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異色の刑事小説!シリーズ第4作「愚者の決断 浜中刑事の杞憂」

大好きな警察小説「浜中刑事」シリーズ
第4作「愚者の決断 浜中刑事の杞憂」を
読んだ。

鄙びた田舎の駐在所でお巡りさん人生を
夢見る、浜中康平。

それなのにある日からとんでもない
「強運」に恵まれ、巡査でありながら
次々と手柄をあげ、とうとう捜査一課に
呼ばれてしまった。

あまりにも田舎のお巡りさんを夢見て
仕事中に妄想に浸ってしまい、相棒の夏木刑事に
「おい、また妄想か」と突っ込まれる日々だ。

事件が起きると班長の美田園は、浜中の「強運」
という武器を最大限に活かすため、推理を
得意とする夏木とコンビを組ませ
「遊撃班」として自由に捜査させている。

物語は、織物工場の社長が取引先に支払う予定だった
約一億円の現金を強奪されたところから始まる。

現金強奪事件の報を受け、浜中刑事たちは、
聞き込みを開始。
被害にあった社長や工場の社員などの話から
犯人と思われる男が浮上するが、頑なに否認。

奪われたとされる現金は、山中の祠に隠されて
いたが、火災によって焼失した。
疑わしき男は証拠不十分で釈放。
事件は未解決となった・・・・。

およそ二年後、現金強奪犯と疑われていた男が殺害された。
浜中刑事たちは再び未解決だった事件と向き合うことになる。

当時現金を奪われた工場は倒産。社長は自殺しその後
妻も病気で亡くなっていた。
警察は、一人残った息子による復讐ではないかと疑う。
しかし、事件発生時、彼には鉄壁のアリバイがあった・・・。

捜査が難航する中、聞き込みを続ける浜中たち。
すると、彼の周辺に一人の女性の影が浮かびあがる。
だが、その女性はある日絞殺死体となって発見される。

現金強奪事件、山中の祠での現金焼失、二つの殺人事件は
どのような繋がりがあるのか?

今作も、浜中刑事の「強運」によってもたらされる
「発見」と相棒の夏木刑事の名推理が事件の真相に
繋がってゆく。
そして、事件の裏に潜んでいた邪悪な犯罪を暴き出すのだ。

緻密に練られたプロットは、想像を絶する真相と
心を震わせる、勧善懲悪のミステリーに仕上がっていて
ミステリーファンを唸らせる作品だと感じた。

あと、今作には「誘拐の免罪符」に登場した
他部署の女性刑事・希原刑事が再登場。
浜中刑事とのコミカルな掛け合いの場面がとても面白い。

『愚者の決断 浜中刑事の杞憂』小島正樹 南雲堂

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