懐かしい記憶が甦る、夜のピクニック 

          ミステリー小説の感想を書いてゆくこと

          定年退職するまでず~っと書店で仕事をしてきた。 店頭での接客、ジャンル担当、仕入れ、店頭での仕掛け販売と 本好きの私にとっては、とてもとても楽しい職場だった。 その間に私はミステリー小説をたくさん読むようになった。 2012年から2024年まで仕事として、会社のWEBサイトで ミステリー小説の感想をブログに綴ってきた。 そして、いつの間にか自分の読んだミステリー小説の 感想をブログに綴ることがとても楽しくなっていた。 だから、退職を機にまた好きなミステリー小説

          ミステリー小説の感想を書いてゆくこと